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変えていかなくてはならないことと、変えてはならないこと。(ミニバス/スポーツ教育にて)

みなさま、

こんばんは。半人前コーチ@大学の研究室です。ゼミメンバーの卒論確認が終わり、そろそろ今年の店じまいをしようかと思っています。本年も色々勉強になった1年でした。

私は高校生と小学生のチームのコーチをしていますが、小学生の方は今年最後の県大会が12月26日~28日までありました。毎年熱い試合が多い6年生最後の大会ですが、今年は好ゲームが多かったですね。我チームも初戦、2回戦と苦戦しながらも突破し、準々決勝でも同地区のライバルチームを4点差で破り、準決勝進出を決めました。

準決勝の相手は新人戦/夏の県大会の優勝チーム。春先にはダブルスコアで負けていた相手です。実力は相手の方が上ではありますが、選手たちは素晴らしい試合を見せてくれました。

最後は5点差で破れはしましたが、大きい相手にも怯まずにプレーしてくれました。動いてギャップを作ったところに、的確にアタックしてくれました。リバウンドとルーズボールも、こちらが勝っているケースが多かったです。何よりも、残り4分で13点差ビハインドの場面でも諦めず勝つ姿勢を見せ、5点差まで詰めてくれたことは、このチームの成長を感じることができました。

以前のチームからの変化に、いろんな指導者の方々から試合後に声をかけていただきました。その中で、あるチームのコーチからこんな質問を頂いたのです。「うちのチームは秋の大会で東北大会が決まって、その後のリーグ戦、この最後の県大会とモチベーションを上げていくのが難しかった。どうやって最後までチームを上げたの?」というお話をいただいたのです。

そこでお答えしたのは、
うちのチーム場合、常に求めていることは結果ではなくて自分たちがやりたいバスケットをできたかどうか、というところしか求めていない。それもあって、どの大会にモチベーションが。ということは、あまり考えたことがない。
という返答をさせていただいたのです。


前回の記事にも記載させていただいたことと重なるのですが、うちのチームで重視しているのは、
・自分に出来ることを、やりきっているのか
ということです。

もう少し掘り下げるのであれば、
・人が走っていないところで、走っているか
・スコアにならないプレーを、がんばっているか
・自分の限界のプレーにチャレンジをしたのか
・プレー以外の事前の準備や片づけも、
 大人に任せず自分でやったか
というような部分、私はミニバスなどのスポーツ教育では最も重要だと思っています。

そしてこれは、社会や教育がどのように変化をしても、最も重要な部分としてこれからも変わらないのではないかと思っています。

ただし、変化しなければならない部分もあると感じています。それは、選手に対するアプローチの仕方や、技術面の指導に関する部分です。

たとえば、「スコアにならないところを頑張る」というようなことは、以前であれば周りを見てすぐに吸収してくれたものですが、今はある程度説明する必要があると思っています。
※ ある教員の方は、”周りを見て学びなさい”というようなことが学校現場で言われなくなったからだ。とおっしゃってました。

また、技術指導の部分もどんどん変化を取り入れなくてはなりません。例えばコーディネーショントレーニングやリズムトレーニングなどは、自分の時代には無かったですが、これからはどんどん子どもたちに浸透させていく必要があると感じています。


このような中で、私が指導者として感じていることは、HOWの部分ではなくて、WHYの部分を指導者が自分で言語化しなければならないということです。

もう少し噛み砕くのだあれば、このチームでは何を重視するのか/どんな教育をするのかを明言しなければならないですし、それは基本的には最も重要なものとして変わらないものだと思っています。企業で言えばビジョンのようなものを、チームとしてもしっかり作らなくてはいけないということ。チームのフィロソフィーがより重要な時代がきたということです。

今までのように、技術(HOW)だけを伝えるのみでは、幼少期の教育においては不十分だと思います。ある意味、そのスポーツや技術をツールとしながら、何を伝えたいのか、何を教育したいのか。その「想い」が最も重要であり、それこそが子どもたちや保護者たちからの共感を得たり、心を動かしたりするものになるのでしょう。

そしてその、何を伝えるのかという「想い」は、指導者自身の経験に起因することが大きく、指導者自身もさらに多くの経験を積む努力をしなければ、アップデートされないでしょう。

要は、子どもたちよりも指導者が努力をしなければならない時代。立場が対等であるという認識のもと、なぜそれを伝えなければならないのかということを、時代背景や様々な要素・ステークホルダーの状況を把握し、自身の経験を追加した上で、言語化/ビジョン化/チームのフィロソフィーとして持たなければ時代になったと言えるのではないかと、私は感じています。

その意味でも、今回の大会は我がチームのフィロソフィーを体現するようなプレーを選手たちが見せてくれました。どのチームよりも走るチームでした。追いかける選手たちでした。どのチームよりも片付けまでしっかりやるチームでした。

その成果としてどのチームよりも、応援席に他のチームの子が応援に駆けつけてくれるチームでした。他チームの指導者の方も応援席に座ってくれました。試合後に、多くの指導者の方から試合前試合後の姿勢や行動に、お褒めの言葉を頂きました。

改めて、チームの「想い」を言語化して、伝達することが重要だと感じることができる大会でした。


我々指導者は、想いは熱いまま、時代とともに伝え方/あり方は常にアップデートしなければならない。そんなことを感じた、大晦日でした。

みなさま、本年も大変お世話になりました。2020年も、どうぞよろしくお願いし致します。


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