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第14話:究極の選択…交際3ヶ月の彼氏が海外転勤!追いかけるべき?

香港からシンガポールに戻ってきてすぐ
私たちは一緒に暮らし始めた。

『泣いてばかりだった私が、運命の人に愛されるようになるまで』

元彼にネズミ呼ばわりされていた、尽くしタイプ依存症ダメ女から、どうやって運命の人(フランス人)に出会い、ありのままの自分で愛されるようになったのか?実際に起きたリアルなマイストーリーを綴ってきます。

>>> ここまでの話

第1話:アラサーどん底負け組に転落…リーマンショックで失業&失恋
第2話:英語力ゼロ・・・勢いだけでシンガポールへ移住!
第3話:アラサー女子が、何の目的もなくワーホリってどうなの?
第4話:TOEIC500点以下で海外で仕事をゲットした理由
第5話:赤面症だった私が、なんでラジオDJに!?
第6話:凧上げフェスティバルでナンパに大成功!
第7話:ねぇ、シンガポールで一番有名な日本人にならない?
第8話:YouTube婚活で外国人500名以上からオファー殺到!
第9話:初デートのためにドイツから彼がやってきました
第10話:運命の人は、ストーカー?!

第11話:ポールダンスを勝手に見ないで!
第12話:初デートで連れて行かれた怪しいお店
第13話:彼氏じゃない男性と二人きりで海外旅行

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今回ばかりは、勝手に押しかけたのではない
彼から、合鍵を渡されたのだ。

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今まで、素直で聞き分けがよくて
女性らしく家事や料理を上手にこなせて

一生懸命、尽くさないと愛されない

と信じていた私にとって

掃除や洗濯は気が向いたときだけ。
いつも美味しい料理を作ってくれて

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サプライズデートを企画してくれて

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コンドミニアムのプールで泳いでいると
プールサイドまでカットフルーツとホイップクリームを運んできてくれて

プール

相手の顔色を伺うことなく、
やりたいことをやり、言いたいことを言って
自由に、無邪気に、ありのままの自分が愛されているなんて
にわかに信じがたかった。

でも、

そんな自分が、
今までで「一番好きな私」でもあったんだよね。

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そして

シンガポールに来る前

「好きだけど、結婚はできない」

と言われていた

年上の彼との関係を続けるために
何年も

理解のある女
ガマン強い女

そして、

柄でもないのに
一人でも生きていける自立した女

演じ続けてきた私にとって

朝、目が覚めたときに
彼が隣にいてくれる安心感が、何より幸せだった。


一方、

二年前に友人と始めたブロガー活動も、波に乗っていた。

一流ホテルからのステイケーションのオファー
日本の人気テレビ番組からの出演依頼
30歳にしてグラビア誌のカバーガール etc...

まさにバブル絶頂の華やかさ!!!

こんな毎日が、ずっと続いたらいいのに・・・

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一緒に暮らし始めて、一ヶ月が経ったころ
彼が困惑した様子で話を切り出した。

「この前話していた日本でのポジションの件、正式に決まったんだ。
 3ヶ月後には、東京に行く予定だよ。
 でも、君と離れ離れになると思うと、ちっとも喜べなくて…」

「おおおっ、よかったね!!!おめでとう♡♡♡」

それは、心からの「おめでとう」だった。

日本で暮らすことは、
彼にとって、幼い頃からの夢だったのだ。

そして、

付き合う前から、その話を聞きながら
彼の夢が実現するようにと密かに願っていた。

あまりにカラッとした
私の意外な反応に驚く彼に向かって

「大丈夫、私もついていくから!
 だから全然、寂しがる必要なんてないよ。」

と小さな嘘をついた。

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そこから、残りのシンガポール生活を謳歌するように
一緒に様々な場所に旅行した。

バリ島
モルディブ
ベトナム etc...

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夢のように煌びやかで、めまぐるしい毎日。
あっという間に3ヶ月が過ぎようとしていた。

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一緒に暮らしていたコンドミニアムを引き払い
最終日は、シンガポールらしくマリーナベイサンズに宿泊し
仲のいい友人たちを招いて
Farewell Party(お別れ会)で盛り上がっていた。

今日が二人で一緒に過ごす最後の日だというのに
ちっともしんみりした空気にならない。

それどころか、浮かれたようすの彼。

そりゃあ、そうだよね。
だって明日から、夢に見た日本での新生活が待っているんだもん。


そんな彼の「憧れ」とは裏腹に
私にとって、日本に帰国するということは
長い夢から覚めてしまうような恐怖でしかなかった。

シンガポールだから “特別” でいられるのに
日本に帰国したら、キャリアもない、これといった強みもない
負け組アラサー女子に逆戻り。

目に見えないソーシャルプレッシャーの中での
あの生きづらい毎日を思うと
とても帰国する気になんてなれなかった。

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この国で掴んだたくさんのチャンス

ブロガーとしての華やかな活動
なんでも話せて心から笑いあえる親友
仲のいいルームメイトがいる居心地のいい家
満足のいく収入がある安定した仕事
ようやく見つけたポールダンスという没頭できる趣味

まさにシンガポールドリームとも思える
理想の人生の全てが、ここにあるように感じた。

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それを

プロポーズされたわけでもないのに
交際してまだたった3ヶ月。

しかも

結婚観すらよくわからないフランス人男性を追って
全てを手放して、日本に帰国するだなんて……

リスク高すぎでしょっ!!!!!

当時30歳。

シンデレラストーリーを夢見て

「一緒についてきてほしい」

という彼の言葉を手放しで喜べるほど、
無邪気な少女ではなかった。

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翌朝、チャンギ空港の搭乗口で

「See you soon(またすぐ会おうね)」

そういって笑顔で彼を見送った。


きっと彼は、日本での刺激的な新生活の中で
私のことなんて、あっという間に忘れちゃうんだろうな…

私だって大丈夫!
また3ヶ月前の生活に戻るだけだ。

でも、なぜだろう・・・
ほとんど変わっていないはずシンガポール、
ここに理想の人生のすべてがあったはずなのに

心にポッカリと
大きな穴が空いてしまったようなこの虚無感は……

あんなに鮮やかで、活気に満ちていたシンガポールの景色が
なんだか虚しく色褪せて見えた。

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その晩、

いてもたってもいられなくなった私は、
いつものホーカーセンターに友人を呼び出した。

お茶を片手に深夜まで、
とりとめのない話をひとしきり聞きた後、
彼女はこう切り出した。

「あのさ、いつもそう。ほんと欲張りだよね。」 

「ねぇ、サルを捕まえる罠って知ってる?
 餌を取ろうとして、瓶の中に手を突っ込むんだけど
 一度つかんだ餌を握りしめて、放そうとしないから
 身動きが取れなくなっちゃう、あれ。」

「今そんな状態なんじゃない?
 あれも、これも全部ほしいってすべてを握りしめたままで
 結局、どこにも行けなくなってる。

「世界中探しても、もう彼のような人には
 出会えないかもしれないんだから、ついていったら?

 私たちのことは心配しなくて大丈夫。
 日本に帰国しても、ずっと繋がっていられるよ。
 だって、ここは第二のホームなんだから。
 
 いつでもシンガポールに戻ってくればいいじゃん。」


私のことをよく知る彼女は
ズルい部分も、弱い部分も、すべて見透かしていた。

そして、

その言葉は、どこまでも温かかった。

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翌朝、

出社するやいなや、上司を呼び出して
とんでもないことを言ってしまうんだ。

「結婚するために日本へ帰国するので、会社を辞めさせてください。」

疲れと、寂しさと、寝不足で、
若干、気がおかしくなっていたのだと思う…

今までも度々、周りが驚くほどの
この “ 思い切りの良さ ” で、
人生の舵を切ってきたのだけれど

プロポーズの「プ」の字も出ていないというのに
自分でも呆れるほどの突拍子もなさだ。

その後、何度この言葉を後悔することになったことか……


つづく>>>
第15話:本当の私を、あなたは愛してくれますか?


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