「幸福を基準とした資本主義」を目指せる組織へ

先日、「ビオキッズ」という子どもの外遊びイベントに、ヘルスケアコミュニティーのSHIPとして出展しました。昨年も医療枠として出展し、子どもたちの遊びのなかに擦過傷への正しい応急処置の方法を溶け込ませたコンテンツを提供してきました。私自身とても楽しめたし、対象にする機会が少ない「子ども」という顧客へのアプローチなど、学びが多いイベントでした。

ところで今年、私はビオキッズ出展にあたって何もしていません。正確には、出展内容のベースのアイデア出しはしたけれど、あとはSHIPメンバーの加藤ちゃんを中心に、ささきくん一樹が頑張ってくれて、とても盛況だったようです(運営班によるリポートはこちら)。

なぜ中心メンバーとして頑張ったわけでもないイベントの振り返りをするかというと、このイベントの運営を通して思ったことと、書籍『すいません、ほぼ日の経営。』(日経BP社)を読んで考えたことが自分の中で混ざって、コミュニティーや組織への納得が深まったからです。

株式会社ほぼ日は、コピーライターの糸井重里さんの会社です。フリーのコピーライター、つまり個人で戦ってきて、どんな困難な企画でも「自分が来たからもう大丈夫ですよ」と救世主のように振舞ってきたという糸井さんですが、個人戦に限界を感じるようになったそうです。

アイデアは1人で思いついたとしても、そのアイデアを壁打ちしてさらに良いものにするのは2人以上の組織でしかできません。そして、アイデアを形にしてやり遂げるには1人より複数人の力があった方が上手くいくことが多いし、1人でやるよりみんなでやった方がいいと思える組織が良い組織なのでしょう。

ほぼ日では、プロジェクトは誰が言い出してもいいし、どんなチームメンバーを入れて、どう始めてもいいのだとか。チームメンバーに呼ばれる回数などはまったく平等ではありませんが、糸井さんはそれでいいと考えています。大事なのは、本人が面白いこと。糸井さんの「幸福を基準とした資本主義のようなことができないか」という考え方は、最近はしょっちゅう幸せについて考えている私に刺さるものでした。

私たちSHIPは企業ではなく、医療介護系の人が集まるサードプレイスのコミュニティーだけれど、いろんなイベントやプロジェクトが動いているという意味で会社に近い組織が必要になります。最近のSHIPは、イベントやプロジェクトごとにリーダーやメンバーが変わっていて、結構ほぼ日のプロジェクト運営に近いなぁと思いました。

直近の企画でいえば、私が秋のハロウィンイベント(今年は小規模だったので苦労も少なかったのだけれど)を仕切り、先日の医療福祉×建築展しょうくんが取りまとめ、ビオキッズは加藤ちゃんが進め…と、ほかのメンバーの力を借りながら、自分が面白いプロジェクトのリーダーを務めています。

ただ、アイデアを言い出した人がリーダーで進めなくてはならないというプレッシャーをなんとなく感じていました。でも、今回のビオキッズでの私のように、大部分では力になれなくてもアイデア出しだけでも関われて、あとは仲間がやり遂げてくれる。その実感はありがたい経験でした。

ほぼ日の行動指針「やさしく、つよく、おもしろく。」に思うこと

それから、SHIPは「何を発言しても否定されない、外で言いふらされることもない、安心安全が第一のコミュニティー」だと運営代表の石井が明言しています。ただ、この「安心安全」を「馴れ合い」と受け取られることがありました。

組織に安心安全があるといいのは、思いついたアイデアがいいものかどうか自信がなくても、全否定はされない安心感があるから人に話してみられること。一緒に始められるから、一緒にやりきれること。失敗したら誰かを責めるのではなく、一緒に前を向けることです。ただし、アイデアを全否定することはなくても、「この要素が足りないんじゃないの?」「こうしたらもっといいかも」といった提案は当然あり、何でも「いいねいいね」と褒め合うだけのコミュニティーではありません。

これは、ほぼ日の行動指針だという「やさしく、つよく、おもしろく。」の考え方に通ずるところがあるなぁと感じました。

▼「やさしく、つよく、おもしろく。」から生まれたであろう「生活のたのしみ展」

「やさしく」あるのは大前提。だけど、前述の「チームメンバーに呼ばれる回数などはまったく平等ではない」という話にもあるように、「みんなでやろう〜」という「やさしさ」だけでは足りず、「あなたはこれをやってね」「私はこれをやるね」とプロジェクトを確実に前に進める上では「つよく」ある必要があります。その結果、プロジェクトに中心的に関わるメンバーはある程度決まっていきます。そして、やっている人たちが「おもしろく」思えているかどうか。おもしろくないならやめたらいいんです。

また、「おもしろい」けど「やさしくない」ということもあり得ます。糸井さんは、いじめのような「いじり」の面白さを挙げていました。これは、おもしろくてもやさしくないから、行動指針に照らし合わせて、ほぼ日はやらない。こういう判断もあるから、3つの行動指針は1つも欠けてはならないものなんだな、とよく分かります。

おもしろい場を作って、おもしろいアイデアが生まれてくる。そんな「おもしろい場をつくる会社」を目指す糸井さんのように、私たちも安心安全を前提としておもしろくてクリエイティブなプロジェクトやプロダクトを作っていきたいなぁと思いを新たにしました。

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増谷彩

美味しいものを作ったり食べたり盛り付けたりするのが好き。文章への姿勢も同じ/最近の関心ごとは、幸せを真面目に増やす方法と人生の最終解/高専→工学部生命工学科。記者&編集者。今は医師向け雑誌所属/情報提供はtwitterにDMください。社則による免責文:投稿内容は私個人の意見です。

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