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作家性というビジネス戦略

 作家性。よく聞く言葉です。作家性ってそんなに重要なのでしょうか。浮世絵やミケランジェロなど、業者として絵を描いていた作家たちには必要とされてませんでした。商業的なカルチャー作家では、現代もまだ漫画家や映画監督も同じく作家性はそこまで重視されません。
 ビジネスでは事業ピッチを行う際に、事業関係者がどのようにそのビジネスをやろうと思ったのか?事業者はどうゆう人物なのか?ストーリーで伝える流れがあります。
 作家性の重要性と、作家性を求めだしている流れ、作家性というものを分解していきます。


作家性の重要性


作家性の重要性
作品と作家

重要である理由
 1.アートシーンの多様性の確保
 2.独自の芸術表現の発展
 3.国際的な評価の獲得

一方で、作家性の確立にとらわれすぎることの問題点も指摘できます。

問題点
 1.画一的な表現の助長
 2.実験的な表現の抑制
 3.アート市場の論理への迎合

したがって、現代の日本のアートシーンでは、作家性の確立とともに、以下のような視点も重要だと考えられます。

1.多様な表現の共存の尊重
2.実験的な試みへの支援
3.アート市場の論理への批判的視点

作家性の確立は、現代の日本のアートシーンにとって重要な課題ですが、同時に多様性や実験性を尊重し、市場の論理に流されない批判的な視点を持つことも必要不可欠です。結果として、こうした複眼的な視点を持つという非常に高度なことが重要だとわかりました。


作家性を求められるようになった現代をみる

キュレーターとアーティスト
キュレーターとアーティスト

近年、日本のアートシーンにおいて作家性が重視されるようになった背景には、以下のような原因があると考えられます。

1.グローバル化の影響
 世界的なアート市場の拡大に伴い、日本のアーティストも国際的な評価を得る機会が増えました。その中で、独自の作家性を打ち出すことが、国際的な認知度を高めるための重要な要素となっています。
2.アートフェアの隆盛
 アートフェアの世界的な拡大により、アーティストは自己の作家性を明確に打ち出すことが求められるようになりました。作家性が明確なアーティストは、アートフェアで注目を集めやすく、市場での評価も高まる傾向にあります。
3.キュレーターの役割の拡大
 近年、キュレーターの役割が重視されるようになり、個性的な作家性を持つアーティストを発掘し、育成することがキュレーターの重要な仕事の一つとなっています。このため、作家性の明確なアーティストが注目を集めやすい状況となっています。
4.アート市場の成熟
 日本のアート市場が成熟するにつれて、コレクターは個性的な作家性を持つアーティストの作品を収集するようになってきました。作家性が明確なアーティストの作品は、市場での評価が高まる傾向にあります。
5.芸術教育の変化
 美術系の教育機関においても、学生の個性や独自性を尊重する教育が行われるようになってきました。このため、若手アーティストの中にも、早い段階から作家性の確立を目指す傾向が見られます。

昨今の日本ではD2Cビジネスの流れから、ストーリーで顧客に伝える。ストーリーテリングを活用し、美術館動員数を目的としたキュレーターの売り出し方が作家性を求めていると思っていたのですが、決してそれだけの要因ではなく、世界的な流れや教育機関の方面からも、作家性を求める傾向にあります。

作家性を言語化してみた

作家性を求める画家

芸術家や作家の個性や独自性が作品に表れている特質を指すと定義します。以下のような要素が作家性を形作っていると考えられます。

1.独自の世界観
 作家が持つ独特の世界観や価値観が作品に反映され、他の作家とは異なる独自の雰囲気を生み出します。
2.表現スタイルの一貫性
 作家特有の表現方法やスタイルが作品全体に一貫して見られ、作家の個性を印象付けます。
3.テーマの追求
 作家が一貫して追求するテーマや関心事が作品に現れ、作家の思想や問題意識を反映します。
4.美的感覚
 作家独自の美的感覚が作品の色彩、構図、フォルムなどに表れ、作品の視覚的な特徴を形作ります。
5.創造的な革新性
 既存の表現様式にとらわれない新しい表現方法の追求や、新たな価値観の提示など、作家の創造的な革新性が作品に現れます。
6.個人的な経験の反映
 作家自身の人生経験や心情が作品に投影され、作品に深みや説得力を与えます。
7.時代や文化の影響
 作家が生きた時代や文化的背景が作品に反映され、作家性の形成に影響を与えます。

作家性は、作家の個性や独自性を表す重要な概念ですが、同時に作家性をめぐっては様々な議論もあります。例えば、作家性を重視しすぎることで作品の普遍性が失われるのではないか、作家性という概念自体が近代的な概念ではないか、などの批判もあります。

結果として、美術展の成功(ビジネス的な成功)を目的とした場合、ターゲットは大衆となり大衆に向けて、キュレーターがわかりやすく売り出すために作家性が求められてきたように思えます。アートを求めるターゲットは地域に応じて変わってきますが、日本では特に作品を見せるよりも、作家性というわかりやすいものをストーリテリングで大衆に届けているのが現状です。

作家性とはアートビジネスとして、求められている要素なのです。

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