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ダイエットは確実に寿命を縮める-三石巌

体内革命: 脳、筋肉、骨が甦る分子栄養学健康法 三石巌(著)、より 

私はダイエットには全然興味を持たない。
発想そのものがきらいだ。
私は自然の自己運動というものを考えている。
それに逆行するような企ては、文字通り不自然だ。
不自然が善をもたらすはずはない、と考える。
私はダイエットの方法を知らないが、
どれもがいわゆる食事療法の形をとるだろう。
それはまさか大食いではあるまい。
ダイエットの例を一つ、私は聞いたことがある。

マッサージの林さんについては前に述べた。
その友人の娘さんの話である。
彼女は高校生だった。
林さんはこのダイエット娘の治療を頼まれた。
その報告によれば、
そのダイエット娘はまるでお婆さんのようだったという。
おっぱいもお尻もしなびてしまい、生理は止まり、
疲れやすくなっていたのである。
林さんは、マッサージよりも食事の指導に力を入れた。
そして、ついにこの娘さんの体を元に戻すことに成功した。

私は食事というものを物質の補給と考えている。
食事の制限をするということは、
当然のこととして物質の補給の失敗を意味する。
そうなれば、どんな形でそのダメージが現れるか全く分からない。
それはその個体の弱点をねらうはずである。
弱点がどこになるかは、病気になってみなければ分からないのだ。

私は、栄養不足に対して、栄養的ストレスという用語を提唱する。
私の目から見ると、栄養的に欠陥のない食生活をしている人は
ほとんどいない。
そういう人が食事の制限をすることは、いわば自殺行為だ。
栄養的ストレスによって、人は死ぬことができる。
その死の手前には病気がある。

ダイエット用の食品があるようだ。
液体プロテインがアメリカではダイエット用として
使われると聞いたことがある。
液体プロテインといえばゼリーがそうだ。
これはタンパク質ではあるが、そのアミノ酸組成はきわめて悪い。
だから、体内に入れると、いろいろなアミノ酸の不足が生じる。
そのため、遺伝子の指令によるタンパク質の合成は失敗しやすくなる。
つまり、生体の合目的性の阻害ということにならざるをえない。
これは、体が正常に保たれないことを意味する。
これではやせ衰える方向に体を向けることになる。
若さを失ったやせた老人ができることだろう。

はたして、これはダイエットの成功なのか。

科学的に考えれば、肥満は皮下脂肪過多によるのだから、
これの処理が唯一の方法であるはずだ。
脂肪は燃焼によってとんでしまう。
したがって、その方法を考えればいいのである。

体内の脂肪の燃焼は低温で起こる。
そのとき、酵素の登場が要求される。
酵素というのはタンパク質なのだから、ダイエットのためには
高タンパク質が必要という結論になる。
そして、一方において脂肪の材料になる糖質の制限を行うことに
すればいいのだ。
この方法ならば、生体の弱点を衝かれることなしに、やせることができる。むろん実例は多い。

無原則な食事の制限というものは、ダイエットを目的とするにせよ、
病気の治療を目的とするにせよ、生体の合目的性を阻害する。
その結果が病気の発症につながらないとしても、
老化の促進になることは間違いない。
細胞数の減少が起こるからである。

ダイエットは寿命を縮めることを覚悟のうえでならば、やったらいい。

☆☆☆☆☆☆☆
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健康において、医療について、今の世の中を先見しています。
世界中に健康法や食事法が溢れています。
どれが正しい?これはアヤシイ?
迷いや惑わされないためには、生物学的な根拠をもつ知識を
身につけ、実践することが疾患や不調の予防と心身の健康とに繋がると思います。
ぜひお読みください。

医学常識はウソだらけ 三石巌(著)


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