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脅威のAIに立ち向かうスパイアクション超大作!還暦をものともしない命知らずなアクションをこなすトム・クルーズは、もはや"生きる映画"だなと感じた『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』


【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:7/105
  ストーリー:★★★★★★★★★★
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★★★★★★★
     音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観たい:★★★★★★★★★★

【作品情報】

   原題:Mission: Impossible - Dead Reckoning Part One
  製作年:2023年
  製作国:アメリカ
   配給:東和ピクチャーズ
 上映時間:164分
 ジャンル:アクション
元ネタなど:映画『ミッション:インポッシブル』シリーズ(1996-)

【あらすじ】

IMFエージェント、イーサン・ハント(トム・クルーズ)に課せられた究極のミッション。それは、全人類を脅かす新兵器を悪の手に渡る前に見つけ出すこと。

しかし、そんなイーサンにIMF所属前の“逃れられない過去”を知る“ある男”が迫り、世界各地でイーサンたちは命を懸けた攻防を繰り広げることに。やがて、今回のミッションはどんな犠牲を払ってでも絶対に達成させなければならないことを知る。

そのとき守るのは、ミッションか、それとも仲間か。イーサンに、史上最大の決断が迫る―。

【感想】

ミッション:インポッシブル』シリーズ第7作目。運よくチケットが取れたので、一般公開最速の0時上映の回に行ってきました(と言っても、マーベル作品ほどの人気はなかったのか、満席というわけではなく、上映終了後のパンフレット購入の列もそこまで長くはなかったですが)。確かに尺はちょっと長いかなと思ったものの、タイムリーなストーリーのネタと、相変わらずの超ド派手アクションがとてつもなく面白い映画だったので、これはもう絶対に映画館で観ていただきたい作品です!!

<時事性の高いストーリー>

この映画を観て、僕は3つのことを感じました。そしてこの3つがこの映画を楽しむ上で欠かせない要素なのだと。

まずは、時事性の高いストーリーです。まあ、SFの世界ではよく見られる内容ではあるんですが、今回の敵は高性能のAIです。"エンティティ"と呼ばれているそのAIは、自己学習機能を備え、自我を持ち、ネット上に潜んでいます。なので、あらゆるデジタル機器を意のままに操れてしまうんですよ。実際にエンティティのもたらす影響はとても大きく、こんなのが実現したらデジタルに頼り切っている人間社会は大きな混乱と秩序の崩壊に繋がるでしょう。途中、データを紙に書き移すシーンがあるのですが、機密性を高めるためにはアナログな手段もまだまだ捨てたもんじゃないなと思いました。

このAIがもたらす脅威をこのタイミングでやるってのがまたすごいですよね。だって、今はハリウッド映画界でストライキが起こっているじゃないですか。その中にはAIを使った肖像権の保護も含まれています。

本作の製作は元より脚本の執筆もこのストライキよりずっと前から始まってはいましたが、コロナ禍もあって公開スケジュールが後ろ倒しになった結果、まさかAIで盛り上がっているこのタイミングと重なるなんて、運命のいたずらかなって思いましたね。これまでもSF映画においてはAIを扱った作品が多々あるので、それ自体に斬新さがあるわけではないのですが、現実世界でもホットトピックスになっているだけに、身近なテーマとして感じられます。また、AIって実態があるわけではないので、実際にイーサンと対峙する敵としてはガブリエル(イーサイ・モラレス)っていう人間がいるんですが、彼がAIに従ってるようなポジションがなんか滑稽なんですよね。人間がAIに従うなんて、立場が逆転してるんじゃないかって。

そういえば、副題の『デッドレコニング』ですが、"推測航法"という意味だそうです。位置情報がわからないとき、これまでの移動経路や距離などから位置を割り出して航行することですが、転じて情報のない中で結果を出すことを意味しています。姿の見えない相手であるエンティティとの戦いや、デジタル機器が使用できないときでも己の勘を頼りにミッションを遂行していくということを表しているのかもしれませんね。

<命知らずなスタントアクション>

次のポイントは、やっぱり『ミッション:インポッシブル』シリーズと言えばコレ!っていうぐらい風物詩となっている超危険なスタントアクションの数々です。しかも、スタントマンを使わずにトム・クルーズ自ら体張ってますからね!てか、このシリーズって、彼がいかに危険なアクションに挑戦するかを見守る側面もありますよね。サーカス団のパフォーマンスじゃないですけど、そういうのを観ているような気持ちにもなります。観客の期待に応えるためにシリーズを経るごとにどんどん危険度が増していってる気がしますが、みんなを喜ばせるために命懸けで体を張っちゃうトム・クルーズの覚悟には惚れます。今回も、予告でおなじみの(予告で見せすぎとは思いましたが)バイクで崖を駆け上ってダイブしたり、ローマの市街地を片手運転でドリフトしたりと、ぶっ飛んだアクションの連続ですよ!前作の『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)でもそうでしたが、カーチェイスのシーンなんか『ワイルド・スピード』シリーズも顔負けの車の破壊っぷりでしたからね(笑)よく撮影許可下りたなって。日本じゃ絶対無理だなって。そんなのをトム・クルーズ本人がやるわけですよ。スタントマンを使っても、ハリウッド映画なら本人がやっているようにうまく見せられるでしょうし、CGで代用することもできるとは思います。それでも自ら体を張ることにこだわるトム・クルーズ。「絶対本人も楽しんでるだろ」とは思うんですけど、すでに大御所となった身でありながらも率先して自分でやることにスター性を感じますね。全部自分でやるからこそ、彼の発する言葉にも説得力があるんだろうなあ。観客としては目に映るものがすべてなので、トム・クルーズが自分でやっていようがいまいが、それっぽく見えれば満足っていう考え方もあるとは思いつつも、後から「あれ全部本人がやってるんだよ」って知ったら、もうなんというか、この人"生きる映画"だなって思いました。

<意外と大事な過去作の復習>

そして、3つ目のポイントですが、今回の映画を観る上でやっておいた方がいいなと感じた過去作の復習です。もともとこのシリーズって作品ごとの繋がりはあまりなかったんですけど、シリーズ5作目の『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015)から続投するキャラクターが増えてくるので、そこらへんから観ておいた方が今作もわかりやすいかなと思います。特に、イルサ(レベッカ・ファーガソン)とホワイト・ウィドウことアラナ(ヴァネッサ・カービー)は重要人物です。ちなみに、そのホワイト・ウィドウですが、実は1作目に出てくる武器商人のマックスの娘っていう設定なんですよね。さらに、1作目繋がりでいうと、今作ではその1作目以来27年ぶりにキトリッジ(ヘンリー・ツェニー)が出てくるのもエモいポイントです。まあ、観なくても問題はないんですけど、「より楽しみたい」っていう人で、お時間に余裕があればぜひ過去作もご鑑賞くださいませ。

<気になるところ>

今回の映画はすごく面白かったんですが、いくつか気になる点はありました。例えば、ガブリエルとイーサンの過去について詳細が語られていないことや、エンティティが自我を持った経緯およびそれの最終目的が何なのかということです。もしかしたら、次回作の『PART TWO』で語られるのかもしれませんが、細かい部分を含めて全容が明かされていないので、ちょっとモヤる人もいるかもしれません。個人的には、ガブリエルの部下?だったパリス(ポム・クレメンティエフ)の人物像をもう少し知りたかったですね。口数が少なかったこともあって、彼女がなぜガブリエル側についていて、最後にああいう行動に出たのかがわかりづらいので。

<そんなわけで>

この夏一番注目したいスパイアクション超大作としてメチャクチャオススメの映画です!前後編分かれる内容ですが、本作だけでも尻切れトンボにならずにきちんとまとめられているし、何と言ってもトム・クルーズの変わらないかっこよさには世界が追いつきません!彼の生き様を目の当たりにすると、「もう歳だから……」なんて言ってられなくなりますね!



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