Miho Kajitsuka

梶塚美帆。株式会社ミアキスという会社をやっています。日本の野生生物と標本が好き。 ht…

Miho Kajitsuka

梶塚美帆。株式会社ミアキスという会社をやっています。日本の野生生物と標本が好き。 https://miacis.me/

最近の記事

究極の愛について

飼っていたチョウが羽化した。 去年の10月、ジャコウアゲハの幼虫が道路を横切ろうとしていた。 「このままだと車に轢かれる!」と思って拾った。 わたしが幼虫を拾おうと悪戦苦闘してるときに、ちょうど子どもの保育園の担任の先生が通りかかった。 「〇〇くんのお母さん、何してるの!?」と怪しまれ、しどろもどろで説明したことも今ではいい思い出である。 拾った幼虫は2日後に蛹になった。 いま考えたら幼虫は蛹になる場所を探して動き回ってたのかもしれない。 その後、蛹のまま越冬して、羽化し

    • タッタッタの国

      わたしの子どもは0歳のときからぬいぐるみが好きである。 しょっちゅうぬいぐるみ達と「タッタッタッタ……」とおしゃべりをしていた。 わたしが人間の言葉で話しかけても微笑むだけなのに、ぬいぐるみになりきって「タッタッタ?」と話しかけると、「タッタッタ!」と会話が弾んだ。 それが楽しくて、絵本はまじめに読み聞かせせずに、ぬいぐるみといっしょに子どもの好きなページを眺めながら、タッタッタの国の言葉で話した。 0歳児とぬいぐるみだけがいる世界へ遊びに行っている気分だった。 そんなふう

      • 37歳になって考えたこと

        9月下旬にわたしの誕生日があり、家族で食事に出かけた。 行ったのはファミリー向けのお店。だけど、テラス席でスパークリングワインを飲んでいると、子連れの食事(お世話がちょっと大変)という感じではなく、友達や恋人とフツーに食事をしているときのようなウキウキした気分になった。 夜風が涼しくて気持ちよくて、テラスは静かで落ち着いていた。 子どもはニコニコしながらたくさん食べていた。お子さまランチを完食し、サービスの離乳食をお椀一杯食べ、夫が頼んだアイスのコーン部分をほぼ一人でたいらげ

        • 沖縄出張での二度とない夜

          「出張いいなーって言われるけど、仕事で行ってるんだから全然よくないよ。遊びに行くのとは違うんだから」 と、いっしょに飲んでいた友達の彼氏が言った。 友達は、彼から結婚を迫られているが、のらりくらりとかわしているらしい。 「わたしも前はたまに出張ありましたけど、人が羨ましがるほどいいものではないですよね」 友達の彼氏とはそんなに仲良くなかったので、とりあえず共感しておいた。 でも本当は、それは本心から遠い言葉である。 もう10年近く前、会社員時代に、沖縄へ出張に行ったときのこ

        究極の愛について

          育てるものの日常

          素敵な本に出会ったので、感想を書きます。 https://amzn.asia/d/hOGmoNe 著者は津守房江さん。 何の人なんだろう? 本を読んでわかるのは、4人の子どもの母親であり、母子愛育会の愛育養護学校の家庭指導グループで障害幼児の保育に関わっていた方、ということ。 この本は婦人之友社から刊行されていて、1986年ごろの『愛育』という雑誌などの連載をまとめたものらしい。 そして、Amazonで中古しか売ってなかったので、もう絶版になっているのかも。 内容は子ども

          育てるものの日常

          ヘルパンギーナ!と叫ぶわけ

          先日、子どもが発熱した。 朝イチで病院へ連れて行くと、ヘルパンギーナと診断された。 その日わたしは午後から取材だったので、看病を夫に任せて家を出た。 行きの電車では、ヘルパンギーナのことで頭がいっぱいだった。 でも、担当の編集者さんやカメラマンさんと会えたり、はじめましての方が素敵だったりと、取材そのものも雰囲気も楽しくて、仕事に集中することができた。 そして、取材場所から一歩外に出た瞬間、またヘルパンギーナのことが頭に浮かんできた。 帰り道でもずっとヘルパンギーナのことを

          ヘルパンギーナ!と叫ぶわけ

          何の役にも立たないものを贈る

          先日、友達の誕生日に、「何の役にも立たないものをあげてみよう」と思いついて、役に立たないものを探してプレゼントしてみた。 その友達は資本主義に対して疑問を持って生きている。 そんな彼女の心に、有益なものよりも無益なものの方がフィットするんじゃないかと思った。 でも、役に立たないものをあげるのは勇気がいった。 だから保険として、マークス&ウェブでバスソルトも買った。 ルミネをうろうろして、インテリア雑貨の店でネコのぬいぐるみを見つけたので、役に立たないものはそれにした。 や

          何の役にも立たないものを贈る

          子どもの発熱で保育園から呼び出し

          今朝はちょっとだけ子どもの機嫌が悪かった。 熱はなく、鼻水も咳も出てないし、ごはんもよく食べた。機嫌が悪いのは今日に限ったことではない。 それでも、なんか、なーんか、今日は休ませてもいいかなぁと、チラッと思った。 しかし、わたしの用事が午前と午後にひとつずつあったから、休ませる理由が特にないことを言い訳にして、いつも通り保育園に行かせた。 そしたら、登園して1時間もしないうちに、保育園から「熱が出たので迎えに来てください」と電話がかかってきた。 夫がお迎えに行って、そのまま

          子どもの発熱で保育園から呼び出し

          「ママになったね」という書き出しの手紙

          どうしたらこんなに生き生きとした文章が書けるのだろうと思った。 手紙をくれたのは、宮城県気仙沼市に住んでいて、わたしが「気仙沼のママ」と呼んでいる人だ。 わたしは1〜2歳のとき、少しだけ気仙沼市に住んでいた。 両親は共働き。小学校教師の母が育休を終えたタイミングで、保育園に通うことになった。 当時のわたしは、それはそれは頻繁に、熱を出したりケガをしたり、行きたくないと超絶ぐずったりしたらしい。 両親の実家は遠く、周りに頼れる人はいない。 なので母がしょっちゅう呼び出され、仕

          「ママになったね」という書き出しの手紙

          スリランカ、ウィルパットゥ国立公園にて

          その青年はジープの助手席にふかふかの座布団を敷いて、そこにカメラを置いていた。 わたしが助手席に乗り込むと、彼はカメラを大切そうに自分の膝の上へ乗せた。 名前はDさんという。二十歳ぐらいだろうか。 わたし以外誰も泊まっていない古いホテルが手配してくれた、ジープとドライバーだ。 サファリでDさんは、いい写真が撮れる場所に停車してくれたり、動物が現れるまでじっくり待ったりしてくれた。 ほぼ雨が降らないケニアのサファリと違って、スリランカのサファリには、植物が生い茂っている。 見

          スリランカ、ウィルパットゥ国立公園にて