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キマらない日も同じように

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「毎日書くこと」を目標に、友人とその日のテーマを決めて書いてます。
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#6月の毎日note

電話のガチャ切りから考えたこと

失礼します、と言い終わる前に「ガチャン」と耳元で鳴り響いた。取材依頼をした後の電話の対応だ。電話口のおじいさんは「メディア」という言葉に疎そうな口調ではあった。「うちは間に合ってますから」なんてセールストークのお断りのようなセリフを言った後、まるで何かを急いでいるかのように切られた。 ガチャ切りをされることは特に初めてではないけれど、「いいところだから紹介させてほしい」というお願いを不快に思ってしまうなんて、どうしてなんだろうなぁと疑問は残る。私の依頼の仕方が悪かったのか、

ミニマリズムじゃ味わえない幸せ

中学2年生のある日、「行きたくない」から学校を休んだ。その日の夜は、まるで世界から切り離されてしまったように静かだった。真っ暗闇の部屋、布団の中で目を開けているとぼんやり家具の影が見える。時計の針の音がやけに煩い。 じっとしていると心が誰かに襲われそうで、仰向けからうつ伏せになり、状態を起こして、私はぽつりと声を出した。 「どうしたらいいのかな」 話しかけた先には黒猫のぬいぐるみが1匹。何も言わずにじっとこちらを見ている。小学校2年生の時に祖父が買ってくれたものだ。何日

女は固定をおそれ、男は変化をおそれる?

「女は変化をおそれ、男は固定をおそれる?」について考えた。角田光代さんと穂村弘さんのエッセイ「異性」の中にあった章だ。 "例えば会社をリストラされたっていう理由で自殺するのは、圧倒的に男性の方が多いんじゃないか。(中略)女性は全然そんなことないと思う。リストラで自殺なんて聞いたことがないし、(中略)また妊娠や出産という身体的な大変化も女性だから乗り越えられるもので、もしも(という仮定に意味があるかどうかはともかく)男性の身に同じことが起こったらとても耐えられないって説も

最期までのステップ

文章を書く人の数人で集まって、「書く日、書く時、書く場所で」というマガジンを作っている。最初と最後の文章を揃えたり、みんな同じテーマを決めて書く。最近はみんなが超多忙すぎて、書くことお休み、飲み仲間化しているけれど、たまに飲んだり書いたりするとみんなのレベルの高さに焦りを感じてしまう。 以前、そんなメンバーで「理想の最期」というnoteを書いた。 私の理想の最期は、祖母や祖父の最期に影響をうけている。「色々あったけど、後悔は無いよね」と言って、見送られるのがいちばんいいな

SNSは趣味?仕事?

当時好きだった人の膝の上から眺めていたパソコンの画面には、「mixi」の文字が書いてあった。「何、これ?」と聞くと、彼は「子どもにはまだ早い」と言って取り扱ってくれなかった。今思えばたった3つの差なのに、若い頃は大きな壁のように感じてしまうのはなぜだろう。 どうしても「mixi」に入りたくて検索をかけると、完全紹介制と書かれている。彼からは紹介されたくない。でも周りでやっている人がいない。困っていると、当時よく見に行っていたブログの人が「mixi始めました」と書いていたので

好きなら知ってこ

好きになるとそればかりを繰り返してしまうタイプだ。ペペロンチーノにハマったときは週3ペースで3年以上食べ続けたし、海外!楽しい!と気づいた大学時代から数えると、30か国以上に訪れている。音楽も、好きなアーティストがいればそれだけを掘り下げるし、中でも夢中になった1曲はそれだけ聞き続ける。 それが時々、コンプレックスに感じる。 大好きなペペロンチーノは、「どのお店がおいしい」とか熱心に探すこともなく、毎日同じものを食べ続けられる(全然グルメじゃない)。旅行も国数は多いけれど

考える、考える。考えること

「アイデアについて、真剣に考えることをしていきたいんだよね」と勝股さんが言った。外の景色を見ながら二人横並びになり、蔦屋書店の椅子にこしかけて、「アイデア」について話していた時だ。カフェで夜ご飯とパンケーキを食べた後、「お腹いっぱいだけどちょっと話したいよね」と言ってふらりと立ち寄った。 彼は今、友達の結婚式の余興準備中。奥さんが大好きで仕方がないという友人にどんな余興がいいかを考えている。これまで関わってきた余興も、綿密なヒアリングをもとにサプライズを考え、新郎新婦に富士

午前2時の独り言

今日のnoteに悩んでいたところで、お世話になっているジュンヤさんから連絡がきた。 最近はこじらせ具合に拍車がかかっていたし、書く方でもモヤモヤしていたので、神!と思って駆けつけたのだけど、本当にもうありがたみしかなかった。 * 忙しくしていた毎日が落ち着いてしまったら、今まで何のためにやっていたことなのかわからなくなったり、自分がなりたいロールモデルに近い人のはずが、あまりその人みたいになりたいと思えなかったり、「今後の自分がどうなりたいか」がすごく不明確な状態だ。

続けた結果を急かしているのか

数字はわかりやすい指標だ。「可視化できる」ということは、他の人と共通認識がもてる。安心する。1つの精神安定剤のような気がする。 ただ最近は、とにかく記事を書いても見られなければ意味が無かったり、PV数が伸びたからといって、その記事がきちんと読者に伝わっているとは限らなかったり、記事の内容、すなわち“そのもの”に対する価値の指標が、数字だけでは語られなくなってきている。 * 今年はひと月あたり読む本と見る映画の数を決めて、それを目標に過ごしてきた。本も映画も楽しいので、最

ヒールの高さはプライドの高さ?

「娘が生まれました」と、LINEのグループにメッセージが流れてきた。その子の結婚式で余興をやったメンバーのグループだ。 おめでたい報告にほっこりしながら、余興で作ったムービーが懐かしくなって久しぶりに覗いてみた。2015年に撮影したそれを見て、あの時のことを思い出す。新郎新婦のお面をつけて新宿駅前を歩いたこと、真夜中にスケート場を貸し切って撮影したこと、その後、明るくなった朝6時ごろに最後の撮影でスキップしたこと。 楽しかったなぁと思い出に浸っていたところで、ハタと驚いた

どんどん複雑になる感情

小さい頃は人気のある男の子、女の子がいつも決まっていた。男の子は足が速くてスポーツができる子がモテたし、女の子は元気なグループのトップがモテた。「好きな人」の対象は2、3人に偏る。単純明快だった。 大学、社会人と歳を重ねてくると、だんだん好きな人が偏らなくなった気がする。大学時代はアルバイト先の店長など、ひと回り年上の人と付き合いだす人もいれば、サークルの後輩を恋人にする人もいた。社会人もしかり。年上、同い年、年下。「好きな人」が少数に集中することは、めったにない。 そり

夢中になっている人に夢中になる

今年に入ったくらいから小沢健二にメロメロになっている。ずいぶん遅咲きのファンだ。流行っていた時代には私はまだ幼かったし、「小沢健二」という名前は、小さい頃に読んでいた漫画『恋愛カタログ』に名前が出てきたから知っている位だった。 今年の初めにyoutubeで曲を聞き始めたらみるみるうちにハマり、当時の「笑っていいとも」に出ている動画を見て完全にやられてしまった。 この動画の何がそんなに良かったかというと、“ついつい楽しくなって歌い続けてしまった”ところだ。本当に音楽が好きな

あなたの世界はそこだけなの?

最近ちまたでは、“コミュニティ”なるものが流行っている。ライティングや趣味関係など、今はオンラインがメインだ。 私も、sentenceというライティングコミュニティに入っている。そこでは「文章」を軸にして、ほかのバックグラウンドは全然異なる人たちが集まるり、オンライン上で文章関連のやりとりを行う。時にはオフラインでミーティングやイベントが開催され、どんな人が入っているのかリアルに知る場も設けられている。 私は今会社員なので、いつも顔を合わせるメンバーは会社というコミュ

好きとか嫌いとかじゃなくて私の一部

大学4年の2月に1か月間南米に行っていた。3月も2週間ヨーロッパに行って、残りの2週間は新生活の準備をして、そして社会人が始まった。1か月と2週間も旅が続けられたのは、今の私から見ると憧れてしまうほど羨ましいことだけれど、当時の私は不安に駆られていた。「バイトもしないで遊び続けて、何も社会に貢献していないんじゃないか」と。 社会人になって1年目すぐ、私は将来を憂うようになる。仕事には慣れても、年に1度ひとり旅が出来ないとストレスが溜まった。「仕事は楽しい?」と聞かれても、楽