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胸に手を当ててかんがえてごらん

採用とは営業だと気づいたものの、年度替わりの対応に追われ、note月2回の更新を目指していたものの気づけは桜も散っていた。さらば春。

そして年度が変われば避けては通れない「今年度の採用計画」。部門との認識合わせに骨が粉砕するくらい骨折る季節です。

理想は富士より高く

採用部門とHRが別の人の会社は往々にして、採用権限者(偉い人)から採用要件や人数、年収帯などの希望をヒアリングしてなるべく希望にあう人材を見つけることになりますが、その難易度たるや富士どころか、エベレストの如し。

例えば、即戦力のエンジニアが欲しいんだよね、と言われたとします。

いいですね、エンジニアね。中途だから経験者がいいよね、わかるわかる。

「Webエンジニアで、年齢は30前後で、経験年数は5年くらいで、Ruby、Python、Java、JavaScript、できればPHPも読めるくらいで、顧客対応経験あって、工数見積りしてWBSかけて、スマホアプリも経験があって、案件規模は中規模以上、コミュニケーション円滑で、リーダー経験か協力会社さんをまとめた経験は欲しいな。あ、できればオフショアの経験もあるといいけど、英語力って確認できる?年収帯は社内のバランスもあるから、450万円くらいかな。案件都合で3ヶ月後くらいにはジョインしてほしいんだよね。」

はい、聞こえませんでしたー。
途中から異次元の言葉かと思って脳にかすりませんでしたー。

この羅列、結婚相談所で

「25歳前後の常識・礼節があって、仕事はフルタイムで結婚後も続けてくれて、家事は全般得意で特に料理が好きで、子供好きで、綾瀬はるか似で、明るくて穏やかで、年収400万円の彼女が10年いない40歳の僕と結婚してくれる人」

って言うくらいの夢と希望ですからね(書いていて自分の心臓が痛い)

結婚相談所なら、自分が結婚できないだけですが、採用となると会社の経営に関わってくるため、落とし所を見つけないと、既存社員を巻き込んで沈没する可能性もあるため、早急に目を覚ましていただく必要があります。

地道な積み重ねと見えない着地

もちろん、求めている人材がどれだけ希少で、世の中におらず、日本の労働人口が年々減っていることをきちんと理解している方もいます。

「・・・とは言ってみたけど、無理なのはわかっているから、とりあえずエンジニア経験3年で、30代までで、工数見積りしたことあれば会うよ」と言ってさえくだされば、首が取れるほど大きく頷きながら紹介会社の元へ走っていきますが、

そうはいかないことが圧倒的に多い。
人間って欲張りな生き物ですね(遠い目)

まずは張り付いた笑顔でそんなスーパーマンはこの世の中にいないし、万が一いたとして、どうしてこの知名度とその年収条件で我が社を選んでくれると思うのか、ということを丁寧に語ります。

でも大抵は、そんなのやってみないとわからないと返されます。

あなたはやっていないかもしれませんが、私どもは他の職種も含めて相当数やってみての意見ですよ、という言葉を飲み込みながらしばしの押し問答。

こういった場合の対処法はまず3つ。

・話題のビズリーチやGreenなどのダイレクトリクルーティングで実際に登録者を検索して見せる(ヒットしないので市場に少ないレア人材だと伝わる)

・紹介会社を巻き込んで打ち合わせを設定し、直近の紹介者での人材傾向や、採用決定者の条件を説明してもらう(希望の条件では選ばれない、他社に取られることを認識してもらう)

・自部門の活躍エースをペルソナに、その人がどういったスキル/条件で入社し、今に至るのかを紐解く(若手は大抵ポテンシャルで入社し、その後めきめき力をつけた結果なので、入社後にどう育てるかに焦点当てる)

全部対応すると少し時間がかかるので、その間に一旦エベレスト要件の求人を出しておいて、要件を満たす応募がこないことを裏付けデータとして準備しておくことも忘れずに。

こうやって少しずつヤスリで鉄を削るような地道な目線合わせ(という名の現実から目をそらすなキャンペーン)を行うことで、段々と必須要件が、あると望ましい、というレベルになったり、優先順位をつけることで年齢の蓋を開けられたり、想定年収が市場感と近づいたりするわけです。

もっと効果てきめんな手法をご存知の世の中の採用の先輩がいらっしゃいましたら、絶賛アドバイス求む!ですが、こんな初心者交渉を役員と出来るようになるまでも、私は時間がかかりました。

やはり募集する仕事の理解や、部門の理解が土台にないと、ただ、難しいです、と伝えても、説得力がないからです。

提案を聞いてもらう(しかも相手にとって一見、不利益な提案)ことはなんて難しいんだとしみじみ感じるのでした。

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