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異邦人一家、弥次喜多旅行 その4 中津川、馬籠宿

異邦人一家、弥次喜多旅行 その4 中津川、馬籠宿

12月26日。名古屋経由で中津川駅に到着。出身地の島田の駅を彷彿させる地味な駅で、一瞬降りる場所を間違えたかと思い引き返しそうになった。目的の馬籠宿まであと少し。過去2年、穴が開く程Youtubeで見まくった中山道。とうとう古代の路に漂うロマンをシャワーのように浴びるためここまで来た。家族を連れて。

まず、ずるをして中津川駅からタクシーを拾う。これから中山道を3時間以上歩くつもりの私は、ウキウキ

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異邦人一家、弥次喜多旅行 その3 牧之原大地

異邦人一家、弥次喜多旅行 その3 牧之原大地

12月23日。夕方5時。掛川駅で新幹線を降りると、湯たんぽのように暖かく迎えてくれる懐かしい夫婦。まっさんとすずみさん。笑顔に温泉の湯気のようなオーラがかかってる。彼らは、私を赤ちゃんの頃から世話をしてくれた老夫婦の長男夫婦。おじいちゃんとおばあちゃんはもう随分前に他界した。でもまっさんとすずみさんは、おじいちゃんとおばあちゃんの愛情を受け継いで、私の帰郷する家族でいてくれる。

彼らの車で牧之原

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異邦人一家、弥次喜多旅行 その2 横須賀ー三浦ー墓参り

異邦人一家、弥次喜多旅行 その2 横須賀ー三浦ー墓参り

12月21日。夜7時に久里浜の焼肉店で兄の忘年会に合流する予定。その前に私たち家族は横須賀のデパートで時間を潰した。横須賀を選んだのは川崎方面で働く古い友人と落ち合うためだった。

せっかく友人と落ち合ってみたものの家族が一緒だと言語バリアが発生してゆっくり話はできない。かといって外は寒いし暗いしで、行動範囲がぐんと狭まり、お茶した後はデパートでの無目的ショッピングという頽廃的行為を避ける事ができ

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異邦人一家、弥次喜多旅行 その1 横浜ー鎌倉ー東北

異邦人一家、弥次喜多旅行 その1 横浜ー鎌倉ー東北

 12月、父も母もいない日本に帰った。私と夫、そしてボーイフレンド抜きの22歳になる娘。ボーイフレンドはクリスマスという事で、彼の母親に忠誠を尽くすため自国のアメリカに帰って行った、ふっふっふ。久しぶりに家族3人で日本を周遊しようという事になり、旅行が苦手な私だが、珍しくツアーガイドの役割を一手に引き受けた。そして、まるで曲を書くように、空間から空間への移動、訪れる場所に起こりうる一節一節の気持ち

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アキちゃん

アキちゃん

13年住み慣れたブリクストンからソーホーに引っ越して20年経った。ソーホーは十六世紀の初期に国王らが狩猟に使っていた土地で、狩猟の際に"Soho!"という言葉を掛け声に使っていたのが地名の由来となっているのだと、ソーホースクエアに診察室を構えるオーストラリア人のかかりつけ医が教えてくれた。

ソーホーには17世紀に建てられた建物から、フランシス ・ベーコンやルシアン・フロイドのような芸術家たちがた

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