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うるう日に渡辺志桜里さんの作品を見て考える自然と生き物


2024年2月29日(木)

うるう年。
1日多いってスゴいよなぁ。
普通の年なら無いはずだった昨日はめっちゃありがたい感じがした。
時間は連続して流れ続けているので、単に人為的な1年の区切り方が変わるだけでしかない。
でも、なんか2月28日と3月1日のハザマに4年に1回だけ24時間が生じるような気分になる。
無かったはずの時間が生まれる、みたいな。
奇跡でも起こりそうだ。

奇跡と言うと大げさだけど、昨夜聞いたトークはめちゃくちゃおもしろかった。
渋谷でやってる渡辺志桜里さんの個展「BLUE」の、志桜里さんと映画監督の坂本麻人さんとのトークに行った。
志桜里さんの展示は外来種と絶滅危惧種をテーマにしてて、坂本さんはイワナをテーマにした映画の公開を4月に控えてるんだけども、話の内容はやっぱめっちゃ生態学だった。
1時間ずっと生態学だった。
ブルーギルやブラックバス、アメリカザリガニ、ウシガエルといった有名な外来種の話や、国の政策、これまでのフィールドワークのこと、日本の生態学研究の歴史・・・などなど。
学部時代は農学部のフィールド科学専修という所に所属していて生態学が専門だった者として、興奮しっぱなしだった。
なんかもう勝手に自分も登壇者になった気で、質問をメモしながら聞いていた。

元々、子どもの頃から魚や虫を採ったり飼ったりするのが大好きで、そのまま大人になって、研究して・・・って感じだったんだけども、しばらくそういうことからも離れていた。
でも、アートを通して、再びそこに帰ってこれた。
嬉しい。
こうして色んなことを巻き込んでくれるアートって良いなぁと思った。

当然ながら自分は前提知識が色々ある訳だけども、来ている人の中にはブルーギルもブラックバスも実際に見たことがない人もいることだろう。
そういう人はどういう感想を抱いたんだろうなぁと思った。
渋谷という大都会の街中で、自然や生き物の話を聞いて、それぞれ(自分含め)どこまでその話をリアルに受け止められただろうか。
渋谷でこの展示を見て、トークを聞くことにどういう意味を見出だせるだろうか。

あと、今のテクノロジーは生物のゲノム情報を保存することが出来る訳だけども、そのデータさえあれば、種を保存できていると言えないだろうかと思った。
種の保存を考える時ってどうしても個体そのもの(目の前にいる魚の存在それ自体とか)に意識が向きがちだけど、実際にはゲノム情報が重要になってくるのでは、と(遺伝子汚染の問題を考えても。いずれゲノム情報から個体を復活させられるようにもなるだろうし)。
そう考えると、今のテクノロジーで計測困難な、生態系の環境(被生物学的・人為的なもの含め)を保全することがますます重要になってくると感じた。

僕はトークを聞きながら、外来種のような生態学の問題も、例えば移民の問題などと同じように一つの答えがある訳ではなく、社会の中でもっと議論が深まっていく必要があるなぁと考えていた。
その為のキッカケとして、こうしたアートの試みはすごく可能性があるんだと思う。
だから、皆さんの感想がすごく気になった。

これからの展開を楽しみにしているし、自分ももっと勉強して、考えていきたい。
現場から足が遠のいて久しいけど、また自然の中にも行きたい。
坂本さんの映画も楽しみだ(ちなみに僕は毎朝イワナのお皿で朝ご飯を食べているし、地元も年も近くてなんか初対面という感じがしなかった)。
あぁ、魚のこと考えてたら釣りに行きたくなったなぁ!

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