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事業譲渡スキームで建設業許可を継承させる方法③|M&Aアドバイザーのプチお役立ち情報

こんにちは。かきもとみさです。私は世の中に少ない女性M&Aアドバイザーとして仕事をしています。

許認可事業は「株式譲渡」スキームが王道ですが、「事業譲渡」スキームで許認可を譲渡する方法を記事にしています。今回が最終回です。

これまでの記事にご関心ある方はこちらからどうぞ。

事業譲渡スキームで建設業許可を継承させる方法①
事業譲渡スキームで建設業許可を継承させる方法②

今回は苦労した点を説明します。

苦労した点① この手続きをやってくれる行政書士さんが世の中にいない…

当初よりスキームを模索する中で、当社の顧問弁護士さんとも相談の上、建設業法17条改正と踏まえると「建設業の許認可は継承できるはずだ」ということは早期からわかっていました。

ですが、私の人脈のどの行政書士さんに伺っても「そんなことは不可能だ」と言って対応してくれる方がいませんでした。もちろん、実績を持つ方は皆無。

売主側の行政書士さん、買主側の行政書士さん両者とも確認してもらいましたが「そんなことはできません」の回答しか得られませんでした。

そんな中、とあるM&A関連人脈を通じて出会った、建設業に特化した「行政書士だるま綜合事務所」の丹治さんにお会いする機会を得ました。

丹治さんは、今回の新しい制度を活用した手続きに対しても果敢にチャレンジしてくれて、事前リサーチから書面作成、売主・買主双方に必要な対応のフォローなどきめ細やかに対処してくれました。今回の案件は、丹治さん抜きでは絶対に成立しなかったと思います…。本当に感謝しかありません。

もし、同じようなニーズのある案件のある方がいらっしゃれば、是非丹治さんにご相談してみてください。

■行政書士だるま綜合事務所のリンクはこちらから!

苦労した点② マニュアルが確立していない

建設業法の法改正自体については、前回の記事にもリンクを貼った通りにアナウンスされています。
国交省のリンクはこちら。

ただし、見てわかるとおり具体的な手続きのやり方というのは何も記載がありません。

新しい制度であり、活用している事例も少ない(というか見たことも聞いたことも無い)中、手続きのマニュアルがないのはハードルが高かったです。

ここも行政書士の丹治さんに多大なご支援をいただき、各都道府県が公表している建設業許可の申請手続き関連の手引き内容を参照していただき、許認可の継承に関わる部分を探してもらいました。

その中で、最も詳細に手続きについて記載されていたのが、千葉県の手引きでした。さすが、チーバくん。
以下、参照ください。

千葉県の手引きはこちらから。

なので、冒頭の契約書の文言なんかも、こちらの手引き内の契約書文言例なんかを活用して仕上げていきました。もし関心のある方は、上記リンクのPDF手引きを見ていただくと参考になると思います。

苦労した点③ 国交省にも過去実績がほぼ無い

前述の通り、「譲渡完了時点の貸借対照表を提出せよ」という強めのリクエストがあった通り、国交省としても、今回の新制度にともなう手続きは不慣れで、非定型業務は当然ながらスムーズにいかないし、受付側も新制度に関連して粗相なく対応しなければというリスク観点もあったでしょうから慎重にならざるを得ないという感じでした。
事例も少ない今回のような許認可の継承については、丹治さんに何度も何度も電話&メールフォロー、催促などを繰り返していただき、案件内容についても何度も同じ説明を重ねながら、やっと対応を進めてもらったというような感じです。

せっかく法改正を施行したのに、活用する現場レベル(申請側も受付側もですが)の人間が積極的になれないとこういうのはなかなか浸透しないものですよね。なんとももったいない…。しばらくは、忍耐強く粛々と手続き業務と闘うしかないなと思いました。

苦労した点④ 許認可承継が完了するまで引継ぎに本腰が入らない

今回は手続きの面で新制度の活用したから余計にですが、「この許認可継承、本当に実現するのか?」という数%の不安が売主・買主の中では存在していたことは事実だと思います。
もちろん国交省に事前に「継承可能」というのは確認済の上で手続きに着手し始めていたとは言え、「100%大丈夫だ」という気持ちにはなれなかったのではないかと思います。

「譲渡契約の締結は完了しているのにもかかわらず、許認可が得られるのかわからない」という状況はM&A案件的には望ましくなく、売主から買主への顧客の継承、従業員への説明や引継ぎ、仕入れ先の継承などすべての面において気持ちの切り替えができないままに時間が流れていた部分が多少はありました。

ただ、この点については当事者である売主・買主の気持ちの問題が大きいもの。そもそも事業譲渡スキームは株式譲渡よりも余計に諸々の継承にエネルギーが必要ですし、当事者が「やるからには全力で継承!」という姿勢になってくれることが望ましいなと思いました。今回は売主・買主の定期ミーティングを設定し、無理にでも進捗を促す形でなんとか進めていただきましたが。

3記事に渡り、長くなりましたが、以上がざっくりとした今回の建設業許認可の「継承」スキームを活用した案件の特筆すべきトピックスと苦労した点です。

これからも建設業界は事業承継問題を抱える事業者は増加していくと思うので、この新制度を活用するプレーヤーが世の中に増えてくれると良いなと思っています。

もちろん、事業譲渡スキームを選択しないで済むのであればそれに越したことはありませんが、売主側のメリットを考えるとこの制度を活用したほうが良い事例はおそらく世の中にたくさん埋まっているのではないかなと想像しています。

事例をたくさん残していけば、国交省も行政書士業界でも「本新制度を活用すること」が選択肢のひとつになりやすくなっていくと思います。少しずつでもいいから現場レベルで「新しいことにチャレンジする!」というマインドセットも必要ですね。

詳しい手続きの内容は千葉県の手引きにお預けするとしまして、本記事が少しでも多くの建設業事業者・M&A関係者・行政書士の方々に届けば嬉しいです。

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ではまた♪Adiós❤

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