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マインディアのビジネス、データの独自性と可能性 / CEO鈴木 インタビュー

マインディアは、「データで個人と企業の関係をアップデートしていく」というテーマを掲げて「Mineds(マインズ)」というtoBソリューションのプラットフォームとtoCサービスである「Pint(ピント)」等を展開しています。

2018年の創業からプロダクトを徐々に作り上げていく中で、ようやく多くの個人の方や企業にサービスを使っていただけるようになり、2022年に資金調達も実施しました。
今回はマインディアの事業やデータの概要と独自性、マインディアだからこそ「データで個人と企業の関係をアップデート」することが実現できる理由について代表取締役CEOの鈴木にインタビューしました。


事業とサービスの概要について

ーマインディアの事業について簡単に説明をお願いします

事業全体を俯瞰してお話しすると、個人(消費者)に対価を供与してデータを提供していただき、取得したデータをビジネスに活用できるような付加価値をつけて企業に提供するというのが大きな流れです。

その流れの中でtoC(個人向け)、toB(企業向け)ともにプロダクト化されており、toBでは取得したデータを「Mineds」というマインディア独自のSaaSプラットフォーム上で可視化する企業向けのソリューション、toCでは個人に対してデータを提供した対価を返す仕組みを実装したモバイルアプリを提供しています。

マインディアのサービスの全体像

ークライアントに提供しているtoBのソリューションについて詳しく教えてください

クライアント企業向けには「Mineds」というマインディア独自のSaaSプラットフォーム上で2つのソリューションを提供しています。1つは、オンラインでの行動 / 購買データを自由に分析・可視化できる「Mineds for EC Data」、もう1つは消費者ライブ動画データ(実際の消費者の生の声、インタビューや商品使用方法の動画など)を収集・蓄積できる「Mineds for Insight Data」です。

Mineds for EC Data
「Mineds for EC Data」は我々が保有するメールデータを解析して得られたオンラインでの行動 / 購買データを集積し、そのデータをツールで自由に分析・可視化できるサービスです。人ベースで一人の消費者のオンライン上での動きをEC販売チャネルをまたいで分析することができます。現状は主に大手ECモール上での消費者行動の分析ツールとして提供していますが、今後はECのみにとどまらず、Web上での幅広い購買、課金、登録といったデータの分析も提供予定です。

Mineds for EC Dataのサービス概要


Mineds for Insight Data
「Mineds for Insight Data」は資生堂ジャパン社と共同開発した消費者ライブ動画データの収集、蓄積プラットフォームです。独自で開発したライブ動画に特化したWebビデオ通話システムに加え、ユーザーデータから属性を効率的に抽出できるシステムと、消費者ライブ動画データを蓄積しワンストップで企業内で閲覧・管理できるシステムで構成されています。

Mineds for Insight Dataのサービス概要

ーデータの入り口となるtoC のサービスはどういったものになっているのでしょうか

個人(消費者)にデータを提供してもらい、そのデータをもとにマインディアが新しい価値を生み出して個人に還元できる2つのアプリ、”Pint(ピント)”と”Minedia(マインディア)”を提供しています。

Pint(ピント)
「Pint」は「データを提供することによってECでのお買い物が便利かつお得になる」というコンセプトのもと、メールデータ等を許諾の上で取得することで、そのデータに基づいてユーザーに合った商品やお得な情報を提供し、ECでのお買い物における新しい価値を創造するアプリです。

Pintのサービス概要


Minedia(マインディア)

「Minedia」は主に消費者ライブ動画データ収集のためのアプリとなっていて、こちらを通じて消費者が自分のデータを提供し、その対価を得ることが可能となっています。

マインディアの事業とデータの独自性

ーマインディアの独自性、強みを端的にまとめるとどういったものになりますか

保有するデータの価値と、データを利用した価値提供のケイパビリティの2つに分かれると思っています。

保有するデータに関しては、活用に制限を受けないゼロパーティーデータ(消費者の明示的な許諾を得た上でマインディア自体がデータの所有権を持つデータ)として、独自性の高いデータを大量に取得できる仕組みを構築できています。

またそこで得たデータを利用し、グローバルで見ても先進的なデータ解析、分析の技術を活かして、クライアント企業に対する深いビジネス理解を基にした価値提供を実行できるというケイパビリティを有しています。

ー保有するデータの価値についてさらに詳しく説明いただけますか

マインディアが保有するデータ自体の特性からくるデータの質の優位性と、そうした質の高いデータが大量にありかつ今後も効率的に取得していける仕組みが構築されていること、この2点に分けてマインディアのデータの価値を説明させていただきたいと思います。

マインディアのデータの質について
我々のデータの価値を形作っている要素は、非常に活用ニーズが高かったにも関わらず今まで取得が難しかった独自性の高いデータであることと、そのデータを活用に制限を受けないゼロパーティーデータ(マインディア自体がデータの所有権を持つ)として保有していることです。

我々が保持するデータは、オンライン上での行動 / 購買や消費者の生の声といったクライアント企業のビジネスに対して示唆を生み出せる貴重なデータです。これらのデータはニーズが非常に強い一方で従来は効率的な収集が難しいものでした。特にオンライン行動 / 購買データについては、競合商品・サービスの利用状況を含めたユーザーの動きや市場状況などは、ECのプラットフォームを横断して分析することはもちろん、プラットフォーム上のデータを使って自由にメーカーや出品者が分析を行うことすらできません。特許も取得した独自のテクノロジーを用いて取得しているマインディアのデータに関しては、独自性と需要ともに高いものだと思っています。

またこれらのデータを収集する際は、ユーザーの皆様にきちんとした対価を提供することで、我々自体が保有するゼロパーティーデータの形でデータを蓄積しています。これにより、データの活用可能な範囲を広く設定でき、cookieなどのサードパーティデータを始めとした各種データの利用規制が強まっている昨今においても、クライアント企業の課題感に合わせて自由度が高くデータの分析や活用を可能としている点は我々の大きな強みであると言えるのではないかと思います。

データの量および今後のデータ取得の効率性について
こうした質の高いデータを分析に必要な量を担保して保有していること、そして今後もそれを効率的に収集できる仕組みを構築していることもマインディアのデータにおける優位性です。

現段階でもクライアント企業の分析において有用なレベルでのデータ量を担保しています。さらに今後もデータ量を効率的に増やしていける仕組みとして、先程お話ししたようなデータ提供の対価を獲得できるtoCのアプリ、そして消費者から提供してもらったデータの価値を最大化できる事業全体の構造があるため、より大きな対価を消費者に効率よく提供でき、結果としてデータ取得を効率よく進めていくことが可能です。

ーそうしたデータを利用してさらに付加価値を提供するにあたって、マインディアだからできるというケイパビリティ上の優位性にはどういったものがありますか

技術やデータ基盤を構築できるケイパビリティ、またそれを利用して深いビジネス理解に基づいたデータの解析や分析を実行できることが優位性と言えると思います。

データ分析の技術とデータ基盤
機械学習やAIを利用した高度な分析の技術、膨大なデータを蓄積、解析していくためのデータ基盤についてもマインディアが持つ特筆すべきケイパビリティとなっています。

行動 / 購買データにおいてはWeb上に無数に存在する商品の分類や属性付与、市場の推計や将来予測、ユーザーのペルソナ設計を精度高く効率よく行うために機械学習などを独自で実装することで、企業に向けた価値提供をスケールをもって実現できるようになっています。また、ライブ動画データでは高精度の日本語文字起こしのAIをプロダクトに実装しており、動画データから文字データを非常に簡単に生成することによってデータから新たな発見を促すことも可能です。

また、我々の保有するデータ量は膨大で今後もすさまじい勢いで増えていくことになりますが、データ基盤に関してはデータ領域における優秀なエンジニアチーム、データサイエンティスト/データストラテジストチームを組成しており、かなり早期から将来的なスケールを見越した設計をしているため、非常に高速かつ柔軟に必要なデータを整理・分析できる環境を実現しています。

こうした我々の分析技術やデータ基盤に関しては外部との協業にも活かされており、名古屋大学との共同研究やSnowflake社のサクセスケースとしての取材、Meta Platforms社との事業連携といった形で高く評価されています

深いビジネス理解
マインディアはtoCのデータ収集やデータ分析基盤の構築といったテクノロジー領域での強みがあることに加え、そうしたテクノロジーをクライアントの価値提供につなげられる深いビジネス理解のケイパビリティーがあります。

この深いビジネス理解が根底にあることで、Facebook社(現Meta Platforms社)や資生堂ジャパン社、トヨタコネクティッド社、ライオン社、江崎グリコ社、Snowflake社といった市場を代表する企業との取り組みにおいても価値提供が可能になっていると認識しています。

一般的にテクノロジーとビジネス理解の2つのケイパビリティーはカンパニーカルチャー上もなかなか共存させることが難しいとされていますが、これらを高次元で両立させているのはマインディアの特徴の1つになっています。

ーこれらの独自性、強みが将来にわたっても強固でありつづけるための仕組みや事業上の構造などはありますか

これまでに述べたデータ量やデータ分析のためのアルゴリズム、また企業への価値提供のための分析手法等がアセットとして積み上がっていく点です。

データ取得の観点では、Pintを中心としたアプリを基軸にして規制などに対して非常に強固なゼロパーティーデータとしてデータが蓄積されていき、そのデータを解析してきちんと正規化していくために構築している機械学習のアルゴリズムもどんどん精緻化していくようになっています。また、そうした正規化されたデータを利用した分析の手法も磨かれてプロダクトとして積み上がっていきます。このように、事業展開とともに参入障壁が築かれ優位性が強固になっていくような事業の構造になっています。

マインディアの今後の可能性について

ー「データを使って個人と企業の関係をアップデート」していくために、今後どういった展望を持っていますか

今後の展望としては、より多くの量と種類のデータを収集できるデータ基盤の進化、それらのデータを基にしたクライアントへの価値提供の進化、Pintを通じたユーザーへの価値提供の進化といったことを考えています。

データ基盤の進化
今後は今取得できているデータの種類をさらに増やし、EC以外の行動・購買データを充実させていくことや補完する要素として企業のファーストパーティーデータや各種公開データを活用していくことも視野に入れています。それに伴ってさらなる効率的なデータ収集やスケーラビリティを担保できるシステムの構築を目指しています。

クライアント企業への価値提供の進化
今お話した取得したデータの種類や量を増やしていくことに加えて、データを用いてクライアント企業に価値提供していくやり方自体も進化させていきたいと思っています。

現在行っている分析や可視化といった用途をより深めていくことはもちろん、それにとどまらないデータを使った価値提供の方法をプロトタイプでいくつか試しています。

また、今年新しくリリースしたPintでは、将来的に提供いただいたデータをもとにターゲティングした広告を配信する予定です。それはデータを活用した新たなソリューションになります。

Pintを通じた個人(消費者)のユーザーへの価値提供の進化
今お話したクライアントへの価値提供ともつながるのですが、Pintを通じて個人(消費者)にデータを提供してもらうことによる価値をこれまで以上に進化させていきたいと思っています。

例えばPint上で提供したデータに基づいてクライアントからより価値の高いメリットを提示されるような仕組みや、自分と購買行動が似ている人が買った、ほしいと思った商品がレコメンドされていく機能など、Pintでデータを提供したからこそ受け取れる価値というものをより深めていきます。

このことに関連して、(詳細は私のnoteでも書いたのでそちらをお読みいただきたいのですが)私がFacebook社(現Meta Platforms社)にいたころに感じていた課題感の1つが、プラットフォーマーを介してクライアント企業がデータを利用したマーケティング活動を実行することがどんどん難しくなっている流れです。そのような中で、データを使って個人と企業の関係をアップデートし、世の中に大きなインパクトを与えることを目的にしたプラットフォームを作ることがマインディアのビジョンです。

ー最後にこのインタビューを読んでいただいた方へメッセージをお願いします

これまでお話しさせていただいたことを実現するためにはもちろん様々なチャレンジやハードルがあり、一緒にビジョンの実現を目指していく優秀なメンバーが不可欠です。独自性があるデータを使って世の中にインパクトを残していきたいという方と一緒にチャレンジしていきたいと思っていますので、少しでも興味が湧いたらデータを使ってビジネスを進化させていく未来についてお話ししたいです。マインディアではカジュアル面談の機会も用意しているのでお気軽にご応募ください。お待ちしています。