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邦画史上最大級の茶番劇第2章!出身地対決が『遊戯王』のデュエル並みに熱狂した『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:61/163
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★★
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:東映
 上映時間:116分
 ジャンル:コメディ
元ネタなど:漫画『翔んで埼玉』(1982-1983)
      映画『翔んで埼玉』(2019)

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
埼玉県内の田舎道を、1台のワゴン車が与野在住の家族を乗せて、熊谷に向かって走っている。カーラジオからは、埼玉のご当地ソング「人生たまたま…さいたまで」に続き、DJが語る、埼玉にまつわる都市伝説・第Ⅱ章が流れ始める――。

その昔、東京から蔑まれていた埼玉県人が、壮大な茶番劇の末に通行手形を撤廃し、関東に平和が訪れた。埼玉解放戦線を率いる麻実麗(GACKT)と壇ノ浦百美(二階堂ふみ)は、さらなる平和を求めて活動(=日本埼玉化計画)を推し進めていたが、埼玉県人は横の繋がりが薄いという問題が浮上する。

麗は埼玉県人の心を1つにするために、越谷に海を作る無謀な計画を打ち立てる。美しい白砂を持ち帰るために、百美を残し、和歌山県の白浜を目指して解放戦線のメンバーとともに大海原に出るも、船が嵐に巻き込まれて難破し、麗は独り和歌山の海岸に漂着する。そこで麗は、滋賀解放戦線の桔梗魁(杏)と運命的な出逢いを果たす。

当時の関西は、大阪府知事の嘉祥寺晃(片岡愛之助)、その妻の神戸市長(藤原紀香)、京都市長(川﨑麻世)らの支配下にあり、滋賀県人、和歌山県人、奈良県人らが非人道的な扱いを受けていた。白浜も大阪人のためのリゾート地になっており、通行手形のない者は入ることができず、そこには和歌山解放戦線のリーダーである姫君が囚われていた。

桔梗は姫君を、麗は嘉祥寺に囚われた仲間たちを救い出そうとするが、麗もまた嘉祥寺の手中に落ちてしまう。嘉祥寺が恐ろしい計画を企てていることを知った麗と桔梗、そして百美たちは、暴走する嘉祥寺を阻止することはできるのか……!?そして、この事態は日本全国をも巻き込む誰も予想だにしなかった史上空前の東西対決へと発展していく!

鍵を握るのは“琵琶湖”?埼玉の、日本の命運やいかに――!?

【感想】

※以下、敬称略。
翔んで埼玉』シリーズ第2作目。まさかこの茶番劇を2度もやるとは思いませんでしたけど、バカらしさと地域愛にあふれた作風は愛おしかったです(笑)

<今度は関西が舞台だ!>

前作は、関東圏内の地域格差ということで、異常なまでに埼玉県にフォーカスしていましたが、今回は場所を移し、関西が主な舞台となります。事の発端は麗が埼玉県に海を作ろうと宣言したこと。そこで、ビーチに必要な白い砂を求めて、彼と一部の埼玉県民たちは和歌山県の白浜に渡ろうとするんですが、関西は関西で地域格差があり、そのいざこざに巻き込まれてしまいます。

関西は大阪府・京都府・兵庫県が都会指数が高いとされ、その他の滋賀県、和歌山県、奈良県の扱いがとにかくひどいんです。それこそ関東でいうところの埼玉県や群馬県のように。なお、三重県は中部地方に逃げた幻の県扱いで今回は名前しか出てきません(笑)いざこざに巻き込まれる中で発覚する大阪府知事である嘉祥寺晃の野望。それを阻止すべく、麗は滋賀、和歌山、奈良の人たちと力を合わせ、壮大な戦いに身を投じていくのですが、これがまあバカバカしくて笑えます(笑)

<地域いじりだけでなく役者いじりもハンパない!>

本作はとにかくあらゆるものをいじり倒します。大阪の人は粉モノが好きということで、特別に作られた白い粉を口にするとヤク中のようになり、やがて関西人になってしまうという地域に根差したネタを披露するだけでなく、北村一輝の無駄遣いや藤原紀香の産地偽装疑惑、さらには伊勢谷友介に対するノーコメント精神など、よくもまあここまでいじり倒せるなと(笑)ハリウッドのコメディ映画ではたまにブラックジョークの一環で実在する役者をネタにすれこともありますが、邦画においてはなかなかめずらしいですよね。

その中で一番笑ったのは、前作でも盛り上がった出身地対決です。今回は、大阪・京都・兵庫陣営と、滋賀・和歌山・奈良陣営に分かれて、それぞれが輩出した著名人をデカデカと掲げるのだけど、もう『遊戯王』のデュエルのようで(笑)何で勝ち負けが決まるのかルールは曖昧なんですけど、各著名人を見てなんとなく「ああ、こっちの勝ち(負け)だな」と判断できてしまうのが面白い。ほぼ反則のようなネタもあったりして、ここが一番の盛り上がりました。

<スケールの大きさは好みが分かれるかも>

ただ、個人的には前作の方が好きですね。初めて地域格差を題材にした作品を観たってのも大きいんですけど、舞台が関東圏内に収まっていたので、関東に身を置くものとして当事者意識を高く持てたからです。だから、「あるある」がすごく身近に感じられて楽しめたんですよ。それが関西にまで行っちゃうと、なんとなくイメージはできるものの実感が湧きづらくて。狭い地域でのある意味ニッチな争いだからこそ楽しめるってのはあると思いました。逆に関西に住んでいる方からしたら今回の映画の方が楽しめるのかもしれませんが。

<そんなわけで>

地域愛にあふれるがゆえの地域いじりが面白い映画でした。出演している方々も、ほとんどが自分の出身地と同じ地域の陣営にいるのも注目したいところです。これは友達とかと観に行って大笑いして、劇場で一体感を持って楽しみたい映画ですね!

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