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第4回 機嫌よく、楽しそうな大人でいよう

●行き詰ったら外を見よう

当コラムの「第1回 お母さんは学校の応援団長」でも触れましたが、私は教員向けセミナーによく参加します。
そこには「学びたい」という意欲を持った先生方が参加されているので、そうした方々と交流していると、私もとても刺激を受けます。
たまたまなのかもしれませんが、私が行くセミナーには若手の先生が多く参加されています。
若手の先生方とお話しをすると、日々、授業のこと、子どもたちとの関係のこと、職業としての教員という仕事のこと…いろいろな悩みや迷いを持っていることがひしひしと伝わってきます。
そこから抜け出すためのヒントを求めて、わざわざセミナーに足を運んでいるのでしょうね。
ですから、終了後に「元気が出ました」「明日からさっそくやってみようと思います」と前向きな言葉が聞かれると、「良かったね!」とうれしくホッとした気持ちになります。
このように目の前のことに苦しんでいる先生はたくさんいるのではないでしょうか。
そんな方々には、自分の力不足を責めて、自分を追い込んでしまう前に、少し外に出て気分転換をしてみることをおすすめします。
同じような苦しさを抱えている人が他にもいるということ、あるいは自分よりも過酷な状況にもかかわらずがんばっている人がいることに気付くことができるだけでも、気持ちが少しラクになるのではないかと思います。
そんなに単純なことではないことは十分に承知していますが、試しに行動を起こしてみるとなにかしら変化が生まれるものです。
フォレスタネットを利用されている先生方であれば、すでにそうした「ちょっと外に目を向けてみる」ということは実践されていることでしょうから、外で(ネットも含めて)得た交流を大切にしていってほしいなと思っています。

●ベテランらしく学ぶ

セミナーなどに参加する若者を見ていると、自分の力量不足を自覚して、子どもたちのためにも何とかして力をつけたいと必死な思いを感じます。そんな姿に、応援の気持ちがわいてきます。
一方で思うのは、「ベテランの先生が聞いても、とても参考になる話なのにもったいないな」ということです。残念ながら、セミナー会場でベテランの先生の姿を見ることはそれほど多くはありません。

このごろ「クラスが荒れているのは若手だけではない。ベテランのクラスも崩壊している」という話が聞かれます。
昨今の時代の流れの速さに合わせるように、学校を取り巻く環境や子どもたちの様子はどんどん変化しています。つまり、これまで行ってきた授業のやり方や指導の仕方が、そのまま通用しなくなってきているのですね。
そのことに目を向けずに従来のやり方にこだわっていると、たとえベテランのクラスであっても荒れてしまう、ということなのです。
その構図を考えると、ベテランの先生方にも若手と一緒に学んでもらえるといいのにな、という気持ちになります。

中堅、ベテランの世代は、学校でもたくさんの役割を担っていて、さらには自分の仕事以外にも同僚のサポートをしなければならないこともあります。また家庭を持っていて子どもに手がかかったり、家族の介護などが必要になっている場合もあります。
そうした中では、休日に外で学ぶ時間を作るのが難しい状況もあるでしょう。ですから、「外で学ばないとはけしからん」と責めるつもりはまったくありません。
学びは外に出ることだけではありませんし、書籍からでもネットからでも、また同僚から学ぶなど、いろいろな方法でできることです。身近なところからも学ぶ、という意識を持っていてくださるといいなと思っています。

ベテランの先生の経験はムダではありません。子どもたちの変化にいち早く気付けるのは、やはりベテランの先生方の力だと思います。
そうしたベテランの力も活かしながら、従来のやり方にこだわり過ぎずに学びのアンテナを高くして、できる範囲で新しい情報もキャッチしてもらえるといいなと思っています。

●職員室のコミュニケーションを大切に

先生方は、日ごろ子どもたちに「みんなで温かいクラスを作ろう」「困ったときには助け合おう」「笑顔でいっぱいのクラスにしよう」などと言っていますよね?
さて、職員室ではどうでしょうか?
温かい雰囲気になっていますか?助け合える環境になっていますか?笑顔で過ごしていますか?
いろいろと大人の事情もあるし、そんなにうまくいかないよ…という声が聞こえてきそうですね。
でも私は、職員室のこととクラスのことはつながっているように感じています。

子どもは、大人の顔色をうかがうというとあまり良い印象は持たれないかもしれませんが、大人の様子をよく見ています。
ですから、大人が機嫌よく、楽しそうにしていれば、子どもはそれを察知します。そうした環境が子どもたちに与える影響は侮れないのではないか、と思っています。

人間ですから、性格が合う、合わないということはもちろんあるでしょう。
それでも一緒に仕事をしなければならないのが社会です。
そこは割り切って、少しでも仕事がやりやすくなるように、みんながちょっとずつ工夫したり、譲り合ったりできる大人でありたいものです。
若手の方は「素直さ」を忘れずに、ベテランの方は「聞く耳」を持って、同僚同士が学び合いながら笑顔でいられる職員室になるといいですね。

(2018年8月)

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教育コラム「お母さんが見ている学校の風景」に込めた思い

子どもの教育に携わっているのは教師だけではありません。保護者も当事者として教育に関心を寄せています。先生方の中には、保護者対応を負担に感じている人も多いようですね。「教師と保護者は子育ての仲間」と考えているお母さんが見ている学校の風景を通じて、大人の在り方や協働を一緒に考えてみましょう。


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