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その涙の意味を知るにはまだ若かった大学1年生の自分〜大学生⑫〜

予選会が芦ノ湖で行われたのは歴史を紐解いてもこれまで一度限りです。165mだけ本戦と同じ道を走るコース。そんな貴重な予選会に出られたことは、もしかしたら幸運だったのかもしれません。

当時予選会の順位で見てみると筑波大学よりと青山学院大学が下でした。あの「アオガク」です。いまでは黄金時代と呼べるくらい強くなりましたし、チームが強さを維持して回るシステムもちきんとできています。しばらく勝ち続けるんじゃないかと思わせるだけの勢いがありますし、それが衰える気配はなかなかありません。ホント強くなりましたね。

その当時は原監督が就任するちょうど一年前で、アオガクも学生主体でチームを作っていました。アオガクも僕たちと同じようにテレビ局に密着されていたのですが、フォーカスされたのは選手ではなくマネージャー。筑波大と同じく試行錯誤しながら箱根を目指していたので、当時は同じ匂いを感じていましたが、随分差をつけられてしまったもんです。ちなみに、その当時のアオガク特集がこちら。

この映像も今となっては貴重です。悔しいですが、youtubeにあげたら筑波大学の映像よりも、アオガクの映像のほうが再生回数増えるでしょうねww

ヒト・モノ・カネが必要だと書きましたが、結局大切なのは想いだと考えています。少し精神論みたいになりますが、スポーツとメンタルは切っても切り離せません。ほんのちょっとの努力、ほんのちょっとの我慢はメンタルに左右されるところが大きいです。そして、それらが積み重なれば大きな変化を生み、いつかは花開き、大きく化けるかもしれません。しかし、多くの人はその前の段階で辞めたり諦めたりしてしまって「やっても何も変わらない」と諦めてしまう。

無意識にそれをしてしまってる人はとても多いでしょう。というか、ほとんどそういう人だと思います。突き抜ける人はここが違うんでしょうね。

■戦いの後

結果は15位。

箱根駅伝には手が届かず、夢破れたチームに漂うのは「空虚」でした。肩を落とし涙を流す先輩たちには力がありませんでした。ずっと張り詰めていた緊張の糸が一気にプツンと切れたような感じ。しかも、張り詰めた緊張感が強かったため、切れた反動がとにかく大きかったです。

普段は涙を見せたことがないような先輩が声を上げて泣いている姿は、今でも目に焼き付いています。真剣だったからこその涙。予選会を物語として見ればとても綺麗な涙に見えるかもしれません。ただ、当事者であればあるほど、この涙は本当に引きずってしまいます。心にぽっかり空いた穴は計り知れないくらい大きかったと思います。大学院生や4年生の涙は1年生の涙とは比べ物にならないくらい重いもの。先輩たちの想いは感じていたつもりでしたが、その涙の本当の意味を知るにはまだまだ若かったです。

僕の中でとくに印象に残っているのは4年生の久間さんでした。大学に入って右も左も分からない中で授業の履修の仕方や大学生活のことを色々教えてくれました。大学入試が終わってからすぐに声をかけてくれて、みんなが住む桐萠塾まで車で連れていってくれました。一言で言えば優しくて大きな先輩。いつもニコニコ笑っていたので、涙を流すイメージは全くありませんでした。そんな久間さんがゴールしてから声をあげて、肩を震わせながらワンワン泣いている姿はずっと忘れられない光景です。注目されていたのは大学院生の3人でしたが、4年生にとっても最後の箱根駅伝チャレンジ。涙が止まらないのは当然でした。

ちなみに、久間さんとはその後福岡国際マラソンで再会することができました。オリンピックや世界選手権の選考会にもなるマラソン大会ですし、市民ランナーレベルでいうと最も上位の大会になるので、簡単には出られない大会。そんな大会で再会できたのはお互いに卒業後も走り続けてきたからこそでした。

負けたから走り続けたという見方もできるかもしれません。久しぶりに会った久間さんは優しく笑っていました。そして本当に楽しそうにマラソンを走っていました。肩を並べて博多駅の前を走ったときは色んなことを思い出して鳥肌が立ち、「なんだか不思議な感じがしますね・・・」と走りながら話したもんです。

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