見出し画像

幼児の英語習得、これなら大人も体感できる。セサミストリートの古典的名作5選

幼児は自然に英語を身につけますが、そのプロセスは大人にとって分かりにくいものです。

教科書を使って学んできた大人は、英語といえば、単語や構文を勉強するものというイメージがどうしてもあるのです。

家庭で子どもの英語に取り組むとき、子どもがどのように英語を身につけていくのか、親が把握しておくことはとても重要です

誤った理解をしていると、子どもの英語習得を妨げてしまうかもしれないからです。

例えば、幼児が英語の動画を観ているとき、「分かっているんだろうか」と心配になり、ついつい「これはどういう意味?」「いま何て言ってた?」と、子どもの理解を確かめようとしてしまいます。

せっかく楽しんでいるところ、このように聞かれることが、子どもにとって、どんなにつまらなくて退屈なことか。

このことを大人が認識するのに、セサミストリート(Sesame Street)ほど打ってつけのコンテンツはありません。

セサミストリートなら、大人でも、幼児が英語を受け取る感覚、吸収する感覚を体感できます

今回は、このためのセサミストリートの定番スキットをご紹介します。



Sesame Streetの名場面


セサミストリートの古典的スキットを5つご紹介します。

1980年代(私Minnieの小学生時代)のもので、映像は古めかしいですが、名作ばかりです。

ぜひ幼児の気持ちになって、観てみてください。

大人が観るときに意識したいこと


英語(特にリスニング)に苦手意識のある大人の場合、これらの動画を観るとき、次のことを意識してみてください。

1) 全部分かろうとしない(一番大事)
2) 状況から推測する
3) 繰り返し使われることばやフレーズに注目する

この3つを守れば、幼児のように聴く・観る・楽しむことができます。

また、文字に頼らず、音に集中するために、

字幕はオフにして聴く

ことも大切です。

少なくとも1回目は、字幕を見ずに視聴することをお勧めします。

「幼児のように」聴く・観る・楽しむとは

内容が「分かるか vs 分からないか」は問題ではありません。そういう基準はそもそも存在しません。大人は意識的に忘れましょう。

「何してるのかな」「これがしたいのかな」
「これが欲しいのかな」「これがイヤなのかな」
「困ってるのかな」
「楽しそう」「悲しそう」

ただただ想像を膨らませます。

当然ながら、ことばだけでなく、ことば以外のキャラクターたちの動きや、リアクションの様子からも想像をします。

セサミストリートのような優れた子ども向けの作品は、この想像を助けるためのヒントが盛りだくさんで、ありとあらゆる工夫が施されています

これらを大人も素直に受け取ってみましょう。そして、その世界にすっかり入り込んでしまいましょう。

#1  Ernie and Cookie Monster

始めに、アーニーとクッキーモンスターのスキットです。

Cookie Monsterと一緒に「zero」ということばを学びます。
Ernieが今したいことはcountすること。でもCookie Monsterは相変わらず…。


大人として敢えて文法に着目しますと、Cookie Monsterの話す英語は文法的に正しくありません。でも、彼のダイレクトな表現は、むしろ分かりやすいのではないでしょうか。2、3歳児が早口で饒舌に気持ちを表現したら、こんなふうになるのかもしれません。
対するErnieの文法は完ペキです。おませな6、7歳児というところです。

セサミのキャラクターたちは、ときどき難しいことばや表現を発します。このスキットでは、次のようなものです。

Me (= I was) just sauntering by…
This (is) catastrophe!
You (are) putting me on.

しかしこれらは、一緒にテレビを観ているであろう保護者を意識した表現であって、子どもに向けたものではありません(セサミストリートはエンタメとして大人も十分楽しめるように作られているのです)。

幼児として聞くときは、このようなbig wordsは、自由に想像して解釈するか、気に留めずさらっと聞き流します。

#2  Kermit and Elmo

Elmoも3歳児の設定で、幼児言葉を使います。

Kermitは、この次に出てきますが、Sesame Street Newsのニュースキャスターの仕事もしており、大人という設定だと思われます。

現代のElmoも可愛いですが、洗練されすぎている感じがします。

私にとってのElmoは今でも、モンスターらしいこの時代のイメージのままです。

#3  Kermit the Frog of Sesame Street News

おとぎ話に出てくる人物にKermitがインタビューをする、Sesame Street News。
Sleeping Beauty編のこちらでは、Prince Charmingのmagic kissで、sleeping princessが100年の眠りから目覚める瞬間を実況しようとしますが…。

You will notice that he is now close to the sleeping princess.
And now he is even closer to the sleeping princess.
He is as close as he could possibly get to the sleeping princess…

これを1歳半のLeahと一緒にみていたとき、Prince Charmingも一緒にバタンと寝てしまったところで、「あ!ねんね!」と反応していました。
Kermitが動揺している様子から、幼いLeahも、オチを理解しているかのように見えたものです。


#4  Waiter Grover: There’s a Fly in My Soup

セサミストリート流「in 」「under」「next to」「on」 の概念の解説。

The fly is in my soup, and you haven't even looked in my soup, you looked everywhere but in my soup!

何度観ても、笑えます。


#5  Kermit the Movie Director and Forgetful Jones

「around」「through」「over」「under」の紹介。
セサミストリートの手に掛かるとこのような説明になります。

カウボーイのForgetful Jonesは忘れんぼう。セリフ(Everybody, freeze!)を覚えることに気を取られて、登場の仕方の指示(come through the door)が守れない。ようやく守れたと思ったら、今度はセリフを間違える(Everybody, frolic!)。
セリフ通りに演技せよ、とだけ指示を受けた脇役のキャラクターたちは、Forgetful Jonesが間違えたセリフの通りに演技をし、収拾がつかなくなって終わる…。


ドキュメンタリー映画 Jim Henson Idea Man

ついでながら、今月末(2024年5月31日)、ジム・ヘンソン(1936~1990)の生涯を描いたドキュメンタリー映画がDisney+で配信されるそうです。

ジム・ヘンソンは、セサミストリートのプロデューサーで、KermitやErnieの声も担当していました。

40年来のセサミファンとして、今からとても楽しみです。


終わりに

セサミストリートの定番スキットをご紹介しました。
幼児の頃に戻って、日本語を介さず、文字も使わず、状況を汲み取れましたでしょうか。

キーとなるワードやフレーズほど強調され、繰り返し発せられます。
これらを聴き取って、つなぎ合わせるだけでも、ストーリーの展開を楽しむことができたのではないかと思います

親が子どもの英語の学び方について認識しておくことは、とても重要です。

正しい認識を持っていれば、子どもの英語の吸収を助けることができます。英語の取り組みが楽しくなり、細く長く続けられるようになります。

「Minnieの超シンプル英語育児」でも、子どもに「気づかせる」ことを意識しました。

そしてこのことは、幼児期だけでなく、小学生になっても、基本は同じです。ただ、低学年から高学年の、それぞれの成長段階の工夫を施すのみです。

以上、子どもの英語の取り組み方や進め方を検討したり、教材・教室を選ぶ際の参考にしていただけましたら幸いです。


お読みくださりありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?