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面接時にしておくべきマインドセットとは

11月号1
11月号2

中途採用者。即戦力として活躍できる人と、既存メンバーが教育に労力を割くことになってしまう人の差はどうして生まれてしまうのでしょうか。

これから今回の記事を含めて、御社の体制を振り返っていただける契機となるような記事を6回に分けて連載してまいります。

すべて私自身が実際におこなってきた、雇用を決定する決裁者側、人事としての採用者側、転職をおこなう求職者側の3者での経験がもとになっています。

初回である今回は、入社前の段階である面接について振り返ってみましょう。まず欠員募集、新規採用など、どんな採用区分においても大切な心構えをアメリカの格言から引用いたします。

“雇用はゆっくり、解雇はすばやく”

解雇の考え方は日本の現状とは馴染みがありません。ただ雇用については応募者の適正を慎重に見定める重要性に関して、この「雇用はゆっくり」という一言に集約されています。

人は限られた条件下、つまり予算、時間、情報、必要人数などが切羽つまった中での判断は、後々本意とは異なる結論をくだす傾向にあります。

そのため、御社がどんなに欲していたポジション、求人者像にマッチした求職者であっても、入社後に本当に御社にマッチする人材なのかどうかは慎重に判断しましょう。

具体的な事例に移る前にもう1つ、御社の風土や仕事内容とは関係ない要因で求職者の意欲が下がる要因を取り除いておきます。

人は簡単に手に入ったモノは簡単にいらなくなる

それは1回の選考で内定を確約しないこと、です。どんなに喉から手が出るほど欲しい人材であったとしても、選考は必ず2回以上実施してください。

人材不足が長年継続している業界では、1回の選考で内定を出してしまい、結果として入職前の辞退、また入職後の退職が目立ちます。人は簡単に手に入ったモノは簡単にいらなくなる性質を持つからです。

これらの前提を踏まえた上で面接では入社意欲を高めるアプローチではなく、求職者には入職後のイメージを具体的に持ってもらえるような質問を投げかけていきましょう。

ゴールは転職する「覚悟」を持ってもらうことです。それでは事例をもとに確認していきます。

1)同業界、同業種での転職を希望する求職者

同業界からの転職者は、業界への知見もあり、仕事に対するミスマッチは起きにくいと考えられます。

そこで転職の理由を質問すると「他の会社でも通用するのか自分の力を試したい」「異なる環境で成長したい」という前向きな答えが返ってきます。

ここで安心する前に、求職者のためにももう少し「なぜ」を掘り下げておきましょう。求職者が前職で感じた不安や不満が、御社の評価制度や体制など、思いもよらない理由で再燃する可能性があるからです。

ただし、前職への不満や不安は求職者自身がうまく言語化できない可能性があるので、まずは前職と同様の共通点や、想像できる違いなど、御社の体制をひとつひとつ開示していって丁寧にすり合わせをしましょう。

通常の面接よりも時間がかかりますが、「雇用はゆっくり」の精神で質問していきます。

2)前職とは異なる業界に挑戦したい求職者

「挑戦したい」という表現を使う求職者は多いです。この挑戦という言葉は一見すると成長意欲もあり、入職後も向上心を持って新たな仕事にチャレンジしてくれる人材という印象を与えてくれます。

ただ、異なる業界に入職すると初めは全てが新鮮にうつりますが、慣れとともに「こんなはずじゃなかった」と感じる人が出てきます。以前の業界と比較を始めるからです。

中途採用者は、どんなに考え方を磨いてきた人だったとしても、事前情報が少ない中でくだした判断で入職した人には、覚悟を揺さぶられる場面が何度も出てきます。

冒頭で述べた「人が限られた条件下でくだした判断の危険性」は、採用側だけでなく、求職側にも同じことが言えます。

そのため、業界で磨いていく必要がある力や、求められることを事細かに伝えてみましょう。

本人がやりたいこととマッチしているのか、どんな風に成長していきたいと思っているのか、イメージと重なりそうか、具体的に想像してもらう投げかけをしてきましょう。

3)役職や年収が下がったとしても異業界、異業種を希望する求職者

この希望を持つ人には、まずは「人材として市場価値を高める」ということばかりが目的になっていて、御社で働くことに対して具体的なイメージが二の次になっていないかどうか確認しましょう。

次に、役職や年収が下がるということに対して、本当に気持ちの整理がついているのか確認していきます。決裁を得る流れや、決裁できる権限の範囲などは求職者の想像と会社の実際の仕組みとの間でミスマッチが起きるからです。

年収に関しては想定している月収、そして考えられる賞与の金額は正直に伝えてみましょう。

金銭面を曖昧にすると、入職後に求職者の家族から不満の声が上がるようになり、求職者の「一時的に年収が下がったとしても挑戦したいという覚悟」が後悔に変わっていくからです。

日々、家族の不満にさらされていると、やはり年収を担保できる前職の業界に戻ろうかという悩みを持ち始めます。

これまで1)~3)で述べた選考段階におけるすり合わせは、企業の採用方針によってはそこまで具体的に情報を提供すると、入職につながらないのではないかと懸念を示す経営陣も現れるかと思います。

ただ、多くの求職者は事前のすり合わせを丁寧におこなうと、入社意欲が高まります。他の企業ではリスクを恐れて、あるいは労力を惜しんで丁寧なすり合わせが実施されないからです。

まとめに入ります。今回の記事の根底にある考え方は、製造業界でよく使われる言葉「フロントローディング」になります。

設計段階の労力を惜しむと、製造段階での挽回に何倍も労力がかかるため、労力を前倒しにするという考え方です。

部屋の片づけも、夏休みの宿題も、後回しにすると何倍も労力がかかりますよね。つまり、入職後にミスマッチが生じて、部署の再配置や、入職者の再教育に何倍も労力がかかることがないように、入職前の面接に労力を前倒しすることを指しています。

御社の中途採用者の選考フローについて、まずはこのような考え方で設計されているか振り返ってみてください。

ここまでお読みくださり感謝。続きはまた違う記事で。

【経歴】

立教大学を卒業後、全国7位の大手学校法人に入職。8年間教員として従事。3,000人をまとめるプロジェクトリーダーを経験。9年目からは専門学校の責任者としてトップマネジメントに従事。携わった学校全ての粗利向上、人材定着、退学率の低下を達成。直近の専門学校では2019年度の入学者177名に対し、2021年度は237名。退学率は2017年度9.6から2020年度は2.4%まで低減。それらの経験を活かして現在は転職し、経営企画部として経営コンサルティング、グループ3社の新卒採用に従事。経営から採用、人材教育まで多岐にわたる分野で貢献。

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教育参謀本間 正道

Email: playbook.consultant@gmail.com
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