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浮遊

愛を謳う、ニセモノの蝶々、世論とは、一体全体、誰の考えであるのか、と、散々な現状に押し潰されないために、ただ、ひたすらに耐え抜いている君の表情、意識の表裏、意思するという苦しみの波形、神経組織を走る虫、アンダンテとフォルテシモのガイダンス、堕落した思念を拾い集めるピエロたちの慟哭、あらゆる悲劇の幼少期を愛でる煌めく春を食べる虫、忘我の質感を頼りに、徘徊する少女たちが作った貨幣や紙幣を交換して、寂れた記憶に支払うべき家賃や、宿無しになった猫たちの漂流記、ダクトを走り回るネズミたちの観念や、約束を突き破るロンギヌスの槍、厄年なんかを謳い、君を攻め立てる価値観との別れを終え、悲劇のヒロインや、英雄気取りの輩や、恩恵ばかりを求める余りあるだけの史観、原始的な凶暴性に寄りかかる規範や政治性、じっとりとした澱んだ目をした浪費家たちが片手に持つ発泡酒、改ざんされる過ちに拘束され、疑念を紡ぐカラスたちの鳴き声、飼い殺しの日常や、誓約書に囲まれたベッドルーム、報いや憎しみばかりに苦しむのは辞めて、やがてくる宇宙時代なんかに、艱難辛苦を預けて、怠惰に揺らぐ老子の気分で、宇宙空間を、次々に跨いで行く。

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