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妊娠中の腹直筋離開を防ぐ

妊娠中期になるとお腹も大きくなりはじめ突き出てきます。ホルモンの影響で靭帯が伸びやすくなり、筋肉もそれに沿って伸びていき胎児の成長をつつがなく包んでいける体型をつかさどる仕組みです。からだが変化しやすくなっている時、必要以上の力が加わることにより、無理に靭帯を伸ばしたり、筋肉がつっぱたりしてしまうので、気を付ける動きがあります。

体幹のマッスル

腹筋は層になった筋肉群でおおわれています。インナーマッスルは、腹横筋でタイヤのように体幹を包んで支えています。からだの正面に垂直に走る左右の筋肉が腹直筋で胸から恥骨までつながっています。この筋肉がボディービルダーが愛する6パックの筋肉です。腹斜筋は外側と内側の斜めのラインでからだの回転やくねりをサポートする筋肉で肋骨と骨盤を繋いでいます。背中側では腰方形筋が骨盤と脊椎を繋ぎ体幹の動きをサポートしていますが、骨盤の位置がかわるので、突っ張ったり、固くなったりするので腰の疲労や痛みと伴うこともあります。

骨盤が広がることで骨盤の周辺の筋肉の長さや筋力に誤差が生じます。特に、骨盤底筋も横に広がるので妊娠期間中、深呼吸を使ってキーゲルエクササイズを行うなどして、骨盤底筋を絞めるエクササイズをしましょう。骨盤底筋の緩みは産後約半数の方に見られる症状で、尿漏れや頻尿などが起こりやすくなります。

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インナーマッスルとして腰の位置や姿勢を左右するのが腸腰筋。脊椎と骨盤、大腿骨を繋いでいる筋肉です。お尻が下がる時は腸骨筋が固くなってツッパリを感じます。腰椎が前に傾いている時は腸腰筋が固くなって骨盤と背骨の距離が短くなっています。骨盤の位置が変わることで、その他のインナーマッスルにも影響があり、凝ったり、力が入りにくくなったりの症状が出てきます。

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腹直筋離開(Diastasis Recti)

妊娠中期20週目あたりから、お腹が目立ち始めます。その時腹筋も伸びていきます。しっかりと筋膜に覆われ、安全に全体的に少しずつ皮膚も筋肉も伸張していきます。

しかし、いくつかの原因から左右の腹直筋の距離が広がって穴が開いているわけではないのですが、筋肉がなく筋膜だけになった部分が現れてます。

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お腹の中心線のリニアアルバ部分が広がって、左右の腹直筋が離れている状態です。産後60から70%の人が自然に元の状態に戻るケースが多いです。しかし、胎児の向きや、多胎妊娠、2人目以降出産、高齢出産(35歳以上)、巨大児、体重が増えすぎた場合など腹直筋離開が起こりやすくなるケースが多いので少し注意を払いましょう。

動作で腹直筋離開が起こりやすいのは、からだの前に何かをもって回転を加えた動きです。また、妊婦さんが手足をついた四つんばの姿勢で腕を上げるなどバードドッグなどのエクササイズは妊娠6か月目以降は避けた方がいい動きです。

お腹に力を入れた状態で回転するのはNGです。(例)車の後ろ座席の子供を抱きかかえて車から降ろす。

例えば、妊娠中小さなお子さんがいるとき、子供を抱きかかえた状態で子供を椅子から抱きかかえて降ろしてあげるときなど、お腹に力が入っている状態で回転が加わるような動作です。気をつけましょう。

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上の写真で示されているように、これらは妊娠中にしてはいけないエクササイズです。プランク、ツイストの動作、腕立て伏せ、クランチ、四つんば姿勢です。

腹直筋離開の他の筋肉への影響

腹直筋離開を起こしてしまうと腹筋に力が入らなくなります。出産前には出来ていた腹筋もできない、お腹に力が入らない状態が続きます。腹筋は全身の中心であり腕を上げる、歩く動作もすべて腹筋に連結されており、その腹筋に力が入らないと、ほかの部分で補助しようとしてしまい腰痛なども引き起こします。また、骨盤底筋にも支障が出るので、尿漏れなども引き起こしてしまいます。

お腹に力が入らないと、立っている姿勢も、太ももで体重を支えたり、脚の後ろ側(ハムストリング)の筋肉を縮めてお尻を落とした姿勢になります。太ももも前の部分に体重が乗り過ぎるので、脚も太くなります。また、太ももに異常に負荷がかかると膝の関節に負担がかかり、メニスカスがすり減ったり、膝の安定性が欠けるので足首の関節にも悪影響を与えます。

されど骨盤ですが、骨盤の位置でからだ全体のメカニズムが崩れます。妊娠期間中はその骨盤に一番影響を及ぼす変化が起こるので、しっかりと補強運動をし、姿勢の悪化を防ぐように心がけましょう。産後の回復にはしっかりとプログラムされたエクササイズを通して、弱った筋肉、凝った筋肉の改善を行うことに注意しましょう。

妊娠中、産後のエクササイズは受け売りの運動を自己流でするのはお薦めできません。マタニティーのグループフィットネスや、パーソナルトレーニングに参加することは、これから先の人生ともに付き合っていくからだのためには安い投資です。妊娠中、産後のからだのメカニズムのリサーチも多くなされ、適切な運動の仕方も数多く発表されています。健康な赤ちゃんの出産、そして健康な母体のためにも妊娠の期間に応じたエクササイズをして下さい。

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