おわり、はじまり。

まいにち、交番の前を通るので必ず目に入るのが、入り口に表示されている昨日の交通事故。
負傷者はいつも90人から多い日は120人くらい。赤字で書かれた死亡者数が0だとほっとする。

1や2がある日は、誰かも知らない人のことを少しだけ考える。とつぜん、知らせを受けたお家にとって、一夜明けたこの朝は色なんてなにもないだろう。


誰も年の明けためでたい日に、ことし自分がしぬかもしれないなんて思いもしないだろう。

交番の前を通るまでは、当たり前のように一年が過ぎると思っていたのに、いつか自分にもその順番が来るかと思うと、ときどき足が竦みそうになる。

これは5年前に書いた日記の一部。

いまでもこの気持ちは変わらない。年末年始はいつもそわそわする。このまま無事に新しい年を迎えることができるのだろうか、これから始まる一年を無事に過ごすことができるだろうかと。

正月に顔を合わせた人たち、これが最後になったりしないよね、なんて少しだけ、少しだけ心配になる。

現に1月に入ってから、毎日のように予想もしないニュースが飛び込んでくる。目まぐるしく過ぎる出来事にあっという間に心が埋もれそうになる。でも、それじゃあだめなんだ。自分なりに言葉を見つけなくてはいけない。

まっさらな1月、何も見えないから不安であり、楽しみである。春になればようやく2022年に慣れてくるだろう。

あっという間と思えるほど平穏に暮らせること、1年間、生きたというだけですごいこと。少しだけ、そんなことに気づいた1月の終わり、2月の始まり。

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