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【最近は、こんな感じ】 街に包容力があった。

上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie_shanghai

21 Meiko

<Profile>
Meiko(メイコ)
生まれ年:1993年
出身:雲南省蒙自市生まれ、福建省厦門市育ち
職業:カフェ店員
Ins @meikointhehouse

腰かけてコーヒーを待つ間、
なんだか目で追ってしまう存在。
『MANUAL ESPRESSO BAR』の常連は、
みんなそうなんじゃない?
そんなMeikoさんに、
今日は話しかけてみた。


――ここ『SPOKE』(華山路1520弄121号1幢105室)は最近オープンしたんですか?
Meiko そうです。私がいつもいる『MANUAL ESPRESSO BAR』(延慶路15号)と同じオーナーのカフェ。『SPOKE』のほうはお酒メニューがあるので、夜忙しいときに私もこっちに来て手伝っています。

――『MANUAL ESPRESSO BAR』はよく通りがかりに立ち寄っています。いつも混んでますよね。人気の理由は何だと思いますか?
Meiko やっぱり、コーヒーがおいしいこと。それがいちばん重要だと思います。あとは、スタッフもお客さんたちもすぐ友達になれるような雰囲気。たとえば、店の向かいにおいしい水餃子のお店があるんですが、「ちょっと荷物見てて。食べてくるから」みたいなお客さんがけっこういる(笑)。あとは、犬も猫もインコも、何でも連れてきていいところとか。チルな人、友達の友達とか、気軽な感じのお客さんが多いです。

――カフェで働いていて、いちばん楽しいことは何ですか?
Meiko 「ここのコーヒー、おいしいよね」というお客さんの会話が聞こえたときです。それと、こんなに小さな空間なのにいろんな人に出会えること。今よく遊ぶ友達の3分の1はお店で知り合った人です。90歳のおばあさんの常連とかもいるんですよ。なんか、友達との麻雀に行く前にコーヒーを買いにくるみたいで、いつも「早く早く」って急かしてくる(笑)。

――上海、カフェの文化が浸透してますよね。軒数も世界一多い都市とのこと。
Meiko でも、実は私はそんなにカフェ好きってほどでもなくて(笑)。通りがかりにあったら一杯買うくらいですね。カフェめぐりとかはしないかな。というのも、真面目にやっているお店は少ないと思うからです。そんななかで最近いいなと思ったのは『Café Otter』(法華鎮路456-7号)。テーブルや椅子を廃材で作っていておもしろいし、パンがかわいい形なんです。本屋さんが経営していて。

“よく作るのは雲南料理”

――カフェで働こうと思ったきっかけを教えてください。
Meiko 実家の家族がみんな料理好きで、私も料理が好きなので、もともと漠然と飲食店で働きたいと思っていました。上海に来たのは2019年。友達が住んでいたのと、包容力がある街だと思ったのが来た理由です。で、最初に働き始めたのが『FINE』。

――提子さんのお店。
Meiko はい。その後、『MANUAL ESPRESSO BAR』へ友達に誘われて。

この日、お客さんが連れてきた犬と

――普段、ほぼワンオペで完璧にコーヒーを淹れていますよね。専門的にバリスタの勉強をしたのかと。
Meiko 全然です(笑)。私はまだ1年くらい。コーヒーについてはここのオーナーに教わりました。そこで初めて、「コーヒーって、豆選びやミルク、配合なんかがすごく考えられてるんだなー」と思った。なのでまだ勉強中です。そういうことを知るまでは、コーヒーよりもお茶やジュース派でした(笑)。

――料理も得意なんですね。
Meiko ほとんど毎日作っていて、よく友達と「誰の料理がいちばんおいしいかPK」をやっています(笑)。私は厦門育ちなんですが、ルーツが雲南省なので雲南料理っぽいのを作ることが多いですね。雲南料理の魅力はものすごく種類が多いこと。少数民族の数だけいろいろな味があるし、地域によっても違う。チベットに隣接する地域にはまた別の料理があったり。酸味、甘味、辛味などが複雑に融合していて、ミントやパセリなどの香味野菜もたくさん使うから、無限に味の広がりがあるんです。将来は、そういうのを出すレストランをやりたいな。

普段つくる料理の数々(写真はMeikoさん提供)

――ところで最近、“包容力”という言葉を上海でよく聞く気がします。Meikoさんもさっき言っていましたよね。
Meiko 上海は、個性的な人やマイノリティを受け入れてくれる人が多い街だからだと思います。たとえば、お店にくるお客さんでもスカートを履いた男子やスキンヘッドの女子がいたりしますが、誰も何も気にしてない。奇抜なビジュアルも普通。そういうところだと思います。なので、今後もしレストランを開くとしたら上海だと思う。友達もたくさん住んでるし。

“移動しながら暮らしたい”

――では、ファッションについて。自然体でおしゃれで、ほかにいない雰囲気ですよね。影響を受けた人はいますか?
Meiko 小学生くらいのときに台湾のシンガー・ELVA(萧亜軒)を好きになって、それからずっとこんな感じ。あとは、ストリート系の音楽の影響。ワーク系の服も好き。作業員用の安全靴とか。なので、生まれてから一度もヒールの靴みたいなのは履いたことがありません。買うのは古着市場が多いです。あとは友達にもらったり。好きなブランドも特にないです。

――では、出身の雲南、育った厦門、今生活している上海の3つの地域のなかで、特に思い入れがあるのはどこですか?
Meiko どういうところで生活したいかにもよると思う。雲南省は気候がよくて、山や原生林があります。上海は現代的な生活ができる。厦門は、海も山もある。私、日本へ旅行に行ったときにいちばん好きだなと思ったのが鎌倉なんです。山も海もあるところ、厦門に似てますよね。サーフィンとかもできるし。でも、ずっとそこに住むのではなくて移動しながら生活するのが理想だなと思っています。

――今後別の場所で暮らすとしたら、どこがいいですか?
Meiko 北欧。あとは日本。

――では、Meikoさんは10年後、何をしていると思いますか?
Meiko レストランを経営していて、いろいろな国に行ったりする生活。レストランは、最初はビストロをやってみたいと思ったけど、ビストロって毎日は行けないですよね。だからうちの店の向かいの、あの水餃子屋さんみたいなお店を開きたいと思っています。
(取材日:2023年6月7日 撮影地:華山路、延慶路)


<彼女のお勧め>

『福烤錦花』(上海市黄浦区長楽路223号)
☆人の家で食べてる気分になる焼き鳥屋さん。壁が燻されて黒くなっている。すごく小さい店だけど、ああいう雰囲気が大好き。

『南蛮子』(上海市黄浦区茂名南路56号E区2階)
☆この前テイクアウトしたらとてもおいしかった。いい食材を使っている。お店の人もみんな雲南の人。

『劉和園雲南過橋米線』(上海市徐匯区宜山路61号)
☆「豆花米線」がおいしい。本場と同じ味。


text
萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『Ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_
微博:Akiko06

photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe

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