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【読書感想文】老人ホテル

おはようございます。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

今日は早速、昨日読み終わったばかりの本について書いていきたいと思います。

原田ひ香さん著 老人ホテル

あらすじ

生活保護を受給する大家族で育った天使は、キャバ嬢時代に知り合った投資家の綾小路光子と再会する。訳あり老人たちが長逗留するビジネスホテルにひっそりと暮らす光子の指南で、極貧人生から抜け出そうと、生きるノウハウを学ぶことになるが……。秘密を抱えた二人の「投資版マイフェアレディ」!

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親もその親(祖父母)も生活保護で暮らしていた大家族の末っ子に生まれた主人公 天使(えんじぇる)。
ひと昔に流行った、大家族を密着するテレビに出演していて、ご近所のみならず日本国中に有名となった家族。

カメラが回っている時はまともな?家族であったが、実際は家庭は崩壊していて、父はパチンコばっかり、母は気分屋で、家のことは何もしない。
末っ子の天使はいつもお腹をすかしているような子供時代だった。

高校を卒業したら、みな家から出て独立しないといけないルールで(そうでないと生活保護が打ち切られる)、高校を中退した天使は家を出ることになり、キャバクラで働いたり、ラブホテルの清掃をしながら質素な生活をしていた。

そんなある日、キャバクラで働いていた頃に出会った綾小路光子という不動産投資を手掛ける老女に出会った。「お金持ちになれる方法を知っている。」という彼女にその方法を聞き出そうとしたが叶わず、数年後、街でばったり再会し、光子に近づくために光子が長期滞在しているビジネスホテルの清掃員として忍び込む。

なかなか人を近づけない警戒心の強い光子に近づくのに苦労しながらも、彼女なりに頑張って働きながら色んな人との関係性を築きながら成長していく。

その後どんな風に展開していくのかは本を読んでのお楽しみ。

この本を読んで思ったこと。

ひとりの人間が育つ過程の中で、基礎学力と愛は必要だなと改めて感じた。
わたし自身がその両方を疑うこともなく当たり前のように享受していたので、それが当たり前でない人の話を聞くと改めて有難みを感じる。

日常生活の中で、「この人はなんでこんなことを言うんだろう」とか「なんでこんなことをするんだろう」とか「なんでこんなことも分からないんだろう」と思った経験があるが、子供の頃の家庭環境によって、経験したことが違うから、考え方は皆同じではないと思った。

主人公 天使の幼少期~大人になるまでを作中で読む限り、生まれてきた家庭環境や出会った人の種類?が違えば、まったく違う人生を歩めたんじゃないかと思う。そういう意味では、綾小路光子と出逢えたことはすごく良かったんじゃないかと読んでいて救われる思いがした。

最期は少し「ん?」と思う終わり方であったけれど、綺麗ごとだけでちゃんちゃん!で終わらせたくない著者の思いがあったのかなと思う。

知っていて損はない。

この本の中で、『おお、これは!』と思った情報があったので共有したい。

天使の同僚(先輩)の山田さんの話。
夫を突然の病気で亡くし、失意のどん底で落ち込んでいる間に、しなきゃいけない色々な手続きが出来ず家も失い、借金を背負ったという話。

亡くなる前に入院していた夫。
お金の管理はすべて夫に任せていたし、入院してからは収入もなかった。
知らないうちに住宅ローンの返済が滞っていたらしく、本当なら夫が亡くなった後は保険で住宅ローンがチャラになるはずだったのに、ローンの返済が滞っていたため、団体保障保険が解約されていた。
よって、住宅ローンはチャラにならず、また相続放棄をするにしても期限内に手続きが出来ていなかったので家も手放すことになってしまった。
弁護士など専門家に相談すればどうにかなったかもしれないが、そこまでの知識もなければ意気消沈していたので、そこまで頭が回らなかった。

周りにそういったことの知識がある人や、手伝ってくれる人がいればいいけれど、子どもを抱えて夫を失った妻がテキパキと事務作業を行うって結構難しいんじゃないの?って思った。

我が家も基本家のことは夫に任せっきりなので、気を付けないといけないなとこの本を読んで感じた。

あとがき

この本を読んで改めて思ったけれど、やはりこの世は「知っている人が得をする」というか、「知らないと損をする」世界だなと思った。

色んな制度とか知っていたら、また知っている人が身近にいたら力になってくれるけど、そうでなければ割を食うというか損をしているなって。

実家の母も少し世間知らずなところがあって、例えば何か手続きをしたとして却下された場合の理由とかきちんと聞かない場合が多く、「聞いても分からんから・・。」みたいなところがあったりする。

わたしは分からないことはネットで調べるのが癖だから、とことん理解しないと納得がいかない。よくよく調べたら『あぁ~こういう意味であかんのか。』ってなることが多いんだけれどw

「知らないと損する」ではなくて、「知らなくても教えてもらえる」とかサポートしてもらえる社会になって欲しいと思った。


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