ベンゾジアゼピンのジアゼピン

東大医学部卒の循環器専門の村川医師が、 

ベンゾジアゼピンの「ジアゼパム」について、

徒然と書かれていました。

循環器に訪れる患者さんの処方薬の中に、

ジアゼパム含めベンゾジアゼピンが含まれてることがあると言われてます。



以下、村川先生のエッセイ?です。

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診察中にふと気付く……。
処方箋の中に「抗不安薬のジアゼパム」がいる。
ベンゾジアゼピン系ということは分かる。

商品名は? 

アルプラゾラムがコンスタン、
トリアゾラムはハルシオン。

しばらくして、
ジアゼパムは「セルシン」だと思い出す。

なぜ処方されているのか? 
患者さんも「なぜ飲んでいるのか知らぬ」と言う。
 
なんてことがたまにあるので、
今回はジアゼパムとそのあたりのお話。

抗不安作用と催眠作用があります。

気持ちが楽になる。
「木陰でのんびり昼寝している人」には向いてないです


ジアゼパムには筋弛緩作用もある→肩凝りにも使う。

病名登録リストに「筋緊張性ナントカ」があったら、

それかも。

パワーはどうか

頻用される。
高齢の人も服用する。
なので、
マイルドタイプだと思っていた。
調べてみると、

作用強度→中
作用時間→長時間型
と書いてありました。


眠くなるか?

ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は、
「それなりに」眠くなる。


睡眠薬として用いられるベンゾジアゼピン系薬もあるが、
ジアゼパムは「睡眠薬」の看板は掲げていない。

ベンゾジアゼピンが結合するのは脳内のGABA受容体。
 主なものは、ω1(オメガワン)とω2(オメガツー)。
 ω1受容体→主に催眠作用
 ω2受容体→抗不安作用と筋弛緩作用
 ジアゼパムはω2受容体にくっつきやすい。

なので、抗不安作用が表の顔。

ギャバってなにか?

GABAは
「中枢神経系の抑制性シナプス伝達」に働くアミノ酸。



GABAの構造

2018年にこの受容体の詳しい構造が報告されています(Zhu S,et al. Nature. 2018;559:67.)。
 
GABAがどのあたりにくっつくか、
ベンゾジアゼピン中毒への拮抗薬がどこをターゲットにするか細かいことも分かりました。

論文は「なんのこっちゃ」というほど難しいです。

時間がもったいないので自分で読むことはお勧めしません。

だったら飲めば!!

というタイトルの項目です


GABAは、
「ストレス緩和・中枢の興奮鎮静効果」で有名。

脳内での神経伝達物質は数十もあるけど、その中でも花形。

 「GABA+抗不安薬」の配合錠でも作れば、
「5分で不安が消える魔法のクスリ」になっていいんじゃないの?

そうだ、
世田谷自然食品に頼んでみよう。

グルコサミンとセットにすれば、
かなり人気でそう。
おひとり様、3セットまで。
 
と、妄想していたら、
経口でGABAを補給しても、
脳には届かない
と書いてありました。

だから、

GABAは各自の努力で体内で合成してください。



最近のジアゼパム!!


依存性について注意が喚起されてきました。

依存性の機序は複雑でスカッとまとめられないけど、

結局は「むやみに処方しないこと」です。

「急に中断」すると、
「ベンゾジアゼピン離脱症候群」になります。

眠れない、落ち着かない、不安発作などが増えます。

ショージキなところ、
薬の中止で起きた症状なのか、
もともとの訴えなのか、
なかなか判断できないです。

減量には、
計画性と患者さんの協力なしでは難しいです。

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長くなりましたが、以上です。

ベンゾジアゼピン系薬は、
バルビツール系にとって代わり、
安全で依存性のない薬。

一生飲んでいても大丈夫な薬!

みたいな感じで存在してましたが、

それこそ

ここ数年間で、

長期服薬は望ましくない。

手術前などの不眠や不安への投与。緊急的な事態への短期間投与。

に対して上手に利用されるべきという


考えが世界中に広まってきてるようです。


確かに

不眠・不安を薬で強引にコントロールする。

冷静に考えると不自然で怖いことです。


不眠辛いじゃないか! 
不安が辛くて生きていけない!

飲む人はこのように主張しますが。

それなら、

村川医師含め大半の日本の医師が言うように、

「だったら飲めばいいじゃないか!」

ってことになり、

見放されるのでしょう。


正直、
医者は毎日大勢の患者と外来で接してます。
一人一人のことなんて、
たいして考えてもいません。


私達がベンゾジアゼピン薬物中毒になろうが、

離脱症状や常用離脱で苦しむことになるなんて、

考えもしないし、

どーでもいいのです。

村川医師のイラスト。
GABAの説明、難しい。。。。

アシュトンマニュアルでは、
ベンゾゾアゼピンの減薬方法として、
ジアゼパムに置き換えることを推奨してた気がします。

もし飲んでるベンゾが睡眠薬なら、
不用意にジアゼパムに置き換えると、
その離脱症状で、

訳の分からない強い不安や
筋肉硬直や身体の痛みに苦しむことになる可能性があります。
メイラックス置換も同様。
(ω2受容体に作用するので)

個人的には
もし自分が睡眠薬のみの減薬をするなら、
単純に飲んでる睡眠薬を減らしていきます。
理論上的には、
離脱症状で反跳性不安と筋肉硬直や痛みが
マシなはずなので。。。


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