みつかる本棚

本の紹介記事。

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最近の記事

「うつ病」を知る本棚

「うつ病」入門7人の専門医が、うつ病について144問の質問に答えている本です。 「そもそもうつ病とは?」といったものから「症状・原因について」「受診・検査・診察について」「薬物療法・精神療法」「日常生活・食事・運動」「家族・周囲の接し方」など幅広い内容となっており、うつ病についてゼロから知ることができる1冊です。 ストレスを神経伝達物質から考える本書は「セロトニン」という、ストレスやうつ病と関わりの深い神経伝達物質をメインに書かれた本です。 その他、同じくうつ病と関わりの

    • 異色コラボ本『地球の歩き方』×『月刊ムー』

      個人旅行のための定番旅行ガイド『地球の歩き方』と、オカルト雑誌『月刊ムー』の異色コラボ本。 裏表紙に描かれているスフィンクスの目からはレーザービームが出ている。 さらに、カバーはリバーシブル。 ムー編集長のコメントがアツい。 内容は、『地球の歩き方』的な旅行ガイドと、『月刊ムー』的な解説が交互に掲載されている。 例えばピラミッドであれば、通常の旅行ガイド的な解説かと思ってページをめくると、いきなり禍々しいページになり「ピラミッドは核施設だった!?」などの掲載内容になる

      • 次世代の学び「創」の本棚

        はじめにコンピューターや人工知能(AI)に「使われる」のでなく「使う」あるいは「一緒に働く」ことが必要な世代に必要なことは何か。 本記事でも取り上げている、作家であり元大学助教授の森博嗣は「教育というもの自体を信じていない」といつくもの著書で繰り返し述べている。 あるのは「学び」だけであり、大人にできるのは「学ぶ環境」を用意することだけだ。 その結果、育まれるのは「創造力」かもしれない。 本記事では4冊の本と通してそれを考えたい。 未来のことはわからない「教育のことは

        • 星野源から庵野秀明を経て星野源に戻ってくる本棚

          星野源星野源という人をご存知だろうか。 彼を「何者」と定義するのは難しいが、おそらく世に広く知られた最初の活動はエッセイ『そして生活は続く』(マガジンハウス、2009年)だろう。 現在は文春文庫で文庫化している。 合わせて2010年に『ばかのうた』でミュージシャンとしてメジャーデビューを果たす。 その後、難病からの復帰を経て、あれよあれよという間に俳優として上りつめたのは周知の通りである。 松尾スズキ松尾スズキをご存知だろうか。 舞台や映画の監督・俳優である。 星野

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          基礎中の基礎!「労働生産性が最大のときは利益は最大ではない」という話

          はじめに「つながる本棚」では初めてのコラム的な内容になる。 わざわざ書こうと思ったのは、「GDPや利益を増やすためには労働生産性を上げなければならない」という誤った言説が、あまりにも流布しているからだ。 以下でそれが誤っていることを解説したい。 なおこれは、ミクロ経済学では基礎中の基礎である。 普通は儲かることからやり、だんだん儲かりにくいことをやっていく(収穫逓減の法則)「労働生産性が最大にときに利益が最大にならない」理由は上記の一言に尽きるのだが、解説したい。 ある

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          右翼と左翼入門

          はじめに※本記事は2015年3月に作成した記事を転載したものです。 政治的立場や思想を表す言葉として「右翼」「左翼」があります。 本記事では政治思想的立場としての「右翼」「左翼」に関わる本を紹介します。 食を通して「左」「右」を考えるまずはもっとも身近な「食生活」から考えてみましょう。 本書では「消費生活、とりわけ『食』にも政治思想が現れる」という前提に立ち、食生活者を「フード左翼」「フード右翼」に分類しています。 「フード左翼」は、自然派食品や有機野菜を好み、スロー

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          新書大賞『人新世の「資本論」』の斎藤幸平氏が3人の思想家と対談した『未来への大分岐』の本棚

          はじめに2021年の新書大賞に斎藤幸平氏の『人新世の資本論』が選ばれた。 ただし、すでに2019年にカール・マルクスの思想の再検討や資本主義の終焉をテーマとした以下の対談集を刊行していた。 対談相手は、『<帝国>』のマイケル・ハート、「新実在論」のマルクス・ガブリエル、『ポスト・キャピタリズム』のポール・メイソンの3名である。 本書の特徴は、3名および斎藤氏が「資本主義が限界に近づきつつあること」「<資本主義以後>を考える必要性」では一致しながらも、必ずしも意見が同じで

          新書大賞『人新世の「資本論」』の斎藤幸平氏が3人の思想家と対談した『未来への大分岐』の本棚

          小島秀夫 『メタルギア』から『デス・ストランディング』への本棚

          はじめに小島秀夫氏は、ゲーム『メタルギア』シリーズや『デス・ストランディング』を手掛けた世界的なゲームクリエイターである。 この記事では単行本『僕が愛したMEMEたち いま必要なのは、人にエネルギーを与える物語』(メディアファクトリー、2013) と、その文庫版『創造する遺伝子 僕が愛したMEMEたち』(新潮社、2019) を通して、小島秀夫氏のゲーム作品も含めて紹介していく。 「メタルギア」シリーズについて1987年から始まり、2015年に完結した長寿シリーズ。 敵

          小島秀夫 『メタルギア』から『デス・ストランディング』への本棚

          吉井正治『無縁声声(新版)』(藤原書店)

          はじめに釜ヶ崎(西成・あいりん地区)に関心を持ったのは、認定NPOのHome doorがきっかけだった。 大前提として、現在は公式な住所・地名として「釜ヶ崎」は存在していない。「西成区」は必ずしも日雇い労働者ばかりが住んでいるわけではなく、高級住宅街も含まれる。また「あいりん地区」とは住所ではなく行政の政策上の名称である。 以下では、本書をはじめ「日雇い労働者」をテーマにした本で最も用いられれている「釜ヶ崎」を用いる。 NPO法人Home Doorとは ホームレスを脱す

          吉井正治『無縁声声(新版)』(藤原書店)

          「ドイツと日本 ー労働・戦後処理・現在ー」の本棚

          ※以下は2017年8月15日に「はてなブログ:つながる本棚」に掲載した記事(削除済)に加筆・修正したものです。 労働ドイツはまた超少子化国であり、工業製品の輸出国である点も日本と共通している。 一方、日本で「働き方改革」の議論が行われているが、先進国で、統計データ上で特に労働状況や労働生産性が優秀に見え、労働時間が短い国がドイツである。 『ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか』(青春新書)では、ドイツ在住のジャーナリストである熊谷徹氏が、日本とドイツの働

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          #庵野秀明 #小島秀夫 #ロボット #宇宙生命体(怪獣) #巨人 #超能力 #地球滅亡 # シリアス #ギャグ【全部入りマンガ】『スノウボールアース』

          『スノウボールアース』とは月刊『ビッグコミックスピリッツ』で連載されている辻次夕太郎氏によるマンガ作品です。 2022年1月時点で第2巻まで刊行されています。 極度の人見知りの主人公、鉄夫は、地球を襲う怪獣に対し、ロボットである「ユキオ」に乗って戦います。 第一話で早くも人類vs宇宙怪獣の最終決戦が描かれ…。 10年後、地球に戻った鉄夫が見たものは、凍てついた大地でした。 いったい、たった10年の間に何があったのか? 『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明氏、『メタルギア

          #庵野秀明 #小島秀夫 #ロボット #宇宙生命体(怪獣) #巨人 #超能力 #地球滅亡 # シリアス #ギャグ【全部入りマンガ】『スノウボールアース』

          「綾波レイ」と『スノーグース』

          『スノーグース』とはアメリカの作家ポール・ギャリコによる短編小説。 入手しやすい新潮文庫版では他に短編小説『小さな奇蹟』『ルドミーラ』が収録されている。 「訳者あとがき」にも書かれているが、3作品とも人間と動物をダブル主人公的に描き、その交流が描かれている。 キリスト教的な世界観も強い。 『スノーグース』は1940年に発表された作品で、第二次世界大戦が作品に大きく影響している。 『スノーグース』の少女庵野秀明氏をはじめ、テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に関わった人

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          マンガ史上、最も不遇、かつ恵まれた作品?『シャーマンキング』の本棚

          『シャーマンキング』について武井宏之『シャーマンキング』は、週刊少年ジャンプで1998年~2004年に連載されたマンガです。 2001年にはテレビアニメ化もされました。 主人公、麻倉葉(あさくら よう)をはじめとする「シャーマン」が「シャーマン・ファイト」を通じて「シャーマン・キング」を目指す物語です。 ※上記は2001年に放送されたテレビアニメ「シャーマンキング」第1話のYoutube動画です。期間限定とされているため視聴できなくなる可能性があります。 『週刊少年ジャ

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          読書メモアプリ「ToshoDan」が良いので紹介してみる

          私の読書スタイル偶然知った、2021年12月にリリースされたばかりのアプリ。 実は、私は基本的に複数冊を平行して読んでいる。 最低でも 1.通勤時(物理的に軽い本) 2.リビング(子どもに邪魔されながらでも読める内容的に軽い本) 3.就寝時(集中力が必要な本) と、3冊は平行して読んでいる。 3冊ならまだ良いほうで、読んでいる本の中で別の本が紹介されていると、そちらを買って先に読み始め、さらにその本の中で紹介されている本を買ってそちらを読み始め、最初の本はほったらかし

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          保護者がPTAに参加すると子供の学力が上がる? 家庭教育の本棚

          はじめに「教育本ブーム」は2015年6月刊行の中室牧子『「学力」の経済学』(ディスカバートゥエンティワン)から始まり、ミューギー・キム/ミセス・パンプキン『一流の育て方』(ダイヤモンド社)など経て、2020年に予定されていた大学入試改革の関連書籍へと繋がっている。 上記の大学入試改革に関する記事が好評だったので、受験に至る以前の「家庭教育」について、以降、4冊の本を通して考える。 『幼児教育の経済学』最初に紹介するのはジェームズ・J・ヘックマン『幼児教育の経済学』(東洋経

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          保護者がPTAに参加すると子供の学力が上がる? 家庭教育…

          本来、目指されていた「2020年 大学入試改革」の本棚

          はじめに この記事の内容は、2017年10月17日に「はてなブログ:つながる本棚」に投稿した記事(削除済)を加筆修正した。 ただし、あえて現時点(2021年1月4日)の情報は記載していない。 これにより、当初に目指されていた大学入試改革(高大接続改革)と現実とのギャップが、より鮮明になると思う。 大学入試改革の経緯 大学入試が大きく変わる予定であることは、既に広く知らされている。 それがどのような目的と背景で行われようとしているのかを調査、海外の事例を含めて取材し紹

          本来、目指されていた「2020年 大学入試改革」の本棚