みなみand Story

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。 時折、自分の所に降りてきてくれる物語たちが…

みなみand Story

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。 時折、自分の所に降りてきてくれる物語たちがいます。 突然、頭の中に浮かんだ文字をひたすら書き留めていくと、物語になっています。 そんな不思議な経緯で生まれた物語たちですが、誰かの心に触れることができたら嬉しいです。

最近の記事

【凪〜nagi〜】第7話

登場人物 ◆七生(なお)…小学校の新人女性教師 ◆陵(りょう)…七生が勤める小学校の男性先輩教師 運命が織り合う 陵は、七生が作ってくれたお弁当を夢中で食べ終えて、 「すーーっっごく美味しかった!」と満面の笑みで言った。 七生も最後の一切れの柿を食べ終えてから、 「お粗末さまでした。」と、嬉しそうに言ってから、後片付けを始めた。 二人で一緒に片付けを終えた後、七生はバスケットからジップロックにひとまとめに入れてあるスケッチ道具を取り出しながら、 「絵を描きませんか?」

    • 【凪〜nagi〜】第6話

      登場人物 ◆七生(なお)…小学校の新人女性教師 ◆陵(りょう)…七生が勤める小学校の男性先輩教師 二人で共に 陵は、七生への思いを鎮めようと 「少し公園を散歩しませんか?」と七生に言った。 七生と並んで歩き出した陵は、靴底で枯れた落ち葉が、カサコソと音を奏でるたびに、まるで恋の噂話をされているように聞こえて、なんだか落ち着かなかった。 だんだんと陽が陰って、肌寒くなってきた。 自転車で風を切って帰るのなら、七生は遅くならないほうがいい。 秋口だと言っても、陽が落ちてか

      • 【凪〜nagi〜】第5話

        登場人物 ◆七生(なお)…小学校の新人女性教師 ◆陵(りょう)…七生が勤める小学校の男性先輩教師 二人の過去が交差する 七生は、陵という生まれて初めて、自分のそのままを見せられる相手に出会えた喜びからこみ上げてくる嬉し涙をひとしきり流し切った、と同時に、周りに人がいるレストランで号泣し、七生を泣かしたのは自分だと勘違いして、明らかにうろたえている陵に気が付き、恥ずかしさと申し訳なさで顔が真っ赤になった。 七生は、消え入りそうな小さな声で 「あの、急に泣き出してしまって本

        • 【凪〜nagi〜】第4話

          登場人物 ◆七生(なお)…小学校の新人女性教師 ◆陵(りょう)…七生が勤める小学校の男性先輩教師 二人の思い 七生は、陵の話を聴きながら、自分の好きは一体何だろう?ということを考えていた。 七生は、共に高校教師として、物理を教える父と、国語を教える母のもとに生まれ、幼い頃から厳しいしつけの元で育てられた。 しかも一人っ子だったので、両親の関心は否応なく七生に集中し、勉強だけでなく、日常の言葉の使い方や、食事の際の箸の上げ下ろし、立ち居振る舞いに至るまで、毎日のように小言

        【凪〜nagi〜】第7話

          【凪〜nagi〜】第3話

          登場人物 ◆七生(なお)…小学校の新人女性教師 ◆陵(りょう)…七生が勤める小学校の男性先輩教師 思いの詰まったもの 都会からこの離島への引越しで、陸地輸送とフェリー輸送の経由による手続きで大変な思いをしても、七生が、どうしても都会から離島に持ってきたかった自転車。 その自転車は、結婚の約束をしていた、かつての恋人、陵との思い出が たくさん詰まったものだった。 陵も、小学校の先生だった。 七生が大学を卒業後、教員採用試験に合格し、初めての赴任先の小学校での 3期上の先

          【凪〜nagi〜】第3話

          【凪〜nagi〜】第2話

          登場人物 ◆七生(なお)…都会から離島に赴任してきた小学校の女性教師 ◆茂人(しげと)…島の若い漁師たちのリーダー的存在 二人の始まり 離島の小学校の先生として、都会から赴任してきた七生は、天気の良い休みの日には、いつも自転車で一人島内をめぐっている。 景色の良い場所を見つけては、自転車を止めて、ぼんやりと海を眺めて佇んでいる。 その様子を茂人は漁を終えて港に向かう漁船を操りながら、たまに見かけていた。 ある時、いつものように漁を終えた茂人が漁船を操りながら、港に戻ろ

          【凪〜nagi〜】第2話

          【凪〜nagi〜】第1話

          登場人物 ◆七生(なお)…都会から離島に赴任してきた小学校の女性教師 ◆茂人(しげと)…島の若い漁師たちのリーダー的存在 プロローグ 海に囲まれた自然豊かな離島に、一人の美しい女性、七生が都会から小学校の先生として赴任してきた。 人口がそう多くはないこの島に、都会から若い女性の先生がやってくるという噂は、島民の間に瞬く間に広がっていた。 穏やかな風が空飛ぶかもめと遊ぶ、ある日の昼下がり。 本州と離島とを結ぶフェリーが、離島の船着場に到着した。 到着したフェリーから

          【凪〜nagi〜】第1話

          【突然、物語が降りてくる】

          たっぷりと眠った、ある休日の朝のこと。 起きた途端、突然、頭の中にタブレットの画面が浮かび、文字がたくさん並んでいるのが見えたので、何だろう?と不思議に思って、その文字をひたすら書き留めた後に読み返してみると、辻褄のあう物語のあらすじになっていました。 極度の方向音痴で、地図を頭の中で立体的に描くことすらできない自分。 そんな自分の頭の中に、突如として降ってきたリアルな画像に初めはとても驚きました。 読書は好きですが、娘が小さい頃に一緒に空想の世界を考えて、手書きの絵

          【突然、物語が降りてくる】