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われら闇より天を見る/クリス・ウィタカー、鈴木恵(訳)





待ちに待っまた一冊、クリス・ウィタカー氏の長編小説
「われら闇より天を見る」を拝読しました📖´-(2024,4,7 読了)





2023年本屋大賞翻訳部門1位受賞作です。
イギリス人作家がアメリカの小さな街を舞台に描いたミステリー。
過去の事件を引きずる大人たちとその大人たちに育てられた子供たち、そして時を経て再び起こった悲劇。


一生懸命生きる子供たちがなんでこんなにも報われないんだろうと哀しくなるお話でした。
子供たちが大人たちに守られているようで、狭いところに閉じ込められているようにも感じます。それゆえに思考も狭まってしまう。


自身のことを「無法者」と名乗り強がって生きるしかない少女が気がかりでハラハラしながら拝読しました。
本当は家族想いの優しい子なのになぜこんなにも報われないものだろうかと。
巻末にある書評家・川出正樹さんの解説を拝読して納得しました。


辛い過去から逃れたい、幸せだったころに戻りたい。厳しい現実を打破したい、愛するものを救いたい。復習を果たしたい、罪を償いたい。そんな信念にこりかたまってしまった結果、周りが見えなくなり、ついには良いと信じる目的のためならばこの程度の逸脱は大した問題じゃないと自分自身に言い訳をして、一瞬の激情に任せた愚かな行為に手を染めてしまうのだ。




状況や環境は全く違うけれど、川出さんの仰ることは私にも身に覚えがあるように思います。もがけばもがくほど深みにハマってしまうんです。
私もどこか自分は人と違う無法者のような生き方をしてしまっていたので、少女の哀しみや苦しみは他人事とは思えませんでした。
ただこの少女も私も報われない中でも優しいく見守ってくれる人たちが少なからずいたということが救いです。


終わりから始める人々の物語




新しい悲劇の謎がわかった時には更に哀しくなりましたが、報われなかった子供たちの未来が少しは明るい方向に進むのではないかという希望が見えたラストでしたし、ずっと過去の事件に囚われていた大人たちもやっと解放されたので私の心も少し報われました。




イギリス人作家が描いた物語ですが、湿度を感じる文章でアメリカ文学を拝読しているようでした。
雰囲気は「ザリガニの鳴くところ/ディーリア・オーエンズ」に少し似ているかも。物語の内容は全然違いますが。





クリス・ウィタカー氏の作品は別のものも拝読してみたいです。









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