【ゆるっとさ】窮屈な妊活の世界から私を救い出すのは
「お土産だよ〜〜〜(๑╹ω╹๑ )!!!!!!」
その日も、夫はにっこにこの笑顔で仕事から帰ってきた。
夫の手には、私達夫婦がはまっているアイスがあった。
「残り3つしかなくてさ(๑╹ω╹๑ )!!
買い占めてきちゃった(๑╹ω╹๑ )♪!!!!キャッキャッ」
夫が嬉しそうに話す。その姿が、とても愛おしかった。
その日の夫はまたまた忘年会で、私は一人で晩ごはんを食べた。
「まにょちゃんなにたべたの(๑╹ω╹๑ )」
「昨日の残りものだよ〜〜」
「そっか(๑╹ω╹๑ )
俺今日もさ(๑╹ω╹๑ )クスクス
お腹冷やしちゃ行けないと思ってさ(๑╹ω╹๑ )ニヤニヤ
1杯目は一応お酒のんだけどさ(๑╹ω╹๑ )ニマニマ
そのあとはホットウーロンとホットのジャスミンティー飲んだんだよね(๑╹ω╹๑ )!!!!ケケケ
温活頑張ってるでしょ(๑╹ω╹๑ )!!!るんるん」
よくお腹を壊すのは冷えが原因じゃないかということで、温活まっただなかの夫。最近は毎日こうして、温活状況を教えてくれる。
「まにょちゃんご飯食べたんでしょ?(๑╹ω╹๑ )」
「うん」
「このアイス食べればいいじゃん(๑╹ω╹๑ )♪
まにょちゃん好きでしょ(๑╹ω╹๑ )クスクス」
そう言って夫は、買ってきたアイスを勧めてきた。
時計を見ると、夜の10時だった。
こんな遅い時間にアイスか・・・もう少しで寝る時間だもんな・・・・・・寝る前にお腹ひやすと妊活によくないよな・・・・・・てか今卵胞期だし、あんまりこういう糖分とるのよくないかな・・・・・・
そんなことを考えて、
「明日食べるよ」と返事をした。
「なんで(๑╹ω╹๑ )今いらない(๑╹ω╹๑ )?」
「うーん、食べたいんだけどさ。」
「食べればいいじゃん(๑╹ω╹๑ )」
「いやあの・・・今あんまりこういうのとらないほうがいいかなって」
「・・・・・・(๑╹ω╹๑ )」
「せめて排卵日終わってからにしようかな」
「・・・・・・まにょちゃん食べたいんでしょ(๑╹ω╹๑ )??」
「うん。食べたいのは食べたい。」
「じゃあさ(๑╹ω╹๑ )はんぶんこしようよ(๑╹ω╹๑ )
俺半分食べてあげるよ(๑╹ω╹๑ )!!!」
「・・・うーん・・・・・・」
「・・・大丈夫だよまにょちゃん(๑╹ω╹๑ )
もっとゆるっとさ(๑╹ω╹๑ )♪」
そう、夫は朗らかに笑った。
私の前で、ニコニコと、
私が食べたいなら食べなよ、と。
今この瞬間、幸せでいようよと。
そう言われているようだった。
ふわりと、やわらかい笑みがこぼれてしまった。
最近夫が友人に、妊活のことについて聞かれたらしい。
最近妊活は意識してるの?もしもできにくかったら病院にいったほうがいいよ。俺もなかなかできなくて、奥さんが病院に行ってタイミングのアドバイスもらったりしたよ。やっぱりそのタイミングでしないと、なかなかできないよ。
そんなアドバイスをもらったらしい。
「やっぱり回数じゃなくてタイミングだってみんな言うね(๑╹ω╹๑ )」
夫はなにげにそう話してくれたんだろうけど、
私の身体に、決して心地よくはない「ドクン」という心臓の音が鳴った。
私達が入籍したのは6月。
いくら9月から妊活を開始したからとはいえ、そんな事情を知らない周りの人から見たら、「子供、そろそろでは?」と思われる時期だ。
「新婚旅行があったから避妊してた」
「新婚旅行と転職で生理が乱れた」
「夫の出張でタイミングがとれなかった」
「ちゃんとタイミングがとれたのはまだ1回だけ」
そんな、まだ妊娠していない理由をあげようと思えばいくらでもあげられる。
だけど、周りからするとそんなのは関係ないのだ。
結婚して半年。子供はまだ????????
そんな、まだ誰にも言われてもいないこの言葉に、
不安が押し寄せる。
心がざわざわとする。
もしかして、不妊????????
妊活だ。妊活しないと。
身体を整えないと。
運動しよう。
会社まで歩こう。
プロテインを飲もう。
サプリをとろう。
早めに排卵検査薬を使おう。
次の排卵日は絶対に逃さないでおこう。
腹巻きを買おう。
レッグウォーマーを買おう。
冷たいのは避けよう。
お菓子をとりすぎないようにしよう。
夫が買ってきてくれたアイスも、今度食べよう。
いつのまにか私の生活は、妊活に取り囲まれていた。
花を育てて、
緑を育てて、
できるだけ心豊かに、
ゆとりをもって、
意識的にこの毎日に幸せを探していた。
そうしないと、妊活に支配されてしまそうで怖かったから。
でも結局私は、
妊活という枠を大きくしたり小さくしたりしているだけで、
結局は妊活の枠の中に囚われている。
奪われる自由に、
自分が不自由にっていることに目をつぶって、
周りの幸せを見ているフリをして、
ずっと先の妊娠に目を向けている。
そんな、妊活にとらわれる私を救い出したのは、
夫だった。
「ゆるっとでいいよまにょちゃん(๑╹ω╹๑ )
一緒にアイスたべよ(๑╹ω╹๑ )ニコニコ????」
本当におかしいのだけれど、
夫が女神様に見えたのだ。
夫が、私を自由へと舞い上がらせてくれる。
今この幸せを噛みしめることがいかに大事か、教えてくれる。
「4月くらいまではゆったりすごそうよ(๑╹ω╹๑ )
それくらいまでにできなかったら、そのとき考えればいいじゃん(๑╹ω╹๑ )」
夫の余裕が、私に自由を分け与えてくれる。
幸せを分け与えてくれる。
「やっぱりこのアイス美味しいね(๑╹ω╹๑ )ニコニコ!!!!!!!」
2人ではんぶんこしたアイスは、
ひんやりとした、温かい味だった。
今温かさを必要としているのは、
私の身体だけではない。
私の心だ。
不安に、プレッシャーに、
薄暗くてひんやりとした空気にさらされる私の心を温めるのは、
夫だった。
大丈夫。
夫のいる私の未来は、
きっと明るい。
きっと、大丈夫。
夫と半分こしたアイスのあたたかさは、
アイスを食べながら笑い合うあの幸せな時間は、
きっと私達夫婦に
赤ちゃんをもたらすのだろう。
あぁ、きっと私は、
妊娠するのだ。
まにょ。
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