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私のファシリテーションは型破りだが結論には価値がある “コンセプチュアルなファシリテーション”

前回は、全体計画フェーズの大切さを説明しました。
全体計画フェーズでは対象領域の知見や経験、洞察力が問われるわけですが、議論が抽象的なだけに、話をまとめ上げるのは簡単ではありません。
うまく話がまとまらないとき、私はファシリテーターとして駆り出されることがあります。

「ファシリテーターは参加者の意見を引き出すのが仕事であり、自分の意見を述べてはならない」

一般的には、これがファシリテーターの心得ですが、私はまったく違います。
そんなわけで、今日のテーマは

“概念化力で議論をまとめ上げるファシリテーション”

です。

私はこれを

“コンセプチュアルなファシリテーション”

と呼んでいます。
“コンセプチュアル” は “概念の” という意味です。

これからコンセプチュアルなコミュニケーションの話をしていくわけですが、これを語る上で欠かせないのが “ディスカッションマテリアル” です。

私は以前に “空転し続ける議論を前に進めるためのスキル” というタイトルのブログの中でディスカッションマテリアルの話をしました。
ディスカッションマテリアルとは会議を活性化させるために準備する資料のことで、正解や結論を示すものではありません。大切なのは、全体を俯瞰できる枠組みを提供することです。

会議の参加者は、過去の経験や価値観の違いなどから、同じ話を聞いたとしても、着眼点や頭に描くイメージは十人十色です。議論を続けても意見はまとまらず、最悪の場合は物別れに終わってしまいます。
ディスカッションマテリアルが提供する全体像は、参加者共通の概念として議論の土台を形成します。これが、自他の発言の関係性を整理する助けとなります。

このブログの中でも書きましたが、ディスカッションマテリアルを作成するのは、多くの場合、ファシリテーターの仕事です。
事前にディスカッションマテリアルを整理できない場合でも、ファシリテーターは、議論の応酬の最中に議論の全体像を思い描き、頭の中でモデル化できなければなりません。

私の場合、この概念モデルを、適切なタイミングで参加者と共有します。
これは、ファシリテーターの常識を根本から破壊するような行為です。
実は、私のファシリテーションはこれに留まりません。場合によっては、自分の意見を述べることだってあります。

① 議論を概念化して全体像(=概念モデル)を示す。
② 概念モデルに基づいて、参加者の意見の共通点や相違点を述べる。
③ 概念モデルに基づいて、自分の仮説や考えを述べる。

常識では、ファシリテーターが自分の考えを述べるなどもってのほかです。

しかし、それもこれも、すべては、参加者から意見を引き出すためのものです。


私は考えを述べますが自己主張はしません。反対意見も、概念モデルという土台の上で積極的に盛り上げます。自分の間違いを認めますし、正しいと思えば考えを翻します。
しかも私は、参加者には気配りを忘れません。会議の雰囲気づくりには徹底的にこだわります。

議論におけるファシリテーターの役割は結論が生み出す価値を最大化させることだと私は信じています。

私のファシリテーションはまさにこのためなのですが、結論の内容に着目しただけでは不十分です。なぜなら、結論が生み出す価値を最大化させるには実行力が欠かせないからです。

実行力を生み出すのは当事者たちの納得感です。たとえ画期的な結論が出たとしても、参加者が腑に落ちていなければ実行段階に失敗し、価値につながりません。

だからこそ私は、参加者全員を完全燃焼させることに強いこだわりを持っています。


ファシリテーターは意見を述べず、公平に議論をガイドしていればよいのだとすれば、それは概念化力に恵まれたメンバーが参加している場合だけです。しかし、そんなことは稀にしか起こりません。
概念化力は、私のまわりのお客様には十分に浸透していないからです。
その結果、私は、ファシリテーターでありながら、概念化を担うことになります。

有意義な結論を出せない最大の理由は議論が狭い範囲に集中し、全体像が不足しているからです。これは明らかな概念化不足です。
有意義な結論が価値に到達できなかったとしたら、その理由は参加者たちの共感の欠如にあり、議論における概念化の不足にあります。共感には概念化が欠かせません。

しながら自分の意見や考えを述べる際、いつも心がけていることは“公平さ”です。意見が一方的であったり、どちらかの肩を持ったりしてはいけません。

自分の理解や意見を押し付けるのはご法度です。

「私は鈴木さんの意見を○○〇と理解しましたが、間違っていますか?」
「先ほどの話とうまく結びつかないのですが、○○は△△ということなのでしょうか?」
「皆さんのお話を伺って、私は○○と考えました。どう思いますか?」

私がファシリテーションする会議は、やり切ったという参加者全員の満足感と程よい興奮の中で幕を閉じます。盛り上がり、突っ込んだ議論がなされます。後になって「私の意見は聞き入れてもらえなかった」とか「間違った結論になってしまった」というようなクレームは皆無です。

プロジェクトをまわしていると、方向性の異なる相手との議論やプロジェクトの明暗を分けるような重要な会議を避けては通れません。
プロジェクトマネージャは、これをうまくまとめ上げなければなりません。
たまには私のようなファシリテーションで、型破りな議論をさせてみるのもアリなのではないでしょうか。


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