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エッセイ

6
1人語り。
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記事一覧

父のこと

父のこと

はじめに2021年11月12日。
同居していた父が亡くなりました。
享年82歳。
父との思い出、病気のこと、死去した時のこと、亡くなった後によぎった思い、法要のこと、など。
心の整理も兼ねて、備忘録としてまとめました。
個人的な記録ではありますが、ご家族を亡くされた方やもしくは家族との折り合いについて人知れず思うことがある方の心に、もしかしたら寄り添えるものがあるかもしれません。
思うところあって

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力と支え

力と支え

結成から8年後の2020年。
彼らの待望のデビューライブは、コロナの影響で無観客配信という予期しない形で行われた。

観客も声援も無い会場。
それでも彼らは楽しげにステージを走り、歌い、踊り、圧巻のパフォーマンスで画面越しのファンを魅せた。

ライブの最後。
彼らは一同に集まり、ステージ上からそれぞれの言葉でファンにメッセージを伝える。

見えないデビューへの葛藤、不安や焦り。
たくさんのグループ

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彼女の花園

彼女の花園

初めてその人を見かけた時「なんて素敵な人なのだろう」と思った。
色白で、線が細くて、たおやかで。
森から抜け出てきた妖精みたい。
私が男だったら絶対惚れてるタイプだと思った。

その人はご近所に住むお家のお嬢さんで、まだ若いのにガーデニングが趣味らしく、道に面した自分の家の小さなお庭の手入れをする姿がたびたび見られた。

花や緑を育てるのがとても上手で、その小さなお庭はいつも感じ良く手入れされ、季

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K先輩のこと

K先輩のこと

K先輩を初めて見たのは高2の冬。
予餞会のステージで尾崎の『I love you』を歌っている姿を見たのが最初だった。

高らかで、伸びやかで、力強い歌声で。
一目惚れならぬ、一聴き惚れだった。

惚れっぽい私は、よく知らないのにたちまちK先輩のことが好きになってしまう。
そしてもうすぐバレンタインデー。
この機会に何もしないという手はない。

さっそく生徒名簿でK先輩の家の番号を調べ、電話に出た

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彼岸

彼岸

休日の早朝 
鳥はさえずり
空は気持ち良く晴れ
街道はコスモスに彩られ
絶好の彼岸日和だった
十数年前のある日

とある 
激しいケンカが始まったのは 
群馬から山梨の
墓参りに向かう途中
険しい峠に差し掛かった
車中でのことだった

運転が荒く 
前を走る車を
突然 意味なく煽って
なんとか抜かそうとする父

懸命に注意して
押しとどめようとする母

後部座席で
ハラハラと見守る私

とうとう

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美術部員だった頃

美術部員だった頃

#部活の思い出

中学生だった時、美術部に入ってました。
と言っても絵画に真剣に打ち込んだ記憶はほとんど無いのですが。。

顧問の先生はあまり来なかったし、先輩は気弱な2年生男子がたった1人だけだったこともあり、女子ばっかりだった私たち1年生は最初の頃からかなり調子に乗っていた、というかわりとやりたい放題でした。

部室の中でドタバタ鬼ごっこをしたり、先輩を準備室に閉じ込めてきゃあきゃあ笑ったり(

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