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救いようのない世界の中で見た姉弟愛が砂漠に咲く一輪の花のように見えた『BAD LANDS バッド・ランズ』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:65/135
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:東映、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
 上映時間:143分
 ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ
元ネタなど:小説『勁草』(2015)

【あらすじ】

大阪で特殊詐欺に手を染める橋岡煉梨(ネリ)(安藤サクラ)は「名簿屋」の高城(生瀬勝久)に雇われていた。名簿屋とは、いわゆるオレオレ詐欺の標的リストを作る裏稼業だ。

ネリは被害者から金を受け取る「受け子」の手配を任されていた。騙し取った金は、捕まる危険性の高い「受け子」ではなく、大半は金主に入る仕組みで、高城の銀行口座には金がうなっている。

ある夜、思いがけず"億を超える大金"を手にしてしまったネリとジョー。金を引き出す、ただそれだけだったはずの2人に迫る様々な巨悪。

果たして、彼女たちはこの危機から脱することからできるのか。

【感想】

※以下、敬称略。
原作小説は未読ですが、韓国映画を思わせるダークな人間ドラマとキャストの演技力がイチオシの映画でした。

<濃いキャラクターのオンパレード!>

とにかく、キャラクターがすごくよかったです!!安藤サクラ演じるネリは、やることはきっちりやるけど、どこか心ここにあらずな空虚さと哀愁漂う雰囲気で。犯罪者ではあるものの、根っからの悪というより、高城の元に身を寄せているがゆえに仕方なくやってるようで、実際は面倒見のいい漢気溢れる姉御って感じなのが憎むどころか憧れさえ持てました。

山田涼介演じるジョーは、勢いだけで突っ走っちゃうサイコパスだけど、意外と姉想いなんですよ。ただ、やってることはえげつないんですが、山田クンは普段が明るく正義感の強い役が多かったので、ダークな役をやってもあまり怖さがないっていうのが正直なところですが(笑)そんな彼が見せる終盤の活躍はこの映画一番の注目ポイントかもしれません。

でも、一番びっくりしたのが前田航基です。「まえだまえだ」というお笑いコンビで有名ですが、ここ何年かはよく映画で見かけますね。個人的には、芸人よりも役者としてのイメージが強いです。そのふくよかな体型と年齢的なところから、学園モノでいじられ役やいじめられ役だったりするんですが、今回はまさかのド悪党。関東からやってきた半グレだかチンピラだかの役で、「メチャクチャ強面で迫力ある人がいるなー」と思って観ていたら、途中で気づいてびっくり!頭が坊主だったから最初はまったくわからなくて、彼だと知ったときは「えっえっ、ウソでしょ?」ってぐらいこれまでの役柄との違いに驚きました。いいギャップになっていたと思います。

<関西弁の持つ迫力>

シーンが大阪のときは全編にわたって関西弁なのも(当たり前ですがw)、怖さを引き立てる要因になっていたと思うんですよね。関東に住んでいる身からすると、セリフが聞き取りづらい部分もあるんですが、怒鳴り声は関西弁の方が怖く感じますよね。高城役の生瀬勝久もコメディなイメージが強いですが、怒鳴り散らすところはドスが効いててガチで怖かったですし、新井ママ役の天童よしみも「人生舐めずにこれ舐めて」の印象が染み付いている分、カタギじゃない役どころにギャップを感じました。あと、林田役のサリngROCKという方も始めて観たのですが、金髪かつインパクトある顔立ちが頭から離れません。出番は多くなかったものの、かなり存在感ありましたね。

<ちょっと気になったところ>

ただ、気になったところというか、事情をもう少し知りたかったのが、ネリと胡屋(淵上泰史)の関係です。過去にネリが胡屋の下で働き、ほぼ性奴隷のような扱いを受けていたのは語られていましたが、そんな人とどういう経緯で出会ったのかは気になりますね。大阪に行ったネリを執拗に追いかけていましたけど、他人をおもちゃのようにしか感じなさそうな彼が、そこまでネリにこだわる理由ってなんかあったんでしょうか。この胡屋ってやつも超ド級のサイコパスでして、秘書の女性を殴りまくって、その後で自分でケガを手当てするというクズっぷり。本当にやべぇやつしかいないですよ、この映画(笑)

<そんなわけで>

犯罪者とサイコパスと底辺しか出てこないスリリングなサスペンス映画で楽しめました!濃いキャラクターのオンパレードでそのイカれた人格とキャストの迫真の演技に圧倒されるので、これはぜひ映画館で観た方がいいかなと!某ゲストキャストの登場にも目が離せません(笑)


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