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128/1096 凍てつく山の祝いの死

吾輩は怠け者である。
しかしこの怠け者は、毎日何かを継続できる自分になりたいと夢見てしまった。夢見てしまったからには、そう夢見る己を幸せにしようと決めた。3年間・1096日の毎日投稿を自分に誓って、今日で128日。

(この毎日投稿では、まず初めに「怠け者が『毎日投稿』に挑戦する」にあたって、日々の心境の変化をレポートしています。そのあと点線の下から「本日の話題」が入っているので、レポートを読みたくないお方は、点線まで飛ばしておくんなましね。)

128日目、今日はこれが200日になる日を知りたくなった。調べてみると、その頃はもう4月になっている。
石の上にも三年、とは奥深い言葉だ。三年というのは四季が三周する時間のことだ。毎日投稿を始めたのはまだ暑い9月の終盤のことだった。あれから冬が来て、200日の頃には春になる。毎日投稿を始めてからの、最初の季節の移り変わりを体験している。毎日書く冬、毎日書く春、というのは人生初の体験だ。
映画でもMVなどの動画でもそうだが、最初に見たときは何もかもが初めてで驚きの要素が大きい。二回目には既知のものから新たな発見をする。三回目で、親しみと慣れを感じる。
本当に好きだとか嫌いだとか向き不向きなどは、慣れ親しんでからわかることなのかもしれない。未経験のうちから頭で考えてウダウダ言う前に、三年の間に起こるいろいろを味わってから判断しろよってことなのだろう。
そんな事を考えていたら、異様に素直に、わかりやした!!そこまで行ってから考えやす!!という気持ちになった。

ふとした思いつきで調べてみたら、イタリアとスイスの国境に、海抜1096mの山があった。サン・ジョルジョ山と言い、世界遺産リストに登録されている。
http://visitaly.jp/unesco/monte-san-giorgio

一日1mを登ってこの山の頂まで辿り着こうとしているのだとすると、今日の時点ではまだ日本の高層ビル程度の高さにしかたどり着いていない。
甘い・・・甘いぞ自分よ・・・まだ排気ガスの匂いさえ振り払えていないじゃないか。ここからサン・ジョルジョの山頂までたどり着くのだ。
自分に継続力があるかどうかなんて、お前にはまだわかっていない。
その頂に立ってから感じるが良い・・・・

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今日は更新が夜になってしまった!!
たまには夜の気分で書くのもよいだろう・・・
 
夜になると、自然と神秘的な気持ちになる。しんみりとして、つい遠くを思う。昼間に遠くを思うときは、地上を思うのに、夜には宇宙を思う。

わたしには時々、不思議な記憶が浮かぶことがある。
記憶と言ってよいのかわからないけれど、それはイメージと体感とともに、とてもリアルに思い出されるものだ。今日は山のことを書いたら思い出された、その中のひとつを書いてみようと思う。

わたしは中背の筋肉質な身体を持った男で、とても寒いところにいる。外は一面が星の瞬きに合わせてチラチラと光る凍った大地に覆われていて、吹きすさぶ風は肌を切られるように冷たい。身体には動物の皮でできた、とてもかたい防寒具を着けている。

わたしは共に暮らす仲間たちのところにいて、自分のまだ15歳にも満たない息子が帰ってこないことを心配していて、ひとり、探しに出ようと思っているところだ。

そこでなぜかわたしは狼に心を飛ばすのだ。
狼よ、わたしの息子の息吹をわたしと共有しておくれ、と。
お前たちの力を分けておくれ。わたしたちと共にあっておくれ。

それから静かに支度をして、集落を出る。
岩山の中腹の広い大地には、凍った白銀の土の間から灰色の岩が見える。
心を静かにして、緩やかな稜線を登る。
鼻を横切る風は凍った空気の匂いがして、それは砂を吸うように厳しいものだった。

わたしが歩きだして間もなく、集落からフッと意識が離れて目的だけに向かったときに、それを合図にしたように狼の遠吠えが聴こえた。
それは遠くの火から長く長くたなびく煙のように、わたしを急かさないように、ただゆっくり来ればいいというように、柔らかく発されたものだった。

わたしはそれを聞いて、はたと息子が戻らないのだと思った。狼はそれを知らせようとしている。わたしを動転させないために。狼の深い優しさと、彼らの知る自然の厳しさを厳格に備えた知らせだった。
その途端、思考が回りだすところだった。ありとあらゆる反論を考えようとした。そのとき、わたしの心の中の神のようなものが、凍った大地に意識を戻せと言った気がした。わたしは心が木っ端微塵になってしまいそうだった。

しかしただ遠吠えのした方に、ザクザクと歩き続けた。
一歩も足を止めず、少しも歩みを緩めなかった。寒さのあまり、息を吸うたびに冷たい空気に抵抗する肺の形がわかるようだった。喉と口の中には痰がからんで血の滲んだような味がする。それほど寒いのに、胸に汗をかき始めた。

遠吠えのした岩のほら穴にたどり着く前、わたしは顔を上げてみた。
入り口の近くに、遠吠えをくれた狼はいた。わたしが彼を見ると、彼は地面に腹をつけて、前足を伸ばして座った。座り込むときに、大きく吸った息を、鼻を鳴らして吐いた。
そして、風のほとんど当たらないほら穴の入り口に、息子は片腕で膝を抱えて、そこに横向きに頭を乗せて座っていた。まだ10メートルほど離れているが、頭の上の髪が、白く凍っているのが見える。

わたしはその姿を見て、息子に息がないことを悟ったのだった。
静かに近づく。息子は薄目を開けてぼんやりとどこかを見ているような顔をしていた。わたしはその時、これまでに知らなかった自分を発見した。

悲しみがまるで恐ろしい悪意のように胸に膨れ上がって、胸から眼球に吸い上げられた血液のような生々しい涙となって、頬を伝った。
息子の手はまだ幼かった。なめらかで、美しく、大人になる前の若木のように弱々しく、可愛らしかった。わたしはそれを見て激しく自分の死を願った。今すぐに、今すぐに、息子のそばへ、神よ、雷よ氷よ、わたしをかき切ってくれ!!!

それなのに、わたしはどこかで、息子は生命を使い切ったと知っているのだ。彼が青銀の霧となってそばにいるのがわかるのだ。彼は軽々と身をひねって周囲を飛んで、わたしのそばにいた。

その時だった。わたしは息子の霧の匂いを嗅ぎ取ったのだ。
自由を知った息子の、幼くとも何億年もの命のつながりの中にいる温かい匂いだった。わたしはその時に悟った。ひとりでいるのは、死の別れを怖れているのは、生きているものの方だったと。

息子は温かみの中にいた。この吹きすさぶ大地から解放されて、金色の祝福の中にいた。そして少しだけ、この凍った厳しい世界に居残っているのだ。彼はわたしの悲しみに寄り添っているのだった。

わたしは狼とほら穴の入り口にいて、夜に沈み始める極寒の大地にいることを思い出した。わたしは静かに心を落ち着け、静かに定めた。
息子がわたしを哀れむことのないように、そのためにこの寒い大地に繋ぎ止めてしまわないように、息子の死を祝おうと。

するとその瞬間、すべてが輝き出したのだ。心の中のことではなかった。目に見える息子の凍った髪、風の中の氷粒、洞窟の中の音も空気も、大髪の毛の先までもが。それはわたしの怒りと後悔とを許し、まるで笑いかけるかのようにキラキラと光っていた。わたしは、強くあることを諦めてよいのだと、哀れまず、ただ悲しむだけでよいのだと知った。

わたしは息子のたいそう可愛らしい目をそっと閉じて、亡骸を背におぶって、大声を上げて、まるで甘えるように泣きながら、息子との別れを祝いながら歩いた。
息子よ、わたしの血と命を分けた子よ、金色の世界は温かいかい?お前は楽しいかい?わたしは寂しいが、こんなにも悲しいが、わたしは嬉しい。
わたしはお前の愛を知っているよ。それは永遠だ。だからわたしは嬉しい。

息子は眠ってしまう植物の毒に当たったのだった。この寒さの中で無防備に眠ってしまうと、それは死を意味した。それは、良い死だった。
彼は、この世界から飛び立った。
今はつながりの中で安心してわたしを見ているのだ。わたしは残りの時間を生きようと心から思ったのだった。。

この記憶がなぜあるのかはわからない。自分には、こんなドラマや映画を見た記憶もないのだけれど、もしかしたら知らぬ間に寝ている間に見た夢だったのかもしれない。

その出処はなんであれ、この感覚からたくさんの洞察を得たという点では、わたしにとってリアルな体験から何かを学んだのと変わりがない。
これを思い出すと、いつも涙してしまう。

書こうと思うととても長くなってしまうので短くしてみたけれど、今日は夜にふと思い出した記憶を書いてみた。
願わくば、読んでくださった方の心の小さな引き出しが開くキッカケとなりますように。

それではまた、明日!!!

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