記事一覧
早飯早グソは三文の得
ちょっと品のないタイトルで昼時から申し訳ない。しかしこれは今回の話の根幹にまつわる単語なのでどうしても使わざるをえなかった。ご容赦いただきたい。
筆者がシリコンバレーで働いてた頃、日本側がBoxを入れたいというのでBox社との打ち合わせに参加していた。その時、「せっかくシリコンバレーに住んでるなら一度本社に来なよ」とお誘いをいただいたので、お言葉に甘えてひょこひょこと見物に出かけた。完全なおのぼ
Microsoft賛歌
はい、今日はみんな大好きMicorosoftについてのお話だよ! 寄ってらっしゃい見てらっしゃい。
実際のところ、Micorosoftの製品がすごく好きで好きで仕方ない、という人は少ないと思う。WindowsやOfficeはデファクトだからなんとなく使っているだけだし、TeamsよりはZoomのがUIが洗練されていていいなあ、と思う人も多いと思う。筆者もそうである。
筆者にとって、Micros
関数としてのテーブル - 写像と命題関数
拙著の一つに『おうちで学べるデータベースのきほん』というデータベース初心者向けの入門書がある。2015年刊行なのでそれなりに年月が経っているのだが、ありがたいことに今でもコンスタントに読んでいただいている。
この本の中で「リレーショナルデータベースのテーブルは関数として捉えられる」という話をしているのだが、ある読者の方からそこがよく分からなかった、という質問をいただいた。ちょうどよい機会なので、
君子は豹変す - Google Cloud Next 2024 Recap
4/9 - 11の期間、ラスベガスでGoogle Next 2024が開催された。今回もいろいろと大きな機能追加の発表があり、多くのメディアで取り上げられている。一般的にはやはり生成AIまわりの注目度が高いだろう。筆者も、データベースエンジニアをしていたこともあり、Gemini in BigQueryによる自然言語からクエリ生成を行う機能などは非常に気になる機能だ。
ペンタゴンへのメッセージだが
Salesforceはインフラ企業の夢を見るか
先日、Salesforce社がインフォマティカの買収を検討しているというニュースが流れた。CRMの企業がなぜデータ連携の企業を? と疑問に思った方もいるかもしれないが、ここにはSalesforce独自の戦略が見て取れる。本稿ではSalesforce社が何を考えているのかを、その買収戦略から読み解いていきたいと思う。通常のクラウドベンダーとは一味違う戦略を持っており、インフラエンジニアの方にも興味深
もっとみるソフトウェアと愛 - あるいはOSSとAWSの確執
OSSというのは、不思議なソフトウェアだ。世界中で何百万人もの人が一円にもならないのに開発に協力し、コミッタと呼ばれるエンジニアキャリアをOSSに賭ける人々が現れ、多くのユーザがユーザ会を組織し、時には大規模なイベントを開く。MicrosoftやGoogleといった大企業もOSS支援を表明している。GoogleにいたってはandroidとKubernetesという重要なOSSを世に送り出した企業で
もっとみるNewSQLはデータベースに革命を起こすか - NetflixにおけるCockroachDBのユースケース
近年のデータベースの新潮流にNewSQLと呼ばれる一群のデータベース製品群の登場がある。そのコンセプトを一言でいうと、RDBとNoSQLのいいとこどりである。SQLインタフェースと強いデータ一貫性(ACID)というRDBの利点と水平方向のスケーラビリティというNoSQLの長所を兼ね備えた夢のようなデータベースである。下図に見られるように、RDBとNoSQLが鋭いトレードオフを発生させていたのに対し
もっとみるSolorigate事件の教訓 - サプライチェーンアタックを防ぐことは可能か
先月末、主要なLinuxディストリビューションなどで広く使用されているファイル可逆圧縮ツール「XZ Utils」に、悪意あるコードが挿入された問題(CVE-2024-3094)が確認されたとして大きな波紋を呼んでいる。このコードが挿入されたバージョンのXZ Utilsがインストールされたシステムは、特定条件下で、SSHポート経由で外部から攻撃者が接続できるような改ざんが行われる可能性がある。
今
米国連邦政府におけるクラウド戦略 - クラウドシフトを支える組織と法令
さて、米国連邦政府のクラウド戦略その3である。その1とその2はこちらからどうぞ。今回は、米国の連邦政府という組織と法令という観点からクラウド戦略を見ていきたいと思う。これらはエンジニアからすると周辺的なことと思われるかもしれないが、実際にクラウドを活用していくには欠かすことのできない観点である。
それでは初めにまずは組織の観点から見ていこう。
クラウドシフトを支える組織エンジニアの直接雇用と内
米国連邦政府におけるクラウド戦略 - クラウドセキュリティをどう担保するか
さて、米国連邦政府のクラウド戦略についてのレポートその2である。その1はこちらを参照。その1を読んでいなくても支障はないが、歴史的な話をしているので先に読んでいただくと理解が捗ると思う。
前回は、どちらかというと連邦政府の取り組みがうまくいかなかった、というトーンで話をしたが、公平を期して言うならば、成功している部分もあるし、うまくいかなくても諦めず粘り強く進行している取り組みもある。こういうと
米国連邦政府におけるクラウド戦略「Cloud First」の失敗と教訓
本稿の趣旨は米国連邦政府のクラウド推進戦略、いわゆる「Cloud First」から始まる一連の政策が辿った経緯を概観することである。米国のクラウド戦略は、掛け声こそ勇ましかったものの、あまりうまくいかなかった。これは筆者の主観ではなく、連邦政府自身がそれを認めるレポートを出している。あとで具体的に見ていこうと思う。
本邦においてもガバメントクラウドが本格的に動き出している。さくらインターネットが