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 用事があって四ツ谷に行った。ランチはとんかつが食べたくて三金に決定。
 四ツ谷の三金というと、50代以上なら誰でも知っている昭和の「ごちそうとんかつ」だ。昔は駅から行くと新宿通り左側にあったが、惜しまれつつ閉店。しかし十数年前に通りの向かい側に移転、再オープンしている。
 その店に来た。9年ぶりだ。
 階段を登って店内に入り、ヒレカツ100gのCランチを選ぶ。ご飯はお代わり無料だが「少なめで」とオーダー。
 かつを揚げる音をBGMに待つ。だんだん期待が高まってくる。
 10分ほどで運ばれてきた。ああ、そうそう、このキャベツの千切りね。専用スライサーで切ったキャベツは、とんかつ屋以外のレストランではなかなか見られなくなった。盛り方も食べ口もふんわりのキャベツ、無料のお代わりはしないけれど、いくらでも食べられそう。
 味噌汁はしじみ汁。家酒を止めたとはいえ、肝機能は加齢に伴いそれなりに弱っているはず。殻のなかのしじみの身もひとつずつ、ありがたくいただく。ご飯はわたしの好み、硬めなのもこの味噌汁に合う。
 さて、肝腎のとんかつだ。とんかつ屋というと時々、ものすごくパリっとガリっとした揚げ物が出てくるが、ここのはそうではない。しかし油がきちんと切られた、さくさく食感のかつだ。そしてものすごく柔らかい。
 柔らかいかつを評して、時々「箸で切れるとんかつ」という。三金のかつは、箸で支えているあいだはしっかりと形を保っている。だが口に入れると、歯をちょっと立てるだけでくずれてくる。
 ソースも昔ながらのちょっと甘い、いわゆる「とんかつソース」の味だ。昭和テイスト満載なのがまた、良いレストランとしての評価を高める。
 とんかつ100gといっても50代には食べごたえある量で、油がいいのとキャベツのせいだろう、すいすい食べられてしまい、食後もとんかつを食べたことを忘れてしまうくらい、胃がすっきりしている。
 時々「とんかつを食べたい」と思うが、胃にもたれるなぁと考えるとなかなか食べられなくなってしまった。でも、そんなときは三金にくればよいのだ。お手頃な価格で、昭和のごちそうが食べられる。

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