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自動筆記

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記事一覧

自動筆記48【世界】

どこかで見たイメージばかりが氾濫していて、時々何もかもがつまらない。でも目を開いて、水の一滴、葉に当たる風、雲の具象を、頭を使わず知覚器官だけを便りに知ろうとすると、すごく心を動かされる。面白くないのは、人が作り出した世界のイメージの方なんだと思う。抽象は面白いもののはずだけど、誰かの作り上げたイメージの借り物を使い回してるだけならそれは死んでる。何度も何度も生きなおすことができるものを殺している

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自動筆記47【いい日】

あー、手と手をつないでね
君とつながっててね

愛らしいなと思ってさ
だってそこ ゆるいとこなんだよ
もろいの
重なってるとこ
楽しいな

ずっと待ってたんだよ
穴掘ったりさ
やすんだりさ
いじけちゃったり
くじけたり

よくするんだけど

やっとどこかにつながったと思ったんだ
ずっと途切れてたから

所在なくて

疲れちゃったりね

崩れそうなとこをさ
ちゃんと崩してもらわなきゃと思って

ほろ

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自動筆記46【轟々】

いつぞや見た空はこんな空。
落ちそうな透度がどこまでも から。

私は干からびてはうるおう。
やせ細っては肥満す。

困窮し貪欲し
切望し怠惰し

寝そべって頭上に開かれては
星に撃ち抜かれ…

編み出された世界の価値が
変幻自在に姿を変えます。

それは、ゆるみたわみ
巨大な流れになって
飲み込む。

でも、人もまたそれをかっくらうよ。
轟轟。

ゆき先を教えて。
気が向けば会おう。

自動筆記45【正視】

良くないことを予感しない。良くないことを予感しない。良くないことを予感しない。

自動筆記44【しき】

ひとしきり、
ふりしきる、
あしひきの、
山川の瀬の、
おしきみの、
意識不明の、
古式の数式。

ゆゆしき事態だ、
錦の知識。

自動筆記43【伝説】

片手の先の恨み爪 ねめつけ顔でつきつけて
勇者一斉に首をつる 罵倒の上の丘を越え

あざける 足蹴る 悪し様に 勇者わたしの丘を越え
天国地獄へ一心不乱 凌駕 満ち充ち 穴をほる

祭り上がったお話の 誰も知らない顛末を 
この燃え尽きたお話の 誰も知らない顛末を

かれ伝説のようにでっちあげ
われ伝説のようにでっちあげ

自動筆記42【心配】

気をもんで
心配する自由

気をもんで
心配する権利

気をもんで
心配する愛情

自動筆記41【教祖】

あなたの子供が泣いていて
私の子供は立ち去りがたく
ふたり何だかぬれていて
いつ雨はやむだろうか

彼は混乱した教祖だから
あんなに人々は心酔して
惑って心を狂わせて泣く

あやかりたくて多くが後を追うけど
触れると終了 そんなところだろう

自動筆記40【彗星】

僕たち人々の絆をすべて繋いでネットにして、
地球をトロールしながら宇宙空間かっ飛んで行く。

自動筆記39【祝祭の鐘】

祝福されつつ世界に在れる私たち
毎日をいわって
交わす言葉を 視線のまじわりを 笑みを 冗談を 慈しんで
生きていく道を過ごしやすいように整える事は 喜びを
活力を 幸福を すぐ隣に息づく苦痛をなだめる胆力を
私に辛抱強く それが全て唯一だとささやき続ける

寝ること 食べること 食べないこと
清潔と怠惰の宙ぶらりん
朝のはじまりを知る 夜をちゃんと終える
カードは順にめくられて
他人の心には入れ

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自動筆記38【悪態】

さて苦痛。

とりたてて屁でもないすかし笑い。へ・へ・へ。
痛がっても天の使いは神さんをののしらんで偉いねぇ。
落ちたことが痛い事が悲しいことがそれが自分の役割と受け止められるなら
たいがいの棘は気持ちを麻痺させてね。
痛みがかえって心を落ちつけてね。

イヤミも陰口も恨みごともなーんにも言わない人が悲しんでしぼんでてさ。
自分と関係のないことに、もしくは自分と関係のあることにも
泰然と平然と、諦

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自動筆記37【鱗】

夜が来れば何かが始まると思っている。外は雨。友人から『Darwin's Nightmare』のDVDをもらう。外は魚。鱗のように続く屋根瓦が、二階のこの部屋から延々と見える。薄い。暗い。寒い。

去年の夏、猫が死んだ。埋めた庭、今ではムスカリの花が咲いている。紫。ここ数日寒いのだ。猫は平気だろうか。「わたし」と鳴く猫。「わたしわたし」と鳴いて、泳ぐ魚を眺めていた猫。わたしわたし。わたしわたし、以前

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自動速記36【平和な地獄】

ここは火のつく島。涙流す道。旅人が懺悔のために這いつくばって苦しむ。ひとつひとつの墓標を辿り、胸の嵐を握りしめ…。

私たちの感情と感覚は切り離されない。言葉と絵空言は癒着しあって、それらを引き剥がそうとする頭でっかちな暴力は、不健全な色を帯びている。

何かにとらわれまいとする脱出欲に憑かれた人は、いつしかその欲望を餌として、ふりほどけない重力に抱かれ、リズムを失くした公転をはじめる。あざわらわ

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自動筆記35【星の王子】

ふと気づくと

大切に想っていた花は倒れている

優しかった獣は汚れている

お前のせいだよと泣くから言葉もない

わたしだけの愛おしいモノたちに降り注ぐ雨、雨、雨。