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ドラマ性に寄せた分オリジナル版よりテンポは悪くなったけど、今までで一番ちゃんと"リメイクしてるな"と思えた『最後まで行く』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:56/74
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:東宝
 上映時間:118分
 ジャンル:サスペンス、アクション
元ネタなど:映画『最後まで行く』(2014)

【あらすじ】

ある年の瀬の夜、刑事の工藤(岡田准一)は危篤の母のもとに向かうため、雨の中で車を飛ばしていた。しかし、妻(広末涼子)からの着信で母の最期に間に合わなかったことを知る。そんな中、彼は車の前に現れたひとりの男をはねてしまう。

すでに絶命していることが判ると、工藤は狼狽しながらもその遺体を車のトランクに入れ立ち去った。そして、こともあろうに男の遺体を母の棺桶に入れ、母と共に斎場で焼こうと試みる。

そのとき、スマホに「お前は人を殺した。知っているぞ」というメッセージが入る。送り主は県警本部の監察官・矢崎(綾野剛)。彼もまた、ある男が行方不明となり、死んでいたことが判明し動揺していた。その男こそが、工藤が車ではねた人物だったのだ。さらにその裏には、矢崎が決して周囲に知られてはいけない秘密が隠されていた。

追われる工藤と追う矢崎。果たして、銭田未聞の96時間の逃走劇の結末は?そして、男の遺体に秘められた衝撃の事実とは!?

【感想】

2014年に公開された韓国映画『最後まで行く』のリメイク作品です。オリジナル版よりもドラマ性を重視した作りだったなと感じる映画でした。

<オリジナル版はマジで秀逸!>

実はこの映画、世界中でリメイクされているんですよ。中国版は『ピース・ブレーカー』(2017)、フランス版は『レストレス』(2022)で、あとフィリピン版もあるらしいんですよね。でも、個人的には今回の日本版も含めて、リメイク版はどれもオリジナル版は超えられなかったかなという印象です。あのですね、オリジナル版は本当に面白いです!全編を通じて伝わってくる主人公の不安と焦りに加えて、韓国映画らしくカーチェイスやバイオレンスシーンも本格的で、メチャクチャスリリングで楽しめるんですよ!!アマプラで観れるから、今すぐにでも観ていただきたいです!(笑)

<日本版のここがよくなかった>

今回の日本版は、これ単品で観ると割と楽しめるんですが、リメイク作品っていう視点で観ちゃうと、個人的にはそこまで惹かれなかったんですよね。。。というのも、この作品の見どころは、人をひき殺してしまった刑事が、その秘密を握られることによる圧倒的な不安や焦りだと思っています。オリジナル版では主人公の刑事だけに焦点を絞ることでそれがより際立ち、さらに追う・追われるの構図をテンポよく進めていくから面白かったのに、日本版ではそれがほぼなくなってしまったんですよねー。

<日本版のここがよかった>

ただ、他の国のリメイク版は、オリジナル版のほぼコピペ(しかも面白さは激減)した作りだったのに対し、日本版はオリジナル要素がたくさんあったのはよかったと思います。敵役である矢崎が執拗に死体を求める事情を深掘りしていたり、新キャラの仙葉(柄本明)の役割も大きかったりで、「一番ちゃんとリメイクしてるな」と思える内容ではありました。とはいえ、そうやっていろんな事情を増やしたことで、人間模様に深みは出るものの、テンポはものすごく落ちた部分はあります。単に情報量が増えただけですからね。個人的には、スピード感のあるアクション性を求めていたので、今回の映画はそこまでハマりはしませんでした(笑)

<そんなわけで>

オリジナル版を観ていない人の方が楽しめる映画かもしれません。藤井道人監督の映画は、けっこう作品によって好き嫌いがあるんですけど、個人的にはこの前観た『ヴィレッジ』(2023)の方が面白かったです。今回の映画はやっぱりオリジナル版が面白すぎたから、そちらもぜひ観ていただきたいです!


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