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スペイン回想記

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1か月間スペインに滞在したときのことを書きます。
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スペイン回想記6 パンプローナにて

スペイン回想記6 パンプローナにて

待ち合わせ場所のロータリーに行くとリクが立っていた。彼はナバラ大学の学生で授業の合間に迎えに来てくれた。旧市街から歩いて20分ほどのキャンパス内にある博物館に連れて行ってくれた。リクが"インターナショナルスチューデント"という言葉を駆使して博物館に無料で入れるように受付の女性に話してくれた。この"インターナショナルスチューデント"効果はすごくて、これでそのあと大学棟の中にも入れてもらえた。

最初

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スペイン回想記5 パンプローナまで

スペイン回想記5 パンプローナまで

友人に会いに1泊2日でパンプローナを訪ねることにした。1泊2日しかないので朝一番のAVE(高速鉄道)の席をとった。たしか8時少し前の電車だったと思う。公園を抜ければアトーチャ駅まですぐだと思ってピソを出たけれど、真っ暗でとても通っていけそうにない。冬の日本の朝4時とか5時の暗さだった。それにそもそも朝は公園の門が閉まっていて入ることができなかった。

歩いていっては間に合わないし、どうしようかと考

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スペイン回想記4 ソローリャ美術館

スペイン回想記4 ソローリャ美術館

ある夜、パブロの両親がピソに泊まりに来ていた。二人と、特にお母さんとたくさんおしゃべりした。美術館が好きでマドリードに滞在することにしたと話したら、

「ソローリャ美術館はいいところよ。バレンシアの海辺で、水着のなかったころだからドレスを着て水辺を楽しむ女の人や子供たちの絵がたくさんあるの。プラド美術館を見るには何年もかかるけれど、ソローリャ美術館ならどこか一日の午後だけで十分楽しめるわ。」

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スペイン回想記3 オドネル通りとアトーチャ駅

スペイン回想記3 オドネル通りとアトーチャ駅

オドネル通りに出ると中国人留学生がたまっているところがみえた。それでそこが語学学校だとすぐにわかった。エレベーターで二階に上がり、大きな扉を開けて中に入ると背の高いグレーのセーターを着た女性が対応してくれた。

資格試験も授業も受けたことがなくて自分のレベルが分からないことをつたえると廊下の突き当りにあるパソコンで簡単なテストを受けることになった。その後スピーキングとリスニングのレベルをはかるため

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スペイン回想記2 チョコラテバロール

スペイン回想記2 チョコラテバロール

翌朝パブロが家をでる。"¡Hasta luego!" (アスタルエゴ)と元気のいい声が聞こえて戸が閉まる。慌てて"'¡Hasta luego!"と叫ぶ。"Hasta luego." はまたねという意味でそれこそスペイン語学習をはじめてすぐに覚える言葉だけれど、人生ではじめてこの言葉を使った瞬間だった。本場の"Hasta luego"は「アスタルエゴ」というよりも「アッタルエゴ」に近い。挨拶だけでも

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スペイン回想記1 初日

スペイン回想記1 初日

スペインに留学したいという夢が叶い、1か月ほどマドリードで生活した。独学でスペイン語を勉強し、スペイン語が自分の部屋の中だけの出来事だった私にとって、マドリード=バラハス空港に降り立ち、スペイン語に囲まれた瞬間の高揚感は言葉にできないほど特別なものだった。

電車に乗る勇気はまだ無くて、タクシーに乗った。スクショしておいた滞在先の住所をタクシー運転手に見せる。思っていた以上に空港からマドリード市内

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