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黄金言葉からコーチングを考えるVol.3

沖縄には黄金言葉(くがにくとぅば)と呼ばれるものがある。

先人からの教えというか、沖縄版ことわざというべきか、
語り継がれている言葉だ。

命どぅ宝(ぬちどぅたから)は有名かもしれない。

標準語で言うところの金言とか名言みたいなものに当たるのかも。

この黄金言葉というのは、実生活はもとより、
やはり競技生活においても活かされている。

いや、それらを競技生活につなげるということが大事なのだと思う。

先日、沖縄のラジオを聴いていて、
この黄金言葉を紹介していたので、私としても備忘録として残しておきたいし、競技生活につなげるという部分でもここにまとめておきたいと思ったのでnoteにすることにした。


木の曲がりやちかーらりしが肝の曲がりやちかーららん

これは
「木が曲がっているものは使いようがあるけど、
心がまがっていたら使いものにならない」

という意味。

木の枝が曲がっている、というのは、
時としてオブジェや家具として使い道がある。

川で拾ってきた流木がネットで売れる時代。
デザイナーは木の曲がりを利用してデザインする時代。

人工的ではない、自然にできた曲線美というものがある。

それぞれ、使い道がある。

けれども、肝(心)が曲がっていたら、
どうにもならない、
という教えである。


伸びる選手の特徴

伸びる選手の特徴としては、
【素直さ】があげられる。

こちらからのアプローチに対して、
素直にやってみる。
よく形容されるのが、
「スポンジのような選手」
であるが、
これは、自分のこととしてとらえられるかどうか、
という部分でもある。

言われたことに対して、
「自分には関係ない。」
「自分はできているのに」
「また言ってる、面倒くさい」
「自分のやり方があるのにうざい」
「やってるのにいちいち言うな」

なんて考えていたら、
伸びない。

全体に対して、
違うポジションの人に対して、
他の選手に対してアプローチされたことを、
自分のことに置き換えて、考えることができる。
自分のこととして考えることができる、
というのは大事だ。

もしも、過去の指導者と違うことを言っていたり、
自分の考えに合わなかったとしても、
なんでそう言っているのか、
なんでそれをするのか、
と考えることが大事。
可能であれば、実際にやってみてほしい。
まずはなんでそう言ってるのかやってみて、
それでも合わないのであれば、
受け入れなければいい。

一部のトップ選手を除き、
育成年代で考え方が凝り固まってしまうと、
自分の可能性を自分で狭めていることになる。

どれだけ指導者がいいアプローチをしても、
素直さという部分がなかったら、
受け入れられないし、
伸びない。


素直さの危険性

しかし、指導者のいうことを何でも聞くというのが
【素直な選手】というわけではない。

育成年代では指導者と選手というタテの関係性が強く、
トップダウン的なコーチングになることが多い。

指導者のいうことを何も考えずに聞く選手が
素直な選手という勘違いを指導者側もしがちである。

指導者にただただ従順な選手を育成したいのではないはずだ。

そういうアプローチをしていると、
おそらく指導者を超える選手には育たない。

何も考えずに指導者のいうことを聞かせるのではなく、
指導者のいうことを考えて受け入れる。
もしくは受け入れて考える。
という素直さが必要になる。

いい選手の特徴が、
「指導者のいうことを聞く都合のいい選手」
という指導者側の勘違いはなくしていきたいものだ。

指導者のいうことをただただ返事をして、
よく聞いているからと言って、
考えているかどうかはわからない。

何も考えずに返事をして言われたことをしているだけの選手は、
おそらく、伸びない。


伸びない選手の特徴

高すぎるプライドと思い込みがあると、
人のいうことを聞かずに、
自分の好きなプレイ、やりたいプレイに終始することになる。

大方、そういう選手はできない理由を外に求めて、
自分に対して矢印が向かない。
できない理由を探し、できない自分を正当化し、
「自分のやり方はこれなんだ」と固執して自分で制限をし、
結果、伸びない。


素直さはどこで作られるのか?

では、スポンジのように吸収していく、
「伸びる選手」はどうやって育成されていくのだろうか。

一言で言えば、
指導者との信頼関係ということになる。

指導者との信頼関係がなければ、
言われたことに対して素直になれない。

例えば、普段言われていることと同じなのに、
名前の知れた指導者が言っていたから、
偉い人がそう言っていたから、
という理由で受け入れるというのは、
普段は自分の中で
「できま線」「やりま線」という線を引いていることになる。

普段の指導者との信頼関係ができていないと、
指摘されて思い当たることがあったとしても、
素直に受け入れられないという現象が起きてしまう。

指導者との信頼関係が前提にないと、
素直さを求めるのは難しい。

素直さはどこで作られるのかと言われたら、
基本は家庭ということになる。
教育現場やスポーツ指導というのは、
その補助的な部分であり、
そこを全面的に委託を受けるには荷が重すぎる。

それでも素直さを求めるのであれば、
それは成功体験と嘘がないことである。

この人のいうことを聞いたら、うまくいった。
ハンドボールが上手になった。
できなかったことができるようになった。
という成功体験は信頼関係構築には不可欠な部分でもある。

そして、日頃から発している言葉に対して、
指導者自身が嘘がないことだ。

選手には挨拶は大事とか言いながらも、
自分があいさつしないとか、
気が利かないとか、
自分で自分のことをしないとか、
そんな指導者を見てると、
選手は飾りの言葉を信じなくなる。

指導者が言ってることは誰でも言えるような一般論で、
どこかの本で読んだり、誰かが言ってた借り物の言葉で、
その言葉にリアリティがないと心には響かない。

よく指導者講習会に講師としていくことがあるが、
そういうところに来る指導者も、
自分から名乗ってくる人は本当に少ない。
半分もいない。
選手には声を出せとか挨拶をしろと言っているだろうけど、
自分はコートの外で立ってるだけ、座っているだけで、
コートに入って選手の近くで見ることもしなければ、
パスを出したり、ボールを回したり、
トレーニングが円滑に進むような取り組みはほとんどしない。

そんな指導者が普段どんな指導をしているのかは、
おおかた想像ができるところだ。

きっと一生懸命に大きな声を出したりしながらも、
限定的で高圧的で発展性がなく、行き当たりばったりの指導をして、
疲れている選手を見て、
「今日もいい練習した」と自己満をしながらも、
あれがだめこれがだめとダメ出しをしているに違いない。
疲れさせる、精神的に追い込むことがいい練習だと思っている。
そしてそれをしている自分を疑わない。
伸びない選手の特徴そのものだ。


まとめ

心がまっすぐじゃないと、
素直さがないと、
どれだけアプローチをしても受け入れてもらえない。

まずはその心を整えるというのが大事になってくるが、
スポーツの指導をしているのであれば、
スポーツの技術を伸ばすこと、
スポーツ本来の楽しさを感じさせることで、
心を整えて育んでいくしかない。

選手には得手不得手があって当然だ。

しかしそれは、曲がった木のように、使い道がある。
その使い道を探すのも、抜擢するのも指導者の力量だ。

しかし、心が曲がった状態の人間にいくらアプローチをしたところで、
コーチングの効果はほとんど得られない。

家庭環境や育った環境で、
様々な屈曲や屈折があるのが人でもある。

それらも含めてのコーチングでもある。

ただ、そういう選手に心からアプローチするよりも、
成功体験を積ませるように、
結果を出してあげることで、
少しずつオープンマインドにしていきたいものだ。






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