なぜ、日本のブランドは負けるか

私が、様々な国で様々な企業、政府組織、商品のブランドを手がける中で、よくある負けパターンを、学術で説明しているものがあるので、そのシェアです。

ここ3年ほどは、ブランドコンサルティングの開始や、ブランド系講演に登壇するたびに、基礎ブランド論の一部として、『The Pepsi Paradox』について話します。皆さんはご存知でしょうか?
時間のある人は、私の要約より下記を見てもらった方がいいと思います。
参考1:How the Brain Reveals Why We Buy
参考2:The Pepsi Paradox

The Pepsi Paradoxとは?

1950-1980代に、ペプシ社とコカ・コーラ社の商品を使った目隠しテストの結果から、ペプシ社に生まれた葛藤(paradox)のことです。

ペプシ社は、清涼飲料水には味が重要と考え、徹底的に商品の旨味を追求し、目隠しテストでは、コカ・コーラ社の製品を上回る結果が出ました。
しかし、目隠しを外した途端に、結果は逆転し、コカ・コーラ社に軍配が上がりました。

つまり、清涼飲料水という味が最も大切な商品カテゴリーで、味で勝ったのにどういうわけか勝利できない(=重大な葛藤)ということです。

考察 - Paradoxが起こる原因

皆さんには想像がつきますでしょうか?
先に少し出ているのですが、『ブランド力』と、その作り方に紐づいています。

一つは、商品を徹底的に、向上させる。

一つは、商品を通して、人の体験を向上させる。

前者が、ペプシで、後者が、コカ・コーラです。
勝っているものが提供しているものは、商品を通した素晴らしい体験ということですね。
似た商品特性を持ったもの同士でも、しっかりとブランドコンセプトを決め、特別な体験にフォーカスしたデザインやマーケティングを行なった場合、一般消費者まで伝り、強いファンとなる。
それがParadoxの原因であり、同時に味方につける方法ということですね。

昨今、日本でもエクスペリエンスデザインなども注目が集まっているのも、そういう意味では、いいことなのかもしれません。

ちなみにコカ・コーラは、最近も 『Taste The Feeling』(瞬間を味わえ)というスローガンを掲げて、体験向上に徹しています。

なぜ、日本のブランドが負けるか

多くの日本ブランドはその寡黙さからか、いい商品を作っていれば気づいてくれるという思想が残ってるところが多いためです。

正確な時計、よく走る車、丈夫なバックなど真っ当な商品機能が、精神的価値を持つブランドに一度でも負けた時、他に打つ手が見つからない葛藤に陥るという、まさにThe Pepsi Paradoxだと思います。

ここ数年、ブランディング手法の流行の中で『目的(パーパス)を明確化してから行動に移す』というものがあります。
極めて普通に聞こえるのですが、企業や商品が大きくなる中で、その売上の維持の方に気を使いがちになる。または、度々の異動などで、そもそもその商品がなんのために生まれ、何を提供したくて作り出されたものなのか?が、忘れ去られてします。
その時に、後任が取り組みやすいのは、商品の数値的改善であり、葛藤への入り口となるわけで、意味を見つめ直すことが重要であるわけです。

一方、海外の強力なブランドは、人の入れ替わりは、日本よりも活発でありますが、精神的な価値・在り方を全社に広く普及させ、個性と存在意義を守り続けます。そうすることで、同調する社員や顧客を増やし、最も機能的でなかったとしても、購入する、フォローすることをやめない状態を作り出します

この現象を、どう捉え、活かすか

私のメイン領域であるデザインにとっては良いことと、悪いことがあると思います。
・悪いこと
デジタル時代に、意味(ブランド)のない改善は効果的でない場合がある。
例えば、アプリつくろうとした場合、UIなどは、構造上、簡単にトレースしてしまうことができてしまいます。勉強のためにトレースする人も多いですので、無意識に似てしまうこともあると思います。
また、UXにおいても、ペインを改善をひたすらにするだけだと、似てしまい、選ばれる理由になるのは、難しいと思います。

人気ゲームなどで酷似したものが出続けるのも記憶に新しいところですね。

弁護士などがチームにいれば、そのデザインや動きや特許を取ることができるかもしれませんが、それもまた”差”がないといけないです。

・良いこと
意味(ブランド)を見つめ直して、作れば、誰にも真似できない差を生む。

商品体験設計よりさらに前の事業や商品を始めた意味(ブランドの根幹)にフォーカスして、UXやUIを包括的に構築できると、他の人と全くおなじwillを持つことがなければ、基本アウトプットが重なることはないはずです。
そこをどれくらいまで魅力的に個性的に見せられるかは、まさにデザインやマーケティングの腕の見せ所なのかもしれません。


ブランディングを見つめ直そうとマネージメントが考える時、大抵はその商品がピンチに陥っている最中で、とにかく選ばれるための差を見つけ出さなくてはならないと、私は考えます。

そんな時、皆さんが、プレゼンテーションをする機会があるのであれば、The Pepsi Paradoxを参考に出して、自分の会社・プロダクトにとって何が差なのか、何が個性的体験なのか、進む方向はどちらなのかを導出してみてはいかがでしょうか?


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