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燃えるような恋とはまさにこのことかと思うほどに情熱的だった『恋におちたシェイクスピア』

【個人的な満足度】

「午前十時の映画祭12」で面白かった順位:11/21
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

   原題:Shakespeare in Love
  製作年:1998年
  製作国:アメリカ
   配給:UIP
 上映時間:137分
 ジャンル:ラブストーリー
元ネタなど:なし

【あらすじ】

16世紀末のロンドン。スランプに陥っていた劇作家シェイクスピア(ジョセフ・ファインズ)は、オーディションにやって来た若者トマス・ケントを追ってとある邸にたどり着く。そこには、以前、芝居の最中に目を留めた美しい女性ヴァイオラ(グウィネス・パルトロー)の姿があった。

シェイクスピアと彼を信奉するヴァイオラはたちまち恋におちてしまう。燃え上がる恋心が創作意欲をかき立て、シェイクスピアは急ピッチで台本を仕上げていくが―。

【感想】

「午前十時の映画祭12」にて。1998年のアメリカ映画。いやー、公開当時26歳のグウィネス・パルトローの美しさが尊すぎましたね。

<2人の恋が始まってからが面白い!>

この映画は、シェイクスピアの代表作である『ロミオとジュリエット』が出来上がるまでをフィクションを交えて描いたラブストーリーです。以前、『マクベス』(2015)を観たときに、セリフがレトリックにまみれていて、何を言っているのかイマイチわからず、個人的に苦手意識を持っていました。それは本作でも同様で、戯曲特有の言い回しが出たときに「終始こんな感じで進むのかー」とその後に訪れるであろう退屈さに少し先が思いやられる印象を持ちました。がしかし!ヴァイオラとシェイクスピアの恋路が進み出してからがメチャクチャ面白いんですよ!

とにかく、2人の燃え上がるような恋の描かれ方がものすごく秀逸でして。本当にもうお互いに求めまくってるんだなというのが、これでもかってぐらい伝わってきます。引き合いに出すのは申し訳ないんですが、例えば、先日観た『月の満ち欠け』(2022)のように、邦画だと「お互いにそこまで好きになる要素ある?」って思っちゃうことがよくあります。でも、この作品は違いますね。観ているこちらが火傷しそうなほど、燃えに燃えまくってるのがよくわかるんですよ。

<熱愛が伝わってくる理由>

ヴァイオラとシェイクスピアが燃え上がるような恋をしている、それが傍から見て一目瞭然な理由が2つあると思いました。

まずは、お互いに好きになる要素がわかりやすいことです。シェイクスピアが一目惚れするほどのヴァイオラの美しさ。これはもう一発でわかりますよ。あのグウィネス・パルトローの美しさはハンパないですから。で、彼女は彼女でもともと演劇が好きでシェイクスピアのファンだったわけでしょう。2人がそれぞれを好きになる要素が明確だったってのは大きいですね。

もうひとつは、恋路の障害。これは『タイタニック』(1997)もそうだったんですけど、女性側が高貴な家柄で、すでに他の方との結婚話も進んでいる一方で、男性が貧しい劇作家です。今以上に階級制度の意識が強かった当時からしたら、この2人が結ばれることはまずないんじゃないですかね。そんな自分たちの力だけではどうしようもない状況の中で愛し合うというのは、これまた燃える(萌える)ポイントなのかなと。

さらに、お互いの愛情が言葉じゃなくて行動で表れているのもよかったです。演劇の練習中も隙あらばチュッチュして、1秒たりとも離れていたくないってのがビンビン伝わってくるんですよ。それがもう、やりすぎを通り越して、微笑ましいぐらいの振り切り方で(笑)

<注目したい脇役たち>

この映画では脇役の存在にも注目していただきたいです。まずはヴァイオラの乳母(イメルダ・スタウントン)ですね。彼女は本来、ヴァイオラとシェイクスピアとの仲を引き止めるべき立場なんだけど、しれっと黙認していました(笑)2人のイチャつく声が部屋から漏れ聞こえるのを必死に誤魔化そうとしている姿はキュートでしたね~。イメルダは後に『ハリー・ポッター』シリーズでいじわるなドローレスを演じていているので、そのギャップも味わい深いです。

そして、ヘンズロー(ジェフリー・ラッシュ)も忘れてはいけません。『ロミオとジュリエット』は、この映画の中ではもともと海賊が出てくる予定で、ヘンズローが、「海賊は?」って聞くシーンがあるんですけど、演じたジェフリー・ラッシュは後に『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズにてバルボッサを演じるので、なんか感慨深さがありました(笑)

<歴史に忠実なちょっとしたシーン>

本編とは直接関係ないんですが、今回、町を歩いていると、上から濁った水が降ってくるシーンがあるんですよ。最初はこれ何かなって思っていたんですが、おそらく汚物なんじゃないかと。前に『ウンチク/うんこが地球を救う』(2022)というドキュメンタリー映画を観て知ったんですけど、この当時って今のようなトイレがなく、みんな鉢の中に用を足して、それを2階や3階から下に投げ捨てていたんですよね。汚い話で恐縮ですが、こんな細かいところもちゃんと歴史的事実を取り入れることに対するこだわりっぷりと、直近で観た映画の知識が活用できてちょっとうれしかったなっていう、たたそれだけのことでした(笑)

<そんなわけで>

決して結ばれることのない男女の燃えるような恋を描いたラブストーリーとして、とても面白かったです。最後の公演のところはやや都合がいい展開にも感じますけど、テンポはよかったですし、これはオススメしたい映画ですね!


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