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芸術のような料理の数々や作品の世界観はすごくよかったけど、疑問ばかり残った『ザ・メニュー』

【個人的な満足度】

2022年日本公開映画で面白かった順位:105/173
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:The Menu
  製作年:2022年
  製作国:アメリカ
   配給:ディズニー
 上映時間:107分
 ジャンル:サスペンス
元ネタなど:なし

【あらすじ】

太平洋岸の孤島を訪れたカップル、マーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)とタイラー(ニコラス・ホルト)。お目当ては、なかなか予約の取れない有名シェフ(レイフ・ファインズ)が振る舞う、極上のメニューの数々。

「ちょっと感動しちゃって」と、目にも舌にも麗しい、料理の数々に涙するタイラーに対し、マーゴが感じたふとした違和感をきっかけに、レストランは徐々に不穏な雰囲気に。なんと、ひとつひとつのメニューには想定外の“サプライズ”が添えられていた…。

果たして、レストランには、そして極上のコースメニューには、どんな秘密が隠されているのか?そして、ミステリアスな超有名シェフの正体とは…?

【感想】

予告から気になっていた映画です。絶海の孤島に建てられた人気レストラン。1人約20万円もする高級ディナーに招かれた客たちの驚愕の運命とは、、、?ね、すごくそそられる設定じゃないですか!

<芸術のような料理と映画の世界観は素晴らしい!>

この映画、見るものすべてを魅了するような料理の美しさとミステリーのようなホラーのような世界観がすごいんですよ!

料理についてはすべてがすべてが計算し尽くされたコースです。「これは料理なのか?」というぐらい色鮮やかつアートなレイアウトの品々。2品目のホタテなんて、ジオラマみたいなところに置いてありましたたから(笑)スクリーン越しに観ているので味はわかりませんが、見ているだけで楽しくなるようなメニューでしたね。

それらを生み出すシェフの天才的な技術とセンスに圧倒されるんですが、この人、何かがおかしいんですよ。料理に対してストイックすぎるというか、まるで「自分こそがルール」と言わんばかりの王のようなポジションで。なので、客からの要望は一切無視。自分こそがパーフェクトだからそれに従えと。それゆえか、彼に従う従業員たちはみな兵士のように感じられました。

高級レストランで至高のひとときを過ごすはずだったのに、途中から事態は思わぬ方向へ。なぜか招待客の「人には言えない秘密」が筒抜けになっており、死人まで出る始末。このレストランの、そしてシェフの目的は一体何なのか、常に緊張感を持って鑑賞することができます。

<疑問ばかり残るストーリー展開>

このように、素晴らしい料理や何が起こるかわからない世界観など、ひとつひとつの要素は"点"で見るととても期待できるものだったんですが、それらが全部つながって"線"で見ると、途端に微妙になってしまいました。なぜなら、「結局なんでこういう事態になったのか」がほぼ明かされないまま幕を閉じてしまうからです。セリフの中から「今までに何かあったんだろうな」というのは何となく読み取れるんですけど、シェフと招待客の関係性はほぼわかりません。復讐劇とも捉えられるし、別の何かな気もします。

その別の何かというのは、シェフの私怨とかは関係なしに、招待客それぞれの食との向き合い方ですね。大して味もわからないのにウンチクを垂れるやつや、汚い金を使って偉そうにしているやつ。また、批評でいくつもの店を潰してきたやつなど、世の中にいるであろう多くのこういった輩に制裁を加えているような印象も受けました。もちろん、何の根拠もなく、あくまでも「そんなふうに読み取れる」っていうだけなんですけどね。だから、結局モヤモヤして終わることに変わりはありません(笑)

終盤で、シェフの過去が少しだけ垣間見えるシーンもあるんですが、それがなぜ今回の件に繋がるのかまでは読み解けず。一時停止とかしてよく画面を見渡せば、いろいろヒントがあったのでしょうか。「実は昔こういうことがありまして……」みたいな話なら、もう少ししっくりすると思うんですけどね。

<そんなわけで>

料理は映えるのに、ストーリーが映えないという印象の映画でした。設定がよかっただけにもったいないです。ちなみに、ちょっとグロいシーンもあるので、そういうのが苦手な人はある程度覚悟を持って観てください。モノを食べているときに適した内容では決してないので。。。あと、チーズバーガーが食べたくなります(笑)

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