早さを求められるからこそ

今となっては、早さは非常に価値があるものだとされています。本を読んでいても、時間は命とも言えるからこそ、決して無駄にしてはいけないとよく書かれています。

そして、僕もそう思っていました。

ですが、いつしか僕は時間に囚われてしまったのでした。

時間の無駄を許せなくなってしまったのです。そうしていくことで、当然ながら、自分の失敗や人の失敗も許せなくなってしまったのでした。それが、一番の時間の無駄になると感じたからです。

効率ばかりを求めてしまったら、いつしか心を亡くしてしまったようでした。

そんな僕は、時間に囚われてしまうあまりに、慎重さを欠かして大きな失敗をしたことがありました。

心を病んでしまったとき、僕は、とんでもなく焦っていました。入院を余儀なくされ休業したこともあって、危機感でいっぱいだったからです。これ以上遅れてしまうと、仕事が自分の居場所が、これまで積み上げてきたものが全てなくなってしまう。だから、早く治さないといけないと思いました。

ですが、そんな状況に追い込まれていても、僕は「自分は大丈夫」と、どこまで思っていました。だから、おかしいのは僕ではない。おかしいのは僕の周りの人達だと思い込んでしまったんです。休めと言ってくる身内に嚙みつきました。自分勝手に、処方された薬を拒みました。すぐにでも、仕事に復帰すると言って、病院から抜け出そうとしました。

ですが、すぐに止められて厳重に注意をされました。そのことがとてもショックで、もう僕の人生が終わってしまったと感じて、全てが真っ暗に思えたのです。

後で考えれば、時間を惜しみ早さを求める思考が、焦りをもたらし時間を急くあまりに、安易で無鉄砲な行動を引き起こしました。それが、余計に心の傷を深めることになってしまったと思います。

ゆっくりでなければ成し得ないこと

心だけでなく身体においても、回復させていくにはゆっくりでないと成し得ないものです。それを僕は痛いほど身に染みたんです。

だから、他にも心を落ち着かせることやリラックスすること。癒しを求めることに関して、時間を掛ける必要があるのだと思うのです。

そうやって考えていくと、ゆっくりでなければ成し得ないことは、たくさんあります。そして、そのどれもがとても人生において大切であるような気がします。

信頼や信用を築きあげていくこと。何か技術を身に付けることや人としての器を広げること。つまり自分自身の成長は、生涯、時間をかけていく必要があるのですから。

どんな人間になりたいのか

僕のおばあちゃんは、いつも穏やかに笑っていたのを、ふと思い出したんです。落ち着き払っているというか、一緒にいると僕までも心穏やかになれたような気がしてたんです。

安心感のある人。きっと、人とコミニケーションを取る中で、安心出来る存在は大きいと思います。せかせかとまくし立てながら話す人か、落ち着いてゆっくりと話す人か、どちらが通じ合えるのかを考えたときに、僕はきっと、心穏やかな人の方を選ぶと思うからです。

僕自身も年齢を重ねていくうちに、目指すものは、そういう人であると思うのです。

だったら、早いことに囚われて、いき急ぐ日常から、少しずつでも、シフト変更していく必要があるのだと思うのです。

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今日も自分をご機嫌に。
メルシー