Mika Panda

石垣島在住のダイビングインストラクター兼日本語教師です。 これまで、ダイビングショップ…

Mika Panda

石垣島在住のダイビングインストラクター兼日本語教師です。 これまで、ダイビングショップやビーチ、ホステル、ゲストハウスなどで英語による業務に携わってきました。 あなたも、中学英語を思い出しながら、私と一緒に英語が話せるように練習しましょう♪

最近の記事

  • 固定された記事

ミカパンダの中学レベルからやり直す英語レッスン・はじめに

初めまして、ミカパンダと申します! 石垣島在住のダイビングインストラクター兼日本語教師です。 石垣島に移住するのは、実は2回目。 10年前、大学の卒業式をすっぽかしていきなり移住したのが1回目でした。 それから4年間、マリンショップや某リゾートホテルのビーチ、ダイビングショップなどに勤めてきましたが、意外と多かったんです、海外からのお客様が!! 「ミカパンダさん、英語喋って!!」 …と、なぜか仕事仲間に頼まれたのが某リゾートホテルでのこと。 いや、私別に話せないし!! …

    • 小説「海を夢見た蛙(かわず)」ー最終回

      「面会希望の方。どうぞ、お入りください」  入室を促され、刑務官に会釈する。ガラス越しに見えたのは、囚人服に身を包んだ織田明姫の姿だった。彼女は、窃盗罪、贈収賄の罪、そしてチャイニーズマフィアへの誘拐の幇助の罪で受刑している。 「……あなたが今更、一体何の用?」  猫背になり、恨めしそうに上目遣いで睨んできた彼女。よく眠れていないのだろう、目の下に深い隈が幾重にも刻まれている。 「ちゃんと、聞いておきたかったんです。どうしてあなたが、タオファさんを困らせるために財布を盗み、

      • 小説「海を夢見た蛙(かわず)」ー7

        「皆様、当機は間もなく離陸態勢に入ります。リクライニングシートとテーブルを元の位置に戻し、シートベルトをお締めください」  動き出した飛行機、響くCAのアナウンス。まるで初めて飛行機に乗った子供のように、緊張してしまう俺。まさか同じ飛行機にいないよな、と思って辺りをつい見回してしまう。 「ハルサン。怪しいでスよ」 「あ、ごめん」  小声で彼女から注意され、素直に従う俺。念のため、機内ではお互い偽名で呼び合うことにしている。それにしても、パスポートの姉の写真と今のタオファさん

        • 小説「海を夢見た蛙(かわず)」ー6

           何とか自宅へ帰り着くと、先に帰宅していた姉貴とお袋が血相を変えて玄関から飛び出してきた。 「おかえり、春夜、タオファさん!!」 「お母さん、それ大きな声で言っちゃダメ!! とにかく早く入って、二人とも!!」  母を咎めつつ、姉が叫ぶように言って俺たちを家に入れ、ドアを閉める。深呼吸をし、両手を腰に添えてから、姉は続けた。 「ニュース、見たわよね? タオちゃん、事情は説明してくれる?」 「……ハイ、もちろんでス。心配おかけして、申し訳ございまセン」  気落ちしたような声と表情

        • 固定された記事

        ミカパンダの中学レベルからやり直す英語レッスン・はじめに

          小説「海を夢見た蛙(かわず)」ー5

           次の日から、俺たちは早速作業に取り掛かった。小説は未完成のものを使うことにしたので、ある程度のあらすじを彼女に伝え、挿絵と表紙の構想を練ってもらった。デジタルで絵を描くための道具とアプリは姉が持っていたので、彼女はそれらを借りて作業を進めた。  原稿は無事締め切りまでに完成し、印刷会社へのデータ送信を終えた瞬間、俺たちは万歳をして喜び合った。あとは、SNSでの告知を済ませ、会場へ向かうだけだ。  当日は、うだるような暑さと湿度だった。しかし、熱中症対策は万全である。冷たい水

          小説「海を夢見た蛙(かわず)」ー5

          小説「海を夢見た蛙(かわず)」ー4

          「お帰りナサイ、シュンヤサン!」 「お、おう……ただいま」  バイトから帰って来たら、エプロン姿の可愛い女の子が笑顔で出迎えてくれる――少し前までは想像すらしていなかった、まるでライトノベルや恋愛ゲームのような非現実的な光景に若干狼狽えつつ、ぎこちなく返事をして靴を脱ぐ。  働き者の彼女は、うちに来てから毎日、積極的に家事を手伝ってくれた。買い出しは難しいが、掃除や洗濯、食器洗いなどはお手の物のようで、母はとても喜んでいる。 「シュンヤサン。朝ごはん作るしましタから、食べてく

          小説「海を夢見た蛙(かわず)」ー4

          海を夢見た蛙(かわず)ー3

          「あらあらあら、まぁまぁまぁ! あなたが、タオファさんなのねぇ!?」  日が傾き出した頃に帰宅した俺たちを出迎えた母の顔が、彼女の姿を捉えた途端に輝き出した。事情は、既に電話で説明済みである。 「ハイ、初めましテ。私、李桃華でス。突然、スミマセン」 「あらまぁ、日本語お上手ねぇ! さ、どうぞ入って入って!」  息子の文通相手との対面が、余程嬉しいらしい。こんなに上機嫌な母を見るのは久方振りである。客人用の真新しいスリッパをいそいそと取り出して、母は笑顔のままリビングへ彼女を促

          海を夢見た蛙(かわず)ー3

          小説「海を夢見た蛙(かわず)」ー2

          「春夜。届いてたわよ、お手紙」  ある日の夕方。目が覚めてからいつも通り原稿作業に取り掛かると、母がドアをノックして一通の封筒を俺に差し出した。明るい茶色に染めた短いパーマの髪故か、実年齢より若く見られがちな母も、間もなく還暦を迎えようとしている。 「ああ、ありがとう」 「結構続いてるじゃないの。いいわねぇ、若いって」  口元を指先で隠しながら、意味深な笑みを浮かべる母。 「だから、そんなんじゃねぇんだって」  しっし、と手を振って母を追い払う。なぜ彼女がそんなコメントをする

          小説「海を夢見た蛙(かわず)」ー2

          小説「海を夢見た蛙(かわず)」ー1

            北海(ほっかい)若(じゃく)曰(いわ)く、井蛙(せいあ)には以(もっ)て海を語るべからざるは、虚に拘(かかわ)ればなり。夏(か)虫(ちゅう)には以て冰(こおり)を語るべからざるは、時に篤(あつ)ければなり。曲士(きょくし)には以て道を語るべからざるは、教えに束らるればなり。今 爾(なんじ)は崖涘(がいし)を出でて、大海を観、及ち爾の醜を知れり。爾将(まさ)に与(とも)に大理を語るべし。  黄河の神・河(か)伯(はく)が初めて海を見た時、その大きさに驚いた。河伯に対し、北

          小説「海を夢見た蛙(かわず)」ー1

          小説「人魚を祀る者たち」ー5(最終回)

           打ち寄せる波が、青白く光っている。夜光虫と呼ばれる海洋プランクトンがその正体で、波による刺激に反応して発光するという。  波音に耳を澄ませ、海面を照らす満月を見つめる。その白い光は、俺のことを待ってくれている人の姿を指し示す。ウェットスーツを着た俺は、ダイビングの器材を携え、そこへ向かっていた。  俺が、初めてダイビングをした場所。俺が、初めてかの人と心を通わせた場所。波打ち際に飛び出た岩の上に、その人は腰かけていた。月明かりに、下半身の青い鱗が煌いている。 「紫月さん」

          小説「人魚を祀る者たち」ー5(最終回)

          小説「人魚を祀る者たち」ー4

          「ああ、荻野さんですね! お待ちしておりました、どうぞこちらへ!」  煩わしいことに、方向音痴だという教授に宿までの道案内までさせられてしまった。出迎えたのは島にある唯一の民宿の主人、高槻(たかつき)孔(こう)明(めい)である。名前だけで父親が大の三国志好きだったことがわかるその人は笑顔を絶やさない豪快な男で、胡麻塩のような顎鬚と綺麗に剃った頭、これでもかという位膨れた大きな腹が特徴だ。彼は雄二朗さんの悪友で、鮪の解体を得意とする元漁師。腰を痛めて現役を引退し、今では一人前の

          小説「人魚を祀る者たち」ー4

          小説「人魚を祀る者たち」ー3

           俺はライセンス取得のための講習を放課後に雄二朗さんから受け、週末の僅か二日間で海での実習を終わらせ、新米ダイバーとなった。学ぶことは数多く、テキストも約二センチという分厚さで初めは戸惑ったが、紫月さんがつきっきりで教えてくれたので難なくダイバーデビューを果たせたのだった。  彼女と海に潜るようになってから、教室の扉が軽くなった。伯父と顔を合わせることも億劫だったはずなのに、家に帰れば彼女がいて、すぐに海の世界を二人で満喫することができた。しかも、二人っきりで。それが、今の俺

          小説「人魚を祀る者たち」ー3

          小説「人魚を祀る者たち」ー2

           蝉が鳴き始めた。太陽がアスファルトの地面を照らし、風は湿り気を帯びている。俺はようやく慣れない学ランから解放されて、白襟の半袖シャツ一枚で学校へ向かう。  季節が変われば、新しい環境にも順応するものだ。目的地への道のりも、途中で顔を合わせる島民も、どの家に誰が住んでいるのかも、家主がどんな仕事をしているのかも、どの畑で何が育てられているのかも、全てわかるようになった。  しかし、教室の扉は、いつまで経っても重いままだ。 「おはよ、癸くん」 「あ、うん……おはよう」  四人し

          小説「人魚を祀る者たち」ー2

          小説「人魚を祀る者たち」ー1

           親父は、海で命を落とした。  遺体は、地元のダイバーが偶然見つけたらしい。鮫に腹部を噛まれた痕があり、死因は容易に想像できたが、不可解な点がいくつもあった。  まず、服装。ウェットスーツでもなければ水着でもなく、ただの普段着のままだったという。つまり、意図的に海へ潜ったわけではないということだ。死亡推定時刻が深夜であったことから、溺れていた人を助けようとしたという仮説が成り立つ余地もない。  次に、鮫の歯型には合わない鋭利な刃物の痕跡。それは見事に親父の心臓を貫いていて、そ

          小説「人魚を祀る者たち」ー1

          小説「ニライカナイ」ー5(最終回)

           容疑者・大城雅貴の供述は、次のようなものだった。  被害者・金城辰巳は雅貴の恋人・新垣美穂に思いを寄せていた。しかしその恋は叶わず、美穂は雅貴と恋人同士になり、更に将来まで誓い合うまでの仲になった。辰巳は恐らくそれに嫉妬し、東京で働いていた彼女の後を尾行して強姦したのだろう。彼女は、辰巳の子を身籠ってしまったことに絶望し、多摩川の橋から身を投げ、自殺した。  そして、辰巳はあの日、遺跡のポイントへ向かう途中の船で雅貴にこう言ったのだ。  お前の女、最高に良かったぜ、と

          小説「ニライカナイ」ー5(最終回)

          小説「ニライカナイ」ー4

          「えーっ、台風が発生したぁ!?」  昼下がりのキャンパスの片隅で大声を上げたのは、遼平だった。 「うん、そうなの。石垣に行く便には乗れそうなんだけど、もうあっちは波浪警報が出てるし、ダイビングはできないと思うわ」  そう言ったのは、発案者である渚だった。 「そんなぁ、楽しみにしてたのにぃ!!」  悔しそうに頭を掻きむしる真珠。せっかくセットした髪が台無しよ、と窘める渚。 「それじゃあ、あっちに行ってもほとんど何もできないな。残念だが、キャンセルして大人しく俺たちも台風対策をし

          小説「ニライカナイ」ー4