蓼科合宿_049

トレーニングによる「進歩」の捉え方〜大学生㉘〜

合宿から帰ってくると、新学期が始まりました。

3年生になると所属する研究室も決まり、学業の方もかなり専門的になってきます。僕は「体力学」という研究室に所属することになりました。ざっくりいうと、トレーニングのことを研究する学問。臨床を大事にしていたので、研究室に入るときも競技を真剣にやってることが条件でした。先生の人柄に惹かれて決めた研究室でしたが、陸上競技以外の人と接することができたのはとても大きかったです。

僕が入った研究室は同級生が全部で4人。それぞれサッカー、ラグビー、レーシングカヌー。自分がこれまで触れたことのない競技ばかりです。ゼミの話はとても興味深く、サッカーでやっているコントロールテストの話を聞いたり、レーシングカヌーの呼吸法を聞きました。そなことやってるんだ!という「へぇ」の連発でした。それを自分のトレーニングに落とし込めたら相当面白かっただろうなと思いますが、当時はそんな余裕もなかったのが残念。今なら好き嫌いなくやるんですけどね。

何でも「煮浸し」はダメだなと今はよく感じています。一つのスポーツが得意というのは非常に大事なことで、結果的に何か一つに絞るのはありですが、早い段階でそれに集中しすぎるのも弊害が出てしまいます。何か一つしか見れなくなる、一つの視点が全てのように感じる、文字で書くとなんてことはないことですが、真面目な長距離ランナーはこの傾向が強くなりがちだなと思ってます。ここは変えなきゃいけないですね。

最近は僕も新しいスポーツにチャンレジしようということでSUPを体験しました。いやぁ、すごいね。普段使わない筋を使うので終わったあとも脚がプルプル震えてました。今後自分自身もこういった専門外のスポーツをどんどんトレーニングで取り入れていきたいなと思いますし、いろんな人にやってほしいなと思います。特に脂の乗った現役選手。多様なトレーニングの選択肢を持つことは可能性を伸ばすことにつながると僕は信じています。ぜひみなさんもお試しあれ!!

鎌倉の材木座海岸にて

■合宿後の反応

今回の合宿でもう一つ特徴的だったのは、帰国後に「合同記録会」なるものを開催したところにあります。「合宿だけで終わらない」「合宿のための合宿になってはいけない」はずっと言われ続けてきたことですが、それを具体的に形にしたのはかなり画期的でした。こんな風に大学をまたいで一緒にやってるところ今はあるのかな・・・?

チームに戻ればあっという間にまたいつものパターンの練習になります。それは良くも悪くもですね。帰国後に合宿で感じたことをしっかり思い出す(振り返る)ということはとても大事。同じ釜の飯を食べて、一緒に汗を流した「敵」は意識すべき「ライバル」であると同時に、一緒に頑張った「仲間」になっていたので、同じ記録会の中でチームは違えど「記録を出せた!」「だめだった!」そういう振り返りも一緒にできたことはとても大きかったですね。

合宿中は血便あり、小さな怪我ありでしたが、帰国してからは僕は比較的順調に春シーズンを迎えられました。「点」が「線」で繋がった感じはあったし、実際に記録会でもべストに近い結果がコンスタントに出せたので、どこかでタイミングが合えば記録は普通に出るだろうなと思っていました。今年こそやってやる!

ただ、その意気込みがあっけなく崩れ去ることになるとは。。。

■関東インカレでのアクシデント

春シーズンの大きな試合が関東インカレ。僕は前年同様、ハーフマラソンに出ました。

初めて出た前年の関東インカレは不完全燃焼感が強く、何もやらせてもらえないまま終わってしまったような感覚がありましたが、流石に大学3年ともなると試合の雰囲気にも慣れてくるので、今年こそはという想いは強かったです。

この年の関東インカレの会場は国立競技場。今は解体されてしまった「旧」国立競技場でしたが、すり鉢状の競技場は昔から憧れの場所だったので、ここで走れることはすごく幸せでした。

スタートして競技場を出ると、急な坂が待ち構えているコースはちょっと癖があったのですが、余裕はあるし、気持ちで負けるな!と思ってました。集団がギュとして走りにくいなと思いながらもとにかく序盤は前に出ないし、集団から離れない。力を温存しようというつもりで集団の中に身を潜めていました。そして、アクシデントは1km過ぎたあたりで起きました。

陸上競技場を出て神宮外苑に向かう上り坂の途中で一瞬目の前の視界が遮られたかと思ったら、次の瞬間に空が見えました。ゴロンとひっくり返っていたのです。

転倒

一瞬のできごとだったので、状況を理解するのに戸惑いましたが、やばいと思って立ち上がった瞬間、肩に激痛が走りました。手をつけずに肩から入っちゃったでの肩を強打。打った所の状況は自分ではなかなか確認できませんでしたが、痛みからして無事じゃないだろうなと感じ焦りました。

「やってしまった」という後悔はもう遅く、ただただ離れてしまった集団を追いかけました。んが、正直なところ戦意喪失。そして痛む肩。腕を普通に振ろうと思っても痛くて振れず、ヘンテコなフォームになっていたと思います。周囲からは応援はいつしか悲鳴に近い声が聞こえて恥ずかしかったです。でも不思議なもんで最後まで走れちゃうんですよね。

距離を消化していくなかでだんだん状況が分からなくなり、気づいたらゴールしてました。上腕骨にわずかなヒビが入る怪我。ただ、出血が派手だったので、ゴール後にそれを見た瞬間気持ち悪くなりました。

流血ネタがなんだか多いですね。

■「進んだ歩数」と「動いた歩数」

僕の大学生活は3歩進んで2歩下がるの繰り返しだったなと思ってます。なんなら10歩進んで9歩下がってたかもしれません。でも、「進んだ歩数」は1歩分でも「動いた歩数」が5歩とか19歩とかあることが大切なんでしょうね。

大学生の時に経験したさまざまな怪我は今の自分にとって大事な経験になっています。怪我をしてそれがどれくらい痛くて、治るまでにどれくらい時間がかかるかの理解は教科書で見て&読んで学ぶ知識とは根本的に違います。そして、怪我した時の精神状態は経験者だからこそわかること/経験者じゃないとわからないことがあるんですよね。

自分自身は一流のアスリートのはなれませんでしたが、それでも走ることを通して学ばせてもらったことが本当にたくさんあります。怪我の経験もその時はものすごく落ち込むけれど、それが後になって人の痛みが分かるために必要な経験だったとすると、無駄にはなりません。自分がバリューを発揮していきたいと思っている領域はまさにそこ。

想いを大切にしながら、自分が進みたい道をきちんと突き詰めていきたいですね。頑張ろう!!

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