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ザリガニの鳴くところ/ディーリア・オーエンス、友廣純






図書館から借りてきたディーリア・オーエンズの
「ザリガニの鳴くところ」を拝読しました📖´-
(2022,9,30 読了)





本作は2021年の本屋大賞翻訳小説部門で第1位に輝いた作品です。
図書館で予約待ちすること半年。
やっと手元に届き拝読することができました。
動物学者の著者が69歳にして初めて執筆した小説なんだそうです。



拝読してまず感じたのは、情景描写が秀逸だということ。
友廣純さんの翻訳が素晴らしいのもあるでしょうし、動物学者である著者が自らの目で直接見てきたものを鮮明に表現されているからなのか、湿地というところがどういうものかとてもイメージしやすかったです。

生命が朽ち、悪臭を放ち、腐った土くれに還っていく。そこは再生へとつながる死に満ちた、酸鼻(さんび)なる泥の世界なのだ。




始めの方にあったこの文章がとても印象的でした。
湿地がとても過酷な場所だということが伝わりますが、そこで生きたものたちを温かく包み込んでくれるような優しさも感じます。




孤独・偏見・差別と幼い少女が課せられた過酷な状況は想像を絶するものでした。
唯一の味方は湿地と湿地に集う動物たちと少数の人たち。
この物語は、自然と共存しながら生きる少女の成長記でもあり、社会に対する問題提起でもあり、ラブストーリーでもあり、ミステリーでもあり。
本当に色んな楽しみ方のできる作品です。




特に私は「孤独」というキーワードが読了するまでずっとつきまとっていて。
本当の孤独とはどういうものか、私は理解する必要があると感じました。

泥沼にはまったときはいつも、自分の筋肉や気力を奮い立たせてそこから抜け出してきた。どんなに足場が悪くても次の一歩を踏み出した。
けれど、その努力がいったいどこへ自分を連れていってくれたというのだろう。





湿地の少女のようにここまで過酷な状況になったことはないですが、私も似たような心境になったことがあります。
頑張れど頑張れど泥沼から抜け出せず、抜け出したと思っても思い描く未来へ向かう兆しは見えず。
それでもいつかはと希望を持ってまた歩き始めるて、ようやくここ最近もう泥沼にはまることはないのかなと思えるようになってきました。



そして、身近に今まさにこのような心境になっている人もいます。
ずっと必死に孤独と闘っている。
私はその人の孤独感をきちんと理解できていなかったと、本書を拝読して実感しました。
私の感じていた孤独感なんて湿地の少女やその人に比べたら本当にあまっちょろい。
湿地の少女に寄り添った人に比べたら、私の寄り添い方もあまっちょろい。



読後数日経ちましたが、未だに打ちのめされた気分です。
でも、大切なことが本書に書いてあるとも感じます。
もっと読み込んで自分の中に落とし込む必要があるようです。
タイミングを見て買い直さなきゃ。














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