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たんぽぽ~親友~※詩のようなエッセイ朗読台本

※これは私の親友への想いを書いたエッセイのようなものです。


ずっと死ぬまで一緒だと思った。
ずっと死ぬまで友達だと思った。
初めての友達は、
初めての恋人のように。

(一息つく)

それまで当たり前に1つの花のように
一緒に風を楽しんでいた。
風から薫る秋の匂いも、
冷たさで起きる冬の朝も、
何気ない日常は、笑顔であふれていた。
何気ない日常が、私たちを大人色に仕立てていた。

(一息つく)

春になって私たちの関係は綿毛になってしまった。
まるで誰かの吐息のような、
ちょっとした風でも、
ふわりふわりと綿毛の私たちは、
空に浮いて、
誰も知らない場所に飛んで行った。

(一息つく)

みんな学校を卒業して、みんな自分の道を歩んでいく。
ただそれだけだと思っていたのに、その分かれ道でみんな別れてしまった。
その道への嫉妬や憧れ、もしくは決裂で。
どんなに話し合っても、お互いを思いやれずに。

(一息つく)

空に舞った時、ちぎれた身体のように痛くて
ずっと長い間、悪夢を観ていた。
あの花であった時のことを思い出すように。
でも、
今はもう、戻れないところまで来てから
足りない私を慈しむようにした。

(一息つく)
どうかお元気で。
どうかお幸せに。
どこかで会った日には、どうぞよろしくと。

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