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ちょっとオーバーな演技が逆に原作の世界観にピッタリだった『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:50/79
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:アスミック・エース
 上映時間:118分
 ジャンル:サスペンス、ミステリー
元ネタなど:漫画『ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない』(1992-1995)
      漫画『岸辺露伴は動かない』(1997-)
      漫画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(2010)

【あらすじ】

特殊能力を持つ漫画家・岸辺露伴は、青年時代に淡い想いを抱いた女性から、この世で「最も黒い絵」の噂を聞く。それは最も黒く、そしてこの世で最も邪悪な絵だった。

時は経ち、新作執筆の過程で、その絵がルーヴル美術館に所蔵されていることを知った露伴は、取材とかつての微かな慕情のためにフランスを訪れる。しかし、不思議なことに美術館職員すら「黒い絵」の存在を知らず、データベースでヒットした保管場所は、今はもう使われていないはずの地下倉庫「Z-13倉庫」だった。

そこで露伴は「黒い絵」が引き起こす恐ろしい出来事に対峙することとなる…。

【感想】

あの岸辺露伴先生がッ!まさかのスクリーンデビュー!これに先がけ、NHKのドラマ『岸辺露伴は動かない』も観ていたので、その延長として楽しむことができましたー!

<原作のテイストを忠実に再現していることにリスペクトを感じる>

そもそもあの『ジョジョ』の世界観を実写ドラマにしようっていうチャレンジがいいですよね!まあ、主人公が岸辺露伴だからこそできたんだと思いますけど。いやー、もしこれがド派手なスタンドバトルの話だったら、正直、チープさが目立ってしまって微妙になってしまったかもしれません。前の映画だって、、、(略)

さて、この映画は『岸辺露伴は動かない』同様、『世にも奇妙な物語』の少しホラー寄りの世界観です。冒頭で書いたように、『岸辺露伴は動かない』はドラマ化もされており、岸辺露伴が自分の身のまわりで起こる不可解な現象に巻き込まれていくというお話です。今回の映画もその延長のような形で、ひとつの絵を題材に、露伴の過去と繋がる根深い設定がとても興味深かったですね。原作漫画からアレンジが加えられている部分も多いですが、それでも原作の持つホラーテイストを忠実に表現してあり、すでに内容を知っている身でも十分に楽しめました。しかも、邦画にしてはめずらしくあのルーヴル美術館も協力してくれたようで、なかなかにスケールも大きいんですよね。

<原作をさらに掘り下げた描写に感謝>

個人的には、奈々瀬(木村文乃)の過去を漫画以上に丁寧に掘り下げてくれたところがよかったと思いました。彼女の身に起こったことは、もちろん漫画のラストでも描かれているんですが、より詳細な映像として再現してくれたことに感謝したいですね。今回の事のきっかけがよくわかるので。ただ、それゆえに気になるところも出てきてしまいましたけど(笑)ネタバレになるので詳細は割愛しますが、山村仁左衛門には子供がいなかったはずなのに、なんで“同じ役者”が演じたんだろうかっていうところですね。ちょっとややこしくなったかなと(笑)

<ちょっとオーバーな演技は『ジョジョ』だからこそマッチする>

あと、今回の映画に限らずドラマ版でも推したいところが、岸辺露伴を演じた高橋一生さんの演技です。普通のドラマじゃ「そんな口調で話さないだろ」って思うぐらいのオーバーさがあるんですが、これがまた原作というか、『ジョジョ』の世界観の中だと見事に溶け込むんですよね。あの漫画もすごい独特な絵やセリフの言い方があるから、逆にオーバーなぐらいがマッチするんだなって思いました。だから、さすがにあの漫画のキャラクターを見た目だけで再現するのは難しいとは思いますが、言動や仕草なんかを含めたらかなり再現度高かったんじゃないかと思いますね。

<もう少し映画ならではの部分が欲しかった>

全体的に面白かったんですが、今回は尺の割にはヘブンズ・ドアー(天国への扉)の出番が少なく、本当にただの『世にも奇妙な物語』って感じもあったので、映画館で観るよりはスペシャルドラマでもよかったかなーってちょっとだけ思ってしまいました。せっかくルーヴル美術館が舞台にもなっているんですけど、あの荘厳さがそこまで伝わる映り方ではなかったですし。もう少し美術館の全景や室内の展示品を映して、「映画館だからこそ映えるルーヴル美術館」っていうのは感じたかったかもしれません。まあ、許可が下りなかった可能性もありますが。

<そんなわけで>

岸辺露伴の体験する世にも奇妙な現象を味わえる絶好の機会です。原作漫画は読んでいなくても楽しめると思いますが、せめてドラマ版は観ておいた方がいいと思います。いろんな人物の関係た性やらヘブンズ・ドアー(天国への扉)の使い方なんかは、事前に知っておいた方が物語を理解しやすいと思うので。それにしても、ヘブンズ・ドアー(天国への扉)の能力っていいですよね。戦闘向きではないですけど、平和な世界においては、他人を簡単に支配できるという点でものすごく重宝しそうです(笑)


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