残された限りある時間で些細な幸せをいっぱい噛みしめた『余命10年』
【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:40/45
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆
【ジャンル】
ラブストーリー
感動
【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
小坂流加『余命10年』(2007)
【あらすじ】
数万人に1人という不治の病で余命が10年であることを知った20歳の茉莉(小松菜奈)。彼女は生きることに執着しないよう、恋だけはしないと心に決めて生きていた。
そんなとき、同窓会で再会したのは、かつて同級生だった和人(坂口健太郎)。別々の人生を歩んでいた2人は、この出会いをきっかけに急接近することに——。
もう会ってはいけないと思いながら、自らが病に侵されていることを隠して、どこにでもいる男女のように和人と楽しいときを重ねてしまう茉莉。
「これ以上カズくんといたら、死ぬのが怖くなる」。
思い出の数が増えるたびに失われていく残された時間。2人が最後に選んだ道とは……?
【感想】
原作小説は未読です。こういう映画、若い子に人気なんですかね。とにかく劇場内は若い子ばかりで肩身狭かったです(笑)しかも、泣いている人も多くてですね、、、これもまた肩身が狭かったです(笑)僕はほとんど泣けなかったんで。。。いや、メッチャ泣けるんだろうなというのはわかるんですけど、個人的には涙がほぼ流れずでして。。。
<生きることをあきらめている無欲な主人公>
この映画、言ってしまえば『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)タイプの話です。主人公もしくはその相手が病気で……っていうね。2000年代からその手の映画が多く作られたこともあってか、そういうのをたくさん観てきた人からしたら、正直観飽きてしまってるかもしれないですね。僕がハマらなかったのはこれが一番大きいかもしれません。まあ、今の若い子からしたら、これがその子たちにとっての『セカチュー』足りえるんでしょうけど。
今回は主人公の茉莉が絶対に治らない病気にかかっているため、冒頭からすでにオチが決まっている形です。そのオチに向かって、茉莉がどういうドラマを紡いでいくんだって話なんですけど、死がほぼ確定しているからか、基本無欲なんですよ。その場その場の出来事は楽しんでいるけれど、あれがしたいこれがしたいっていう意思表示もない。ある意味、未来をあきらめているとも受け取れる。実際に彼女の立場になったら、同じような気持ちになるんだろうなっていう点ではリアルだとは思いますけど、映画として観るとちょっと面白みに欠けるかなあと。ここも僕がはまりハマれなかった要因かもしれません。運命に抗う姿の方が、ドラマ性はありますもんね。
<和人の扱いがもったいない>
そんな無欲な彼女を変えたのが、和人との出会いです。最初は彼と深い仲になることに抵抗があった茉莉ですが、和人の粘り強さ?もあって、彼との仲を深めていきます。
和人自身も一癖ある設定ですが、これがあんまりちゃんと描かれていないのがちょっと残念なんですよね。彼も人生がうまくいかないとかで、自ら死のうとするぐらいには追い詰められています。ただ、そこがあっさりしすぎてて感情移入しづらいんですよ。どうやら父親と反りが合わない?ようなんですが、そこには全然触れられておらず。彼の人物背景がもう少しわかったなら、キャラクターとしてもっと魅力的に映ったと思うんですよねえ。
<サブキャラをもっと活かして欲しかった>
未来があるのにすぐ死のうとする和人に、生きたくても生きられない茉莉は、当初苛立ちを感じてます。だから、この2人って最初はあんまり合わなかったはずなんです。それが、お互いにちょっとずつ前を向こうってことで、距離が近づいていって。自然な流れではあるんですが、ラブストーリーにしてはあまりにも淡々と進んでいくから、全体的に印象深い感じがしないんですよ。
こういうときこそ、サブキャラをもっと活用して欲しい気もします。茉莉の友達の沙苗(奈緒)と和人の友達のタケル(山田裕貴)が、もっと茉莉と和人の背中を押したり押さなかったりっていう活躍があってもよかったんじゃないかって。
感覚的な話になってしまって恐縮なんですけど、どうもね、ストーリーもキャラクターも淡々としすぎていて、イマイチグッとくるところが僕にはわからなくて。。。ただ、実際にこの映画のようなことがあったら、淡々としちゃうものなのかもしれないですけど。
<終盤は涙の洪水ポイントかも>
個人的にはなかなかハマれない要素が多いものの、終盤はうるっときました。ようやく茉莉も自分の本音を言えるようになったり、彼女の和人に対する感謝の気持ちがわかったり。特に茉莉の妄想シーンは泣けましたね。病気にさえならなければ、手に入ったかもしれない未来。こういう「もしも…」な妄想は僕もよくしちゃうんで、なんかわかります。
<そんなわけで>
オーソドックスな悲しいラブストーリーってことで目新しさはありませんが、とにかく泣きたい、感動したいっていう人は観てもいいかもしれません。ただ、過去に同様の映画をたくさん観て涙しまくった人からしたら、同じような展開にマンネリを感じる可能性も(笑)
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