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"パンみみこ"名前の由来

仕事でご一緒した方から「ライターネームのパンみみこって、いい名前ですよね。何か意味はあるんですか?」と聞かれることが結構ある。

正直に言ってしまうと、朝食の食パントーストの耳を食べ残そうとする私に、夫が皮肉まじりに「パンみみ残しっこ」と呼んだことが由来である(いつも子どもに見つかってしまい、大人の面目を保つため最後まで食べる)。

でももう一つ、あるポリシーをこの名前に忍ばせていたりする。今日はそのお話。

複数の居場所を楽しむ人生

幼い頃から、同時期に複数のグループに所属する性格だった。

人間関係を固定することが苦手で、ふらふら好奇心のまま友人と話していると、自然とたくさんのつながりができていた。

親友のような存在はいたけれど、どこかの人間関係でうまくいかないことがあっても逃げ道となるこれらのつながりは、私を何度も救ってくれた。

現在の私も複数の集団の中で生きている。家族、学校・幼稚園・地域のママ友、複数の取引先、趣味関連のSNS……側から見ている友人には忙しなく見えるようで、よく心配される。実際、予定やタスクの管理など大変な面もある。

でも、私は居場所や役割を一つに絞らないことで心のバランスを保っている

家庭で不穏な空気が流れれば、仕事に没頭する。取引先は複数あって、それぞれ担当する分野も異なる。その間を行き来して気分転換になったり、意外な視点に出会えたり。

仕事で失敗することもある。そんな日は家事に精を出す。家事に飽きたら、子どもと外に遊びに行く。子育てに疲れたら、友人とのお出かけで癒される。友人との付き合いに退屈してきたら、家族と他愛のない話で大笑いする。

まるで中華料理の回るテーブルのように、生活しているのだ。

もちろん物事には優先順位があるから、すべてが思い通りにはいくわけではない。急な対応も発生する。でもこの逃げ場のある感覚は、私に心の平穏をもたらしてくれる。

コンプレックスが強みに

私は新卒入社して2年で結婚、その翌年に妊娠している。仕事だけに向かって、アクセルを思いっきり踏んだ期間はかなり短い方の人間だろう。

昔はその経験の浅さをコンプレックスに感じていた。でも最近、そういう生き方でもいいのでは? と感じるようになってきた。

年の功か、開き直ってきている部分もある。

理想的なキャリア形成から20代後半の出産でドロップアウト。ワーママ共働きを経験して会社員の肩書きを捨て、夫の海外留学に帯同し専業主婦に。しかしそのスタイルに満足できずに、わがままとも言えるような働き方を試行錯誤して、経験のない業界に飛び込み独立し、今に至っている。

ある意味で欲張り、無鉄砲で中途半端な生き方は、胸を張れるものではないだろう。でもそれ以上に、メンタル的にも経済的にも生きていく上でのリスクヘッジになっていると実感している。

脳性麻痺障がい当事者研究の第一人者、東大准教授の熊谷晋一郎氏の有名な言葉に、「自立とは依存先を増やすこと」というものがある。

多種多様な人とつながり合えるポイントを多くすることで、何かあった時の心の拠り所を増やす。「失敗しても大丈夫。信頼できる人たちがいる」「だからこそ信頼に値するような誠実な自分でいよう」安心感が増して、自分自身を支える力が自分の中から湧いてくる。

何より多様な居場所を持つことは触れられる価値観や、得られる経験もバラエティ豊かになるということだ。

実際、私の世界はどんどん広がり、彩りも厚みを増している。

食パンはなんでもおいしくする

食パンは、和食洋食問わずにどんな食材でもおいしくまとめる稀有なパンだ。

私は食パンのようにジャンル問わず、知識や問題提起、感情をしっかり受け止めて、より味わい深い文章やコンテンツとして受け手にお届けしたい。カリッとしたパン耳のエッジを効かせられれば、なお最高である。

中途半端な人生を送ってきた私だからこそできる、パンみみこという仕事。

関わってくださる周りの人たちへの感謝を忘れずに、今日も私は複数の居場所を楽しんで文章を書いている。

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