自分なりの「決め方」を持ちなさい

責任ある地位に就くと、毎日のように「正解のない問題」に直面します。
事業計画や商品企画の立案、顧客への提案、プロジェクトマネジメントなどはその典型です。ではなぜ、「正解のない問題」を解くのは難しいのでしょうか。

私は、2つの理由があると思います。

 効果的な解法が示されていない = 解法から自分で考える必要がある
 導き出した解答が正解であることを証明できない = 他人と合意形成しにくい

つまり、正解のない問題を解くにはこのような障壁を乗り越える必要があり、皆さんにそのためのスキルを身に付けていただこうと、これまで、概念モデルを作り上げたり本質を見極めたりしてきました。
今回は、正解のない問題を解くためのヒントを「決め」に求めてみます。

「決め」とは、すなわち決めることです。
正解があれば、あえて決める必要はありません。証明済みの解法を使って解けばいいからです。正しい解法を使い、得られた答えが正解なら、改めて「これが正解です」と決める必要はありません。客観的に判定すればそれでお終いです。
ところが、正解のない問題が相手では、そうはいきません。決めなければならないのです。

上司に、こんな質問をされたとします。

「この結論は、正しいのかね」
「この結論は、どのようにして導いたのかね」

正解のない問題が相手なら、この質問には自分なりに答えるしかありません。しかも、答えたとしても“証明”できるわけではありません。結論の正しさはおろか、手順の正しささえ、証明するのは困難です。つまり、相手を納得させられるかは未知数なのです。

こんなとき、皆さんならどうしますか?

そうです、上司に決めてもらうしかありません。
正解のない問題を解くには、最終的には決めるしかないのです。

そして正解のない問題を解いているときには、誰しも様々なシーンで「仮説」を立てなくてはなりません。これもある意味、「決め」です。
なぜなら、仮説が「正しいか」は結論が出てみなければわからないからです。わからないのだから、前に進むには決めるしかありません。

もうおわかりでしょう。正解のない問題を解くのが難しいのには、「決め」が深く関わっています。
すなわち、「決め」には不確実性が存在し、不確実性にはリスクが伴います。逆に言えば、リスクを取れない人は決められないのです。
先ほど「上司に決めてもらうしかない」と書きましたが、よく思い出してみてください。こんなとき、はたして皆さんの上司は決められたでしょうか。残念ながら、多くの人は「ノー」と答えるでしょう。

仮説が「正しいか」は結論が出てみなければわからないわけですが、正確には、結論が出た後もわかりません。なぜなら、正解のない問題には答えや答えに到達するための手段は無数に存在し、他の手段を試せない以上、選択した手段が最良だったかの判断は、結論が出た後でもできないからです。
さらに、正解のない問題を解くのが難しくなってきました。

ところが、「正しいか」を「正しいと納得できたか」に置き換えると話は違ってきます。「正しいと納得できたか」は、結論を待つまでもなく、今、判断できるからです。
スポーツ番組などで、選手が「これまでやってきたことは間違いではなかった」と言うのを耳にしますが、それが本当に最良の手段だったかは神のみぞ知るところです。しかし、「間違いではなかった」と納得ができるのは素晴らしいことです。

話が複雑になってきたので、ここまでの内容を整理すると、

「正解のない問題を解くには『決め』が必要だが、その場合は正しく決めようとするのではなく、正しいと納得して決めることが大事」

ということになります。

さて、そろそろ本論に入るとしましょう。
納得して決めるにはどうすればいいのでしょうか。
そのために、私は以下の6通りの決め方を準備しています。

1. 可能性や確率をもとに決める
2. 客観的な正当性をもとに決める
3. 欲求や要望、ありたい姿や目指したい方向性をもとに決める
4. 目指さなければならない姿や方向性をもとに決める
5. 選択要素を後に他の要素に切り替えた際の影響の大きさ、切り替えやすさや調整の難しさなどをもとに決める
6. 状況の追跡のしやすさや、評価や判断の下しやすさなどをもとに決める

このうち、5と6はテクニックに着目している点で、1から4とは決め方の質が異なります。私は、1から4を「結果志向の決め方」、5と6を「管理志向の決め方」と呼んで区別しています。

いずれにせよ、自分なりの決め方(=決めるパターン)を持つことで迷いは軽減し、決めることに納得感が生まれます。そのためには、「決め」を意識しつつ経験を積むことが大切です。

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